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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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夏のスペシャル 2025年度 夏の怖い話 その7

夏のスペシャル 2025年度 夏の怖い話 その7



Side:ヤユイ



「リュシにオレリア、次は私かホービスかな?」

「私も残っていますよ」

「そうですね~。プロフさんも候補ですよね~。どんなのが見たいですか~?」

「あまり驚く要素が無いのがいいですね」


うん、それはそう。

余り驚きすぎると、動けないもんね。


と、雑談はしているけど私たちは次の家屋見学へと移動していた。


「やっぱり暑いな。心霊を体験しているのに、外はこんなもんだよな」

「実際はそんなもんですよ。とはいえ、本当に恐怖していたら冷や汗が出てくるんでしょうけど」


ユキ様もタイキ様とそんな話をしている。

うんうん、どれだけお化けが出て来ようが、現実の世界は暑い。

夏ってこんな感じだよね~。

というか、この町っぽいところが妙に暑い気がする。


「あの、ユキ様。他の所よりもこの場所、この町って暑くないですか?」


ユキ様の側にいたリュシも同じことを思っていたようで、疑問をぶつけている。

流石になぜかなんてわかるわけが……。


「ああ、それはコンクリートとかアスファルトの照り返しのせいだな」

「照り返し?」

「そうそう。日光がコンクリートやアスファルトに反射して、さらに暑くなるってやつ」

「え? そうなんですか?」

「普通は、土の地面とかは、少なからず凸凹していたり、草木が生えて保水も兼ねているんだが、こうして整えられたコンクリートやアスファルトはそういう揺らぎが少ないし、熱を減じる効果もない。だからなお暑いってっ話だな」

「確か、都会と田舎じゃ5、6度は差があるとか言いますよね?」

「まあ、そこまで露骨なのはそうそうないが、いや、照り返しで温度が上がる分、木陰だとそれぐらい差があるって話は聞いたことがあるな」

「でしょ」

「そこまで差があるんですね~」


びっくりだ。

そんなことも知っているんだ~。


「ま、それはいいとして、次の家だな。間違ってないよな?」


気が付けば次の目的地に到着したみたい。

でも、ちょっと私も戸惑ってしまう。

何故なら……。


「はい。住所がついているところですし、地図の配置上も間違いないです。けど……今回は……」

「すごく放置されている感じですね~」


ホービスの言う通り、放置されて久しいって感じの家だからだ。

具体的には。


「草木が生い茂っていますね」

「本当に、玄関にまで草が伸びてます」


プロフさんやオレリアの言う通りで、草木が伸び切っていて、通行するのにも面倒なぐらい。

どれだけ放置しているんだって感じ。


「まったく、ルナ様は何を考えてこのような家屋を選んだのでしょうか。これでは汚れてしまいます」


うん、プロフさんの言う通りだ。

あんなに玄関周りが荒れているなら、中はもっとひどいに決まっているよね。


「こういうのもあるって話なんだろうさ。幸い、さっきの家にスリッパがあったから借りてきたしな」

「本当にさっきの家の人は几帳面だったんでしょうね。お客さん用で10足もありましたし」


ああ、うん。

確かにさっきの平屋の家は綺麗だった。

きっと優しそうなおばあさんがいたんだよ。

だって、オレリアが目撃したんだし。


「しかし、ここまで手入れがされていないとなると、家の中は埃だらけということもあります。そうなれば病気の原因となります。ですよね、リュシ?」

「え? あ、まあ、環境が悪いところに行けば体調が悪くなるのは当然ですけど……。ユキ様はそういう病気にならないようにスキルがありますよね? というか私たちも」

「「「あ」」」


確かにその通りだ。

ユキ様はルナ様から、世界の魔力枯渇現象を調べるために、活動を妨げられるような障害、つまり病気などにはかからないようにスキルが与えられている。

私としては不死とか怪我をしないをつけてほしいと思ったんだけど、それだと暴れる馬鹿なダンジョンマスターが歴代でいたんだって。

はぁ、そんなお馬鹿たちのおかげで、ユキ様の危険が消えないっていうのは非常に腹立たしいよね。

まあ、ユキ様はそれぐらいがちょうどいいとは言っているけど。

と、そっちはいいとして、この程度の汚れは問題にならないって話なんだけど……。


「病気にならないからと言って、入っていいことにはなりませんし、ユキ様に病原菌がついてウィードで脅威を振るう可能性もあります。それにユキ様自身の権威にも傷がつきます。こんなぼろ屋によっているなど、お金がないと思われかねません。最悪空き巣です」


確かにこんなぼろ屋にユキ様が寄っているとか怪しいことをしているのかなって思うよね。

そんなのをウィードの人たちに思われるのは確かに問題だ。


「ああ、それはあるな。とはいえ、今回は時間が止まっているし、勘弁してくれ。これは仕事の一環だ」

「ですです。これも日本ではよくある話なんですよ。廃屋というか空き家ですけど」

「よくある? どういうことでしょうか?」


オレリアがタイキ様の説明に興味を持ったのか、聞き返す。


「ま、中に入って説明しよう。お邪魔します」


そうユキ様が言って玄関を開けると……入ることなく立ち止まります。


「おお、やっぱり空き家って感じだな」


ユキ様は中に入らず、かがんで何かを取ります。


「新聞ですか。良かったですね。これで近辺で何が起こったかわかるかもしれないです」


タイキ様も同じように落ちている紙を取ります。

なんか、見覚えがあるような……。


「え~っと、ユキ様。新聞っていうのは、漫画とかアニメであった?」

「ああ、そうだ。日本、いや地球における情報共有道具の一つだな。テレビやラジオが発明される前からあるものだな。とはいえ、廃れているかというとそうでもない。地方の事件とかも取り扱っているからな。そういう意味では情報を得るには貴重なものだ」


ああ、ホービスのおかげで思い出した。

アニメとかで新聞を読んでいる場面が何度かあったよね。


「ウィードではミコスの雑誌がそれに近いな。とはいえ、新聞を毎日印刷して販売するっていうのは、利益が微妙なんだよな」

「識字率の問題ですね?」

「ああ、オレリアの言う通りだし、新聞を見て何の情報を得たいのかって話もなる。お金を払うものだからな」

「なるほど。お金を払ってでも買う価値をつけなければ意味がないわけですね」

「そういうこと。さて、そこはいいとして、足元の情報から何か得られるといいからな。ちょっとビニール袋に詰めてと」


ユキ様はいつの間にか取り出したのか、ビニール袋を広げて新聞をあらかた入れる。


「新聞から情報を集めるのはここを調べてからだ。スリッパも出して、さっきの家で探索した編成で動くぞ」

「「「はい」」」


ということで、私たちは再び家屋の見学、もといスタンプの捜索に移るんだけど……。


「……酷いわね。いえ、何があったのかしら?」

「そうね~。何かあって慌てて出てきたような感じね~」

「うん。この部屋、布団は敷きっぱなしだし、掛布団がめくれているから、起き抜けのままってことだよね」


私たちが真っ先に入った個室らしき場所は、やっぱり住人の個室だったようで、生活感が残っているどころか、何かがあったその頃のままという感じだ。

家を空けるために掃除したとかそういうのは一切感じられない状態。

そのまま埃が積もっている。

それだけ、時間が経っているという証拠でもある。


「でも、この散らかりようだと、スタンプがどこにあるかわからないわね」

「荷物が一杯ね~」


うん、2人の言う通り、この部屋の持ち主は掃除というのに興味がなかったのか、至る所に本や荷物が積んであり、何から手を付けていいかわからないような状態だ。

そうなると、下手に手を出すと面倒だし……。


「ねぇ、ここはユキ様に一度相談してから、探すとして、ほかにいかない?」


そう提案すると、2人とも頷いてくれて、一旦部屋を出ると。


『きゃっ!?』


女性の叫び声が聞こえてきた。

顔を見合わせて言葉を告げることなく捜索は一旦中止して、その叫び声の元へと移動する。

どうやら、私たちが最後のようで、ほかの方は部屋の前に集まっていて。

部屋の中ではプロフさんが床に座り込んでいる姿が見える。

つまり、さっきの声はプロフさんってことになるんだけど……。


「いったい何があったのですか?」


そう私たちの代表でオレリアがそう質問をすると。


「いや、まだ聞けてない。タイキ君状況は?」

「いえ、俺は何がなんだか。部屋に入ってちょっと調べていたらびっくりした声を上げたんで。それに流石に俺がふれるのもあれですし」

「あ~、わかった」


うん、タイキ様はそういう所はわかっていますね。

私たちのピンチはユキ様が助けるべきです。

まあ、余裕があればですけど。


「プロフ、聞こえるか? プロフ?」


ユキ様がそうプロフさんに話しかけますが、まだ反応は無く……。


「プロフ。触るぞ」


そういって、ユキ様が肩に手を置くと。


「あ、ユキ様?」

「ああ、大丈夫か? 話はできるか?」


ようやく我に返ったようでユキ様のことをはっきりと見ている。


「あれ? なんかこの部屋綺麗だね」

「そうね。そうえいばさっきの部屋に比べると、整理されているわね」

「本当ね~」


先ほどの部屋に比べれば完全に整理整頓されている。

そして……あれ? 生活感がこっちはない?

同じ誰かの部屋に見えるのに。

と、そんな感想を言っている間にユキ様とプロフさんの話は進んだようで。


「なるほど。少女がいたと思ったら、バラバラになったと」

「……はい。声をかけて手で触れたと思ったら。そしてなぜかいつの間にか手に髪が絡みついていて、頭をこちらに」

「それは怖いですね」

「……ええ。あれは流石に驚きました。とはいえ、今は何もありません。いえ、確か窓にいたので」


そういわれて私たちは窓がある方向を見ると、窓の縁にスタンプがあるのを確認する。


「あったな」

「これで3度目。偶然ってわけじゃなさそうですね。とりあえずスタンプは持っていきましょう。流石にこの家に長居はしたくないですし」


うん、タイキ様に同意。

戻ってからスタンプは落ち着いて捺せばいいと思う。

なにかトラップがあればその時はその時だ。


「そうだな。オレリアが見た心霊もあるし、映像確認のためにもセーフハウスに戻ろう」


ということで私たちは一旦拠点に戻ることになるのでした。




これで恐怖体験をしていないのはヤユイとホービス、あとユキとタイキのみ。

さてさてどうなるのか。

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