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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1826堀:新大陸の各員の状況確認

新大陸の各員の状況確認



Side:ユキ



「ははっ」

「笑い事じゃないですよ? 本当にグランドマスターなら新大陸に行くぐらいは簡単にしそうです」

「うえ~、それは流石に……」

「やめてほしいですね」

「ええ、本当に」

「あのおじい様、本当にパワフルだものね」

「どこでも生きていけると思うよ~」


俺は今、ミリーを含めて新大陸で活動中のメンバーと会議中だ。

理由は一通りどこの部署も進行中の活動が落ち着いたから、今度の予定の話し合いってやつだ。


「ま、ミリーからの話はわかった。村での行方不明事件はスアナの町での陰謀に行きついたわけだ」

「本当に関係ないのに、関係しているとか意味不明ですけど」


本当にな。

実際村人たちはオーエに召喚されていたのは間違いない。

だけど、スアナの町の開拓には関係していない。

これが関係していないのに関係しているっていう話だ。


「とはいえ、グランドマスターの言う通り、犯罪計画だけじゃしょっ引けないよな。何せ、罪は犯していないんだし。トーリならどうする? あ、トーリの方は大丈夫なんだっけ? フィオラも」

「はい。大丈夫です。というか、手が足りなくて徐々にしか調査できていませんから、進展も遅いんですよね」

「まあ、土地の調査というのはそういうモノです。ですが、ウィードではドローンや使い魔を利用しているので、その調査が遅いというのも他国から見れば圧倒的に早いです」


そりゃな、土地を調べるっていうのは簡単ではないけれど、地球の知識や技術を導入すれば、何をどう調べていいのかというのはわかるしな。

テキトウじゃないんだ。

項目が存在している、わかりやすく言うと、広さ、土の環境、植生、動物の有無、水源、鉱物、そういうのだ。

区域を作って調べているので、わかりやすい成果が上がっているわけだ。

あやふやな回答はないってことだな。


「うんうん。あ、それで私ならどうするかっていう話ですけど……こういうのはやっぱり現場に乗り込むしかないんじゃないですか?」

「私もトーリの意見に賛成です。貴族が裏にいるのであれば、口封じに関してはかなり徹底しているでしょう。平民というとあれですが、普通の人の意見と貴族の意見はどちらが信頼が置けるかという話にもなります。その現場で我々の誰かでも参加していれば、ある程度は信用が置けますが、そもそも、私たちがなぜそのスアナの町にいるのかという話にもなりますが……」

「そこなんだよな。今回の件、確かに俺たちがこっそり介入していたが、あくまでも国の諸事情ってことになるしな。すでに、新大陸、召喚誘拐の件は片付いている。まあ、新大陸の問題はまだまだだが、行方不明事件は解決していて、闇ギルドはあの村に関しては関係がなかったことが証明されている。つまり……」


俺が口を開く前に北の町の防衛をしているスタシアが口を開く。


「ウィードは介入をする口実を失ったわけですね」

「スタシアの言う通り。まあ、まだ闇ギルドが関係していないかはわからないが……」

「ですが、ほぼ可能性が無くなった。これでことが露見すれば問題になりかねないと」

「その通り」

「しかし、行方不明事件は召喚事件ではありましたから、そこから介入はできませんか? あの森一帯が召喚範囲という感じだったのでは? カグラが調べていましたよね?」


その発言でカグラに視線が集まる。

今はジェヤエス王国への使者としての業務を優先でやっているが、基本的には召喚のメカニズムを調べることが当初の目的だった。

勝手に召喚されても困るし、召喚のルールというかそういうのを解析して防止できればな~と。

まあ、あの村からなんでというのもあった。

ただ座標がそうだったのか、それとも何かあそこの村の人たちを選ぶ理由があったのか。


「召喚陣の解析はまだまだね。私は召喚をする魔力があっただけで、知識があったわけじゃないし。とりあえず、あの魔法陣に関するデータを取って、コメットとかザーギス、ソウタ様とかに協力を仰いでいる感じ。進展に関しては聞いていないわね。何かわかればあの人たちなら喜んで自慢しに来るでしょう?」


その言葉に全員で頷く。

やっぱりあいつらはそういう認識だよな。

技術、魔術の研究馬鹿。

まあ、大したことじゃなければ報告はしないだろうが、解析が終われば一応仕事なので連絡ぐらいは入れる。

こっちは何せ雇用者だからだな。

給与が欲しければ俺の言うことを聞くしかないわけだ。


「ついでだ。カグラとミコスの方は状況はどうなっている?」

「私については、スエナ王女はもちろん、オーエの王族や重鎮とは円満ね。ウィードに連れて行ってからなおのことね。こちらの力、いえ、繋がっている国々を見て安心したみたい。ダナ王妃もウィードのホテルで出産に備えているし、そういう意味でも関係は良好ね。使者に関してはミコスからで」

「使者のことはユキ先生も知っていると思うけど、このカタログが大好評。なんか出来が良すぎて、セラリアから各国にも出すからって言われたんだよね。また編集するのが大変だよ」


カグラの言う通り、オーエはウィードに連れてきて正解だったな。

さらにこちらを信用してくれるようになったと思う。

ミコスのカタログをもっての商品紹介も思いのほか好評であり、出来が良いということで、大陸間交流同盟の国に見せないのが問題になると。

まあ、ミコスが作ったカタログは本当に良い出来だしな。

一々説明をしなくてもわかるし、元々その手の製品を知っているものたちにとっては、本当に便利なカタログだろう。

だから、大陸間交流同盟国用にも作れってなったわけだ。


「ミコスには頑張ってもらうしかないな。カグラはよくやってくれているな。まあ、引き続き面倒だが交渉役頼む」

「まっかせてよ~。ミコスちゃんの押し売り……じゃなくてパーフェクトなセールスで興味引いてくるから!」

「押し売りっていうのは自覚があるのね。まあ、そういうのを通すのが私たちの仕事だし、オーエとの交流については、私だけじゃないし、ユキたちも含めてオーエとは対応していくだけよ」


確かに、オーエとの交流はカグラだけじゃないからな。

ミコスに関しては、オーエの時に紹介したことで成果が上がっているから、心配はしてない。

まあ、やりすぎないようにと言いたいが、ウィードのことを認めてもらうにはこれが一番だしな。

こういう熱は必要だと思うので、遠慮は無しだ。

在庫の管理が難しいという問題があったが、そこはDPでの取り寄せることでしのぐことになった。

どこまで売れるかさっぱりだしな。


「そうだな。さて、スタシアに戻って北の町についてはどうだ?」

「はい。北の町については、ウィードが所有している砦については万全です。部下たちも環境になれたようで、特に問題はありません。町の住人たちについても日ごろのふれあいはもちろん、物資の支援もありこちらの軍を怖がってはいません」

「それはなにより。経過は聞いていたが、今も継続できているのはありがたいな」

「そうですね。私もそう思いますが、やはり懸念が出てきています。北の町に控えているオーエ軍に関してです」

「何かあったか?」

「今のところは問題はありませんが、民衆の支持がウィード側に寄っている感じがします。今のところ声が大きいぐらいですが……」

「「「ああ」」」


その回答にトーリたちも納得したように頷く。


「そこまで露骨か? 全員が感じているようだが?」

「露骨というか、歓声といいましょうか……」

「だねぇ、私も北の砦に用があるときに、町の方も見て回るんですけど、声を掛けられますし、お店を出している人から色々ともらいます」

「私もあるわね。まあ、一つ二つならまあいいけど……」

「集まって沢山になるからね~。ミコスちゃんもびっくりだよ。子供たちもミコスちゃんたちにくれようとするから遠慮するしかないし、もらっても軍の備蓄というか、本日の晩御飯になるだけだから、あまり意味がないというか循環しているというか」

「まあ、今のところ物資はウィードがほぼ支援している分だけだしな。それを渡してもらってもな……」


ミコスの言う通り、本当に循環というか、もらったものをそのまま返しているというか……。


「一応仕入れをしたものですから金銭のやり取りが発生しています。それを無料で渡すということは、北の町の人たちにとっては損失のはずなのですが、結構あります。かといって拒否するのも……」

「難しいな。とはいえ、北の町のオーエ軍は扱いが雑ってことなのか?」

「いえ、そこも変わりはありません。同盟の友として、ウィードと肩を並べるオーエの軍も尊敬を集めており、同じように歓声とプレゼントを受け取っています。問題は、今回の戦争のせいで、当然と言えば当然ですが、兵士に志願したいという者が多数出てきていることなのです」

「そりゃ、自分が住んでいるところが攻められたんだから当然だな」


北の町が襲われた。

人も相応に死んだ。

そこから自分もできることをということで、まずは兵士になろうとするものが出てくるのは当然だ。


「とはいえ、オーエの状況としては、兵士をさらに雇い入れる余裕はありません。元々兵士に関しては限界数ですし、それを支える食料を筆頭とした物資もありません」

「そうだったな」


オーエは今回の戦いが勃発してからは分からないが、確か総人口の5パーセント近く5000を兵士にしていたはずだ。

これ以上兵士として雇い入れても給与が払えないし、武具も出せないということになる。

そうなれば兵士の意味がないよな。


「そこで、ウィードに雇ってもらえばという話が出ているのです」

「おおう。いや、余力があるかないかでいうと……」

「あります。今は小康状態ですし、オーエの戦力が上がるのは間違いありませんが……。ウィードがオーエの民を雇い養うというのは……」

「大問題ね。とはいえ、民衆が働き口を探すというのは何も間違いじゃないし……。ただ雇い主がウィードというだけでもある」

「いやいや、ただウィードが雇っているってわけにはいかないでしょ。ミコスちゃんでもわかるよ。やばいって」


ミコスの言う通り、やばい話だ。

普通ならありえない話なのだが……。


「北に詰めているオーエ軍のダウア将軍や領主はどう思っているんだ?」

「二人とも難しい顔をしていますが、経済を回すという点では間違いではないですし、オーエの戦力を上げることになるというのは同一の見解ですね」

「その事実はあるが……うーん、わかったカグラそのことについては詰める必要があるから、エリスやラッツ、セラリアと話してみる」

「お願い。私だけで判断できることじゃないわ」


という感じで、大まかには問題はないが、微妙なところ、いや、扱いを誤ると大やけどになりかねないことが起きているというのはわかった。



負けても勝っても民衆の意識っていうのは変わってくる。

適切な意識の変動ならいいんだけど、やる気満々になってもやる気をなくしても困るよね。

そういうのバランスを取るのも上は大変。

本当に冒険者として単独、あるいはパーティーだけで動く主人公たちはそういう意味では本当に便利。


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― 新着の感想 ―
配給した物資が循環して戻って来る? 感謝の気持を伝えたいのだけど、それに見合う価値あるものが偶々配ったものだったということでしょうね? 渡した子もそれが彼女らから貰ったものだと言うことに多分気づいて…
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