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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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夏のスペシャル 2025年度 夏の怖い話 その5

夏のスペシャル 2025年度 夏の怖い話 その5



Side:リュシ



正直にいいます。

ユキ様がすごしていた日本の家屋を見るって言われたときはあまりピンとこなかったんですけど……。


「本当にすごいですね~。エアコン、冷蔵庫、テレビが普通にあります」


てっきり、王侯貴族だけの特別なものだと思っていたんですが、ユキ様の言う通り、その手の家電は持っているのが当たり前の世界、環境なんだって。

いえ、この家は大きいから裕福で買う余裕があっただけとも言えますけど、それでも個室にもテレビとエアコン、冷蔵庫が揃っているとは思いませんでした。

ああいうのは、旅館とかそういう商売をしているところだけかと思っていましたし。


「まあ、最近は普通だな」

「普通ですね。ああ、冷蔵庫は部屋の大きさであるところとないところがありますよね」

「意外と場所とるからな」


なるほど。

確かに冷蔵庫は相応に大きいもんね。

私に用意されているのはこの部屋と同じ小さい冷蔵庫で、調理場の方にある冷蔵庫はドーンって大きい。

ちなみに、私たちは大道路に面した、大きい家の中を探索しています。

リビングにスタンプラリーのスタンプがないとかでくまなく探している最中で、全員一緒です。

効率が悪いと思うんだけど、ばらけるのは危険だとも言っているんだよね。

まあ、慣れればあとで分かれて行動とかは言っているんだけど。

そんなに怖いことが起こるのかな?


「しかし、本当にスタンプラリーのスタンプはどこにあるんだ?」

「これ、机やタンスとかの引き出しを開けろってことですか?」

「家探しバリバリだな。嫌なものを見つけそうだ」


なんで引き出しを開けるのがいやなんだろう?

とりあえず。


「ユキ様。それなら、この冷蔵庫も中を見た方がいいですか?」

「ん? ああ、そういえば冷蔵庫の中を見てなかったな。他人の家の冷蔵庫を覗くのも無礼極まりないが、仕方ない。見てくれ」

「はい」


許可をもらったので私は小さめの冷蔵を開けて確認してみると、小さい冷蔵庫の中に、ドンッとでかい瓶が置いてあって……よくみると……。


「ひゃっ!?」


思わず飛び退いた。

何故なら……。


そのでかい瓶の中には人の首が入っていたから。


なんで人の首を瓶に?

なにかのサンプル? 医療研究?

いや、そんなことをこの家でする意味がない。

理解できない状況に目を白黒していると。


「大丈夫ですか?」

「あ、あ、プロ、フさん」


声をかけられて、そちらを振り向き、何とか声をだす。

人って驚くと、思い通りに声がでないんですね。


「何かあったのですか? 何もないようですが?」

「え?」


そう言われて改めて冷蔵庫に向き直ると何もありません。

いえ……。


「ん? いえ、違いますね。端にスタンプみたいなものがありますね」


はい、確かにスタンプです。


「どうした?」

「あ、いえ。スタンプが入っていたみたいです」


ユキ様も私の声が聞こえたようでこちらに来ますが、見間違いで心配をかけるわけにもいかずにそう答えます。


「ほんとだ。スタンプですよ。冷蔵庫に入れますかね? リビングのテーブルぐらいにしてほしいんですが」

「まあ、それだと速攻でどの家もリビングのテーブルでスタンプ回収して終わりになるしな」

「本当に念入りですね~。スタンプは外持ち出します?」

「いや、おいておこう。そういうルール違反をすると何か起こりそうだ」

「ですね。じゃ、皆スタンプラリーを押していこう」


そう言われて、リビングのテーブルでスタンプラリーをペタペタと埋めていきます。

これで二つ目。

今更ですが……。


「そういえば、スタンプラリーの用紙のマスと見学するところって数があってないですよね?」


私は今更その事実に気が付いた。

スランプラリーで押せる場所は6カ所。

でも、ルナさまから渡された地図に載っている見学できる家屋は20を超えている。


「あ~。まあ、そこまで時間をかけさせるつもりがないのか。または、スタンプを集めることで見えてくるものがあるとか」

「どういうことですか?」

「スタンプは一見普通の、何にもない、デザインがいいだけのものにしか見えないが、全部集めると何かわかるとかな」

「はぁ、そうなんですか?」


ユキ様の説明ではよくわからない。

どういうことなんだろうと思っていると、ユキ様がリビングにあったコピー用紙を取って何かを書き始める。

そして、それを破って、机に並べ始める。


「見てみるのが一番だな。まあ、これは分かりやすいやつだけどな」


そう説明しつつ、並べた紙には大きくテーブルと書いてあるのがわかる。


「これをバラバラにしてスタンプにしたとすると……」


そう言いつつ、一枚だけ取る。

8枚のうちの一つを見せられても、ただの棒が書いてあるだけにしか見えません。

ああ、言いたいことがわかりました。


「全部揃えることで、文字、あるいはヒントにつながるものが浮かぶわけですね」

「そういうこと。まあ、あくまでも可能性があるってだけだけどな。6個集めた時点で終わりだといいな」

「ですね~。で、どうします。結局ファイルは見つからないですけど」

「ない物は仕方がない。とりあえず、見本の家屋としてはあまり参考にはならないな。かなり贅沢な作りだし」

「確かに、私が以前住んでいた家はここまで広くはありませんでした」

「えーっと、プロフさんは元々ウィードでお部屋を借りていたのですよね?」


不意に、ヤユイさんがそう聞く。

そういえば、プロフさんはウィードに来てからはユキ様の側付きになるまでは、普通にウィードの一般人として過ごしてきたはずです。


「ええ。ウィードの一般的なアパートを借りていました。一軒家については家族もいませんし、広い家は管理が大変なので1LDKでしたね」

「一人暮らしだとそれが妥当だよな」

「俺は趣味の部屋が欲しいですから、2LDKですかね。一つが書斎というか趣味部屋」

「そういう人もいました。ですが、私はリビングで十分に勉強もできましたので」


うん、確かにそうだよね。

別に書斎というか部屋がなくてもリビングで勉強できるし。

私は最初から、ユキ様やルルア様に保護されていたから、病室から旅館の部屋だったけど、それでも1LDKスタイルだったし、あれで十分。

家電もそろっていたし、絶対村ではありえない贅沢な暮らしだった。


「参考にするのは、普通というとあれだが、一人暮らし用の家屋と2人から5人程度の家族が暮らせる用の家だな。これはおそらく4人程度だろうが、住むだけなら10人は行けるだろう」


確かに、ここは10人は十分生活できる空間があります。

ドレスルームとか、服をしまうだけの部屋とか、お貴族様ですかって感じですね。

ガレージに関しては車が3台も入っていますし。

ここは相応の人が暮らす家で、一般的とは言い難いですね。


「じゃあ、そうなると、次見るべきは大通りじゃなくて、路地に入ったところですかね?」

「だな。大通りって地価高いからな」

「そうですね。どうしても大通りは色々な人が通る都合上価格が高騰します。一般的な人は手を出しにくい額でしょう」


今更だけど、やっぱり町中の大通りの場所って相応に高いんだと改めて認識した。

私の村だとそういうのを考えたことはなかったけど、ウィードやほかの町を見てみると、人が通る場所ってそれだけ価値があるんだってわかる。

私が勤めているウィードの総合病院も人が寄りやすい大通りに繋がっているというのはバスが出ていたりして本当に便利なんだ。


「さて、次は南側の方に行ってみるか」


そういうことで、私たちは大通りにある豪邸から出ていって、次の場所を目指す。

でも、外に出ると、やっぱり暑い。

いや、熱い。

焼かれる。

そんなことを考えつつ歩いていると、ユキ様が横に来て。


「それで、冷蔵庫で何を見た?」

「え?」


いきなり聞かれて何のことだろうと思っていたんだけど、すぐに先ほどの瓶に入った生首のことを思い出した。

でも、あれは……。


「気のせいでもいい。あれだけの声を上げたんだ。きっとびっくりすることだったんだろう? 心霊系はそういうのがある。頭いってるんじゃないかっていう感じにな」

「ああ、ああいうのが、びっくり系、心霊なんですね」


確かに、アレは心底驚いた。


「で、どういうのをみたんだ?」


そう聞かれて、タイキ様やプロフさんたちも私に注目しているのに気が付く。


「大丈夫。頭がおかしいとか思わないから。そういうのが心霊の特徴だしな。特定の人にしか見えない。とかあって、孤立を誘う。だから正直に話なさい」

「……わかりました」


ということで、私が見たものを話す。

でも、こういうことで精神的に追い詰める心霊って厄介すぎないかな?

誰にもそうそう相談できることじゃないよ。


「なるほどな。瓶詰め生首が冷蔵庫にね」

「よくあるパターンですね」

「「「あるんですか?」」」


ユキ様とタイキ様のあっけらかんとした言葉に全員でそうツッコム。


「冷蔵庫に心霊系の何かがあるっていうのはパターンだしな。実際そういう事件もある」

「「「事件がある!?」」」

「そうそう、まあ理由は色々だけど。地球の方じゃ、人の死体って処分って本当に大変なんだ。だから、隠蔽のために腐らないように冷蔵庫に入れてたとか、コレクションのためにとか実際にあったんだよ」

「……一言で言って正気を疑いますね」


うん、プロフさんに同意。

死体と一緒に生活って。

別にアンデッドにするとかじゃないんですよね?


「だから、頭イッてるってことだな」

「常人にはそういう人の思考はわからないですよ」

「それで、思い出させるようで悪いが、その瓶詰の生首。何か特徴を覚えているか?」

「とく、ちょう?」

「ああ、さっきも言ったが、冷蔵庫に入っているってことは元になる事件とかがあるはずなんだ。男か女か、年齢はどうだったか。それで、次の家屋で新聞でも探して、事件を追えるかもしれない」

「帰るヒントに繋がるってやつですね」

「ああ、なるほど」


なんて手の込んだ。

いや、だからこそ楽しめるってやつなんでしょうけど。

時間がかかる……あ、だから時間を止めているのか。

……無駄に凄いことをしている。

と、それより、生首の特徴……。


「えーと、女性の方だったと思います。理由は顔つきですね。まあ、そういう男性もいますけど……髪は長い、いえ、肩ほどのセミロングだったかと思います。ブワッと、水中で広がっていたので」


あれは、短髪の髪ではありえない。


「なるほどな。その手の女性の記事を新聞で探してみるか。で、リュシが今回幽霊っぽいのを見つけたわけだ。これから集中してみる可能性があるけど、落ち着いてな。プロフ、オレリア、オービス、ヤユイも同じことがあるかもしれないが、慌てて走り出したりしないこと。パニックが一番危険だからな」

「「「はい」」」


うん、あの時は驚いて飛び退いちゃったもんね。

幸い誰にも、モノにもぶつかることなかったけど、狭い場所だと何かにぶつかって危険だ。


「よし、じゃあ、次の所に行くか」


こうして、気持ちを改めて次の家へと向かうのでした。



出てきたのは瓶詰め生首。

これはただの偶然か、それとも関連があるのか。


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私感で感想 蘊蓄其之壱 拙僧は最初、岩崎書店のエスエフ少年文庫で邦題「生きている首」で読んだけど、アレクサンドル・ベリャーエフの古典SFで邦題「ドゥエル教授の首」を思い出したよ。 「フランケンシュタ…
あっ、マジで瓶詰めなんだ。 てっきり顔写真を瓶の内側に張り付けたそう見えるジョークグッズかと思った。
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