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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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夏のスペシャル 2025年度 夏の怖い話 その1

ようこそ夏の世界へ

落とし穴外伝:2025年度 夏の怖い話 その1



Side:ユキ



「暑い。いや、暑くなったか」

「はい。この暑さ、夏が到来という感じですね」


俺のつぶやきにプロフがすぐに返してくれる。

片手で傘を作り、天上に輝く太陽を見る。

サンサンと降り注ぐ日光と熱。

外にいるだけで汗がにじんでくる。


「プロフも、オレリア、ホービス、ヤユイも水分補給わすれるなよ。熱中症になったらいけないからな」

「「「はい」」」


俺に側付きの面々は即座に返事をしてくれる。

とはいえ、無理は簡単にするからな。

俺が注意しておかないと。


なら、なんでこんなクソ暑い日中、外を出歩いているのかっていうと……。


「もうそろそろですね。ルナ様がご用意してくれた、日本の家屋見本は」


オレリアが地図を見ながらそう言ってくる。

うん、ここに来たのは今後の発展を願ってというか、ウィードの建築をこれからどうするのかということになって、見本となる物を集めようということになったのだ。

別に日本のモノだけでなく、ロガリ大陸やイフ大陸、ハイデン地方、ズラブル地方、果てはホーリーが孤島の家屋も検討する予定ではあるが、日本家屋だけは、この世界においてオーバーテクノロジーすぎるので、まずは別で用意して、俺たちで見て、参考にできるモノを厳選するという話になったわけだ。


とはいえ、その俺たちといっても、セラリアたちこちらの世界出身の嫁さんたちではよくわからないので、俺が主に見ることになっている。

もちろん、俺だけではなく……。


「えーっと、なんで俺だけなんですか? タイゾウさんやソウタさんもいてもおかしくないと思うんですけど?」


そう、この場には勇者王であるタイキ君も一緒なのだ。

が、不満そうに質問をしてくる。


「タイゾウさんは年代が違いすぎるからな。普通の家屋の基準が違う」

「あ~、それはそうですね」


タイゾウさんは1930年代の家屋だから、2020年以降とは全くと言っていいほど家屋の形態は違うだろう。

ツーバイフォー住宅とかここ40年で生まれた工法だしな。

そして……。


「ソウタさんの方は外部待機要員だ」

「はい? 外部待機要員?」


タイキ君はよくわからないという感じで首を傾げている。


「ソウタさんは水と一緒にいる現役の霊能力者と言っていいだろう」


何せ、子孫のカグラは巫女をやっているほどだ。

駄目神ハイレンを降ろす器に成れた逸材でもある。


「あ、はい。って、ちょっと待ってください。用意した家屋って何かあるんですか!?」


俺としてはタイキ君の言葉を否定したいのだが……。


「詳しい情報を一つ開陳しよう。見本の家屋を持ってきたのはルナだ」

「はぁ~!? もってきたってなんですか!?」


俺の言葉に驚きの声を上げるタイキ君。

俺も同じように驚いたよ。


「流石に家屋を丸ごと持ってきたっていうのはないとおもう。何せ騒ぎになるからな。多分現地で気に入ったやつをコピーして持ってきたってことだろう。とはいえ……」

「普通の家屋があるか怪しいじゃないですか!」


うん、タイキ君の言う通り。

このうだるような暑さと家屋なんて、コンビは夏の風物詩になりうる。

いや、家屋だけで恐怖体験だよな。

だってルナが見繕ったんだから。


「ユキ様。タイキ様が仰っていることは?」


コテンと首を傾げているプロフ。

ああ、そうか。

プロフ、オレリア、ホービス、ヤユイはルナの夏の悪戯をしらない。

いや、ハヴィアや、チャエヤ、ホウプを筆頭にノリコや中本中尉、鈴彦姫や唐児などの心霊は知っているのだが、それに巻き込まれた経験はないのだ。

あれがどれだけ厄介か。

で、ふと思った。


「しまった。これ、プロフたちおいてきた方がよかったか?」

「というか、今ここで帰ってもらった方が安全じゃないですか」


タイキ君の言う通りだ。

普通に側付きで付き合ってもらっていたが、怪異に巻き込まれる危険性を考えると戻ってもらった方が……。

そう思っていると、不意に両腕が捕まれる。

なんだと思って、見るとオレリアとホービスがホールドしている。


「ユキ様。私たちの心配は感謝いたしますが……」

「そういうのは駄目ですよ~。護衛も兼ねているんですから~」


そう言われてしまう。

まあ、確かにそうではあるんだが、怪異だと腕力はほぼ通用しないしな~。


「それに、ルナ様がやることなら怖くても、被害はないんじゃないですか?」

「そうですね。ヤユイの言う通りだと思いますが、どうでしょうか?」

「ああ、それは間違いない」


そして正面にいるヤユイとプロフに聞かれて素直に話す。

女性に対して被害が出るようなことはしないだろう。

俺たちは別だと思うがな。


「あ、まあ、そう、ですね」


タイキ君も女性被害はなく、俺たちだけというのが分かっているのか歯切れ悪く返事をする。


「では、向かいましょう。大丈夫です。ユキ様やタイキ様が危険な目に合う時は私たちがお守りいたします」

「そうです」


プロフとヤユイが任せろと言ってくるが、パッと見た目は身長の低い少女といってもいい容姿の二人にそういわれてもな……。


「まあ、そこはほどほどにな」

「ですね」


子供、あるいは女性に庇われる男とか、色々問題だ。

と、そんな話をしていると、目的地に到着したようで、ずらっと見慣れた家屋が並んでいる場所にたどり着く。

というか……。


「普通にここだけ日本の風景ですね。コンクリの道路とか、完全再現じゃないですか」


タイキ君の言う通り、どう見ても日本の住宅街再現ってレベルだった。

普通に数軒並べているだけかと思えば、ここだけで40軒は並んでいて、道路もコンクリートと歩道もある立派なタイプ。

そして街灯もあれば公園らしきものもある。

軽い町とも言っていいほどだ。

そして、ここまで手が込んでいるとなると……。


「あ、ユキ様。お待ちしておりました」


なぜか、そこにはルナではなく、リュシがいてこちらに向けて手を振りながら駆け寄ってくる。


「なんでリュシがここに?」

「ルナ様に言われて、ここでユキ様と一緒に日本の家屋を見てくるようにと。医療にも使えるものがあるかもしれないからと。病院もあるみたいですよ」

「「びょう、いん」」


その言葉に俺とタイキ君の顔がこわばる。

凄く嫌な予感がビンビンする。


「どうしたんですか? とりあえず、最初に見る候補を教えてもらっていますが、その前に休憩しますか?」



そう言われて、俺とタイキ君は遠慮なく休憩を選び、自動販売機がある公園のテーブル席へとつく。

ちなみに、プロフたち女性陣は別席。

一旦相談することがあるといって。


「「……」」


冷えた缶ジュースが結露し、テーブルを濡らしていく中、俺たちは沈黙を保っている。

蝉の鳴き声が響き、その中でようやくタイキ君が口を開く。


「……これ、この町を舞台にしていませんか?」

「……否定したい。流石にそこまではないと。ほら、この家屋の中でどれかが訳あり物件だってことは……」

「ユキさん。自分も騙せてないですよ」

「ぐっ」


指摘されて口ごもる。

そうなんだよな。

ルナがここまでの規模の舞台を用意して、問題があるのは数件だけ。

なんてのはほぼない。

これはどれかが当たりではなく、この舞台が丸ごとトラップというやつだろう。


「とりあえず、リュシさんからもらったマップ、地図を見て、考えてみませんか?」

「……そうだな。もう踏み込んでしまったんだ。まずは仕事をこなすことを考えよう。あと、ソウタさんに連絡は入れられるか?」

「あ、そうでした。そのための待機でしたね」

「ああ、とりあえず、援軍をさっさと頼もう」


今一番の希望であるソウタさんへの連絡を取ることにするが……。


「ダメです。繋がりません」

「マジか。あの野郎」


俺も慌ててコールで連絡を取ってみるが。


『現在おかけになった番号は、電源が入っていないため繋がりません』


そんな馬鹿な返答が帰って来た。


「コールに電源とかいらわんわ! もっと設定頑張れよ!」


と、どなったらプロフたちが駆け寄ってきて、俺たちの夏が始まるのだった。



そして始まる町全体ホラーへ。

今回のヒロインはプロフ、オレリア、ホービス、ヤユイ、リュシ。

恐らく新人歓迎も兼ねているのかと。

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― 新着の感想 ―
ひなみざわカナ、カナ?
タイゾウさんの時代の家屋…… おじいちゃんから聞いた話だが(ココ重要)、電気冷蔵庫やましてやブラウン管テレビが家庭に来る前で、家電と言えば電灯くらい? なので壁にコンセントもないです。 電灯も蛍光管…
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