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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1824堀:パーティー終わってのウィード

パーティー終わってのウィード



Side:セラリア



グラス港町完成パーティーが終わって3日が経ったのだけれど……。


「えーと、シスアとソーナより、グラスのリゾートホテルでずっと泊まっている王族がいるのですが、移民の計画を進めていいのか話が来ています」


クアルがそう苦笑いしながら書類の内容を言いながら渡してくる。


「はぁ、事前に5日後には移民を本格的に始めるっていっているのにまだ残っているの?」


その書類には確かにシスアとソーナからで、他国の王族が残っているのに騒ぎとまでは言わないが、人の大移動となると安全性などが損なわれるので心配だという旨が書かれている。

ああ、もちろん残っている国の連中の名前も。


「……というか、大国は全員残っているわね」

「まあ、伝えた内容が内容ですからね。会議を連日しているようですね」

「はっ、会議を屋上プールとお風呂にラウンジのバーでするバカがどこにいるのよ。用意している会議室を借りたいって申請はほぼないわよね?」

「この3日で2回ですね。とはいえ、細部を詰めるというわけにもいかないでしょう。全然情報が出そろっていないのですから」

「なら、さっさと帰れって思うのよね」

「よいではないですか。バチバチになっても困りますが、足並みをそろえる意思はあるのですから」

「……そうともとれるか。下手に突出しても、後だしでもお互いに気まずいわね」


クアルに指摘されて、その可能性に気が付く。

確かに新大陸進出というのは大きな可能性を秘めているが、どちらにしても負担が大きく、下手をすると損失を被る可能性もある。

まあ、そんなことは伝えているが、それを聞いた各大陸大国としては、先に出るにしてもあとで出るにしても、ちゃんと足並み、話し合いをしてでないとよからぬことを考えていると思われるわけね。


一番乗りをした人はおそらく一番の負担を背負うことになるが、名誉は得ることができるし、ほかの各国に大きい顔ができるだろう。

逆に一番最後に新大陸に赴いた国は失敗するリスクはないが、名誉もない。ほかの国が歩いてきた、情報を携えているわけだから。


一長一短ね。

どちらも悪いとは言えないけれど、勝手にやると印象はわるくなるか。


「とはいえ、そういう意味でもさっさと帰って捻出戦力とか考えるべきだと思うけれどね」

「そこらへんは部下に任せて、上は外交が仕事というやつでしょう。どの国にも事情というモノがあるでしょうし、先陣を切るわけにもいかないところもあれば、先陣を切ることが必要な所もあるでしょう」

「国内事情的にってやつね。でも、先陣というには私たちウィードが最初なんだけどね」

「はい。ですが、ほぼ相応の戦闘が待っているとわかっている場所ですからね。ウィードの為の先陣とも取れるわけですよ。それはウィードの為に真っ先に動いたとも取れるわけです」

「ああ、真っ先に援軍に駆け付けたってことか。そうなると一番最後は……まあ、評価は低くなるのは当然ね。とはいえ、別に戦争ってわけじゃないんだけど」

「それはそうですが、リスクが大きいのは当然ですし、今お話しした名誉もありますから、事前の打ち合わせは必要でしょう。最後に来る国は割を食う可能性も高いですし」

「……そうね、確かに新大陸の南部だけでも広大ではあるけれど、全部の土地が希望に適しているとは限らないし。というか、あそこほとんど荒野よね?」


私は改めてトーリたち南部防衛兼調査隊の報告書の一部である地図をモニターに映す。

今や私の執務もパソコン主体だ。

もちろんクアルも。

ああ、大事なことは紙書類や羊皮紙なのは変わらないけれど、通常業務とかは慣れるとパソコンがめちゃくちゃ便利なのよ。

エリスもラッツも素早く対応したけれど、私もようやくって感じね。


と、そこはいいとして新大陸南部の調査できている範囲だけど……。


「見渡す限り荒野ですね。水源というか池のようなのがわずか十四カ所。しかも大きいとは言えませんね。千人規模の軍人が生活の為の水源とするには少々無理がある」

「そうよね」


トーリたちが調べてくれた池に関しては数は相応にあるが、クアルの言うようにそれなりの人数が生活できるような規模かというと違う。

本当に小池程度だ。

もちろん、そこを利用している生き物も魔物以外にも居るので、その手の問題も出てくる。

つまり、水が確保できない。


「普通に人が生活するには厳しい環境よね」

「はい。ただの人では魔物の相手はもちろん、自然環境とも向き合う必要がありますし、なかなか厳しいですね。軍としても水はもちろん食料の確保にも手古摺りますね。普通であれば」

「ええ、でもウィードの支援があるから、その手の問題はもろもろ解決していると言っていい。だから、そういう意味で土地を確保をすることはないわね」

「ですね。水と食料はこちらが協力しますから、向こう側が考えるのは、どれだけ他の意味で価値のある場所であるかという話ですね」


そう、こんな条件の所に人がくるかってことは夫も私たちも想定済みだし、面倒事に巻き込むというのはわかりきっているから、最初から水や食料問題は解決している。

だから、クアルの言うように別の価値が土地を選ぶ理由となる。


「そこが難しいところね。見る限り荒野だし、台地もあるにはあるけれど、移動手段も面倒。特殊な環境があるかもしれないけれど、それだけだしね」

「案外そういうのが狙い目かもしれませんね。台地は独立した環境で相応に自然は整っていると聞いています」

「確かに、トーリの砦は荒野と台地の二カ所ね。まあほぼ隣接しているんだけど」

「そうです。台地を背に拠点を作れば、守る範囲は限定できますから。まあ、台地から魔物が降ってこないとは言わないのですが」


確かに、クアルの言う通り防衛という観点で見れば、壁を背に拠点を作るというのは各大陸でも見られる。

天然の要害というやつね。


「土地の資源調査とかもする予定だし、そこらへんで変わってくるでしょうね」

「仰る通りかと。向こうも自動車を生産する上では必要な資源があるでしょうし、その一部が新大陸でも見つかればその価値は跳ね上がります。勿論、そんなのが見つかれば相応に取り合いになりそうですが」

「それはそれで面倒か。ま、この手の問題は昔からよね」

「土地の資源問題は昔からあるしね。フィオラのダファイオも水資源が問題だったし」

「まあ、確かに水資源が少なくなったというのは本当ですが、大本は住み着いたコーラル殿の問題でしたが」

「どのみち同じよ。何らかの理由で資源が枯渇すれば、その代わりを求めて争いが起こるって話。というかダファイオの時の問題はコーラルでよかったともとれるし」

「そうですね。あの時は水源が復活しましたからね。本当にただの枯渇ならもっと大きな問題になったことでしょう」

「と、話がそれたわね。結局のところ大国たちが進出する場所は判断付かないわね」

「ええ。まあ、これからトーリ様たちの調査でわかることから選ぶ基準も変わってくるでしょうし、今考えても仕方がないのでは?」

「……そうね。ま、グラス港町がそれだけ気にいられていると思っておきましょう。シスアとソーナには向こう側はとっくに承知済みだから、さっさと移民を始めて良しって」


結局のところ動かない王たちが悪いんだし、こちらに落ち度はないから当初の計画は進めて良し。

別にこれで大事故が起こるとは思えないし、そんなザルな警備をしてはいないわ。

本人たちの護衛もいるんだしほっとけってやつね。

ホテルで飯を食わせていればいいのよ。

基本的にあのホテルはVIP用だし、一般用のホテルは分けているので本当に問題なし。


「分かりました。ああ、要人で思い出しましたが、グランドマスターの件はどうなっているのでしょうか? ニーナたちが向こうの職員と合流したところで、一度話し合いの席を持ったというのは聞いていますが?」

「あら、クアルは詳細は聞いていなかったかしら?」

「その時はパーティーの現場でバタバタしていましたからね。途中で退室していましたよ。私は今後は使い魔やドローンで追跡をするという話でしたね」

「ああ、あれね。まあ、私も同じように退出して、ホテルに来ている要人対応は同じよ。その後に関しては……」


私はその後の報告書を出してクアルのパソコンに送る。


「なるほど。いったんグランドマスターは戻り、調査を実際に始めたと。ニーナ様たちはアルカ殿の知り合いというのはそのまま継続して、冒険者として依頼を受けさせているわけですね」

「そう。別に今すぐスアナの町がどうこうなる話ではなかったし、まあ、移民の話が出てくるとちょっと微妙だけど」

「まだ、その発表もないのですよね?」

「ないわね。今その裏どりをしている最中ってところ。霧華の部下も回してもらっているわ。まさか、王家関係なしとは思わなかったわね」

「アルカ殿の話が正しければあの魔物の森はお互いの国にとっては不可侵の所なのでしょうし、あそこに手を出せば戦争になるとわかっているようですからね。とはいえ、手に入れられるなら手に入れたいというのはあるでしょう」

「まあね。それは間違いなく成果にはなる。とはいえ、上が認めているかはさっぱりわからないけど」


何せ、下手をすると開戦だ。

今の状況で開戦なんてことになれば、上、つまり面倒を見てくれている大国から何を言われるか分かったものではない。

大国としても、そういう争いを起こされると統治に問題が出ていると思われるしね。

まあ、だからこそ黙って動いているって話なんでしょうけど。

アルカって職員の話が正しければ、あくまでも魔物に襲われた移民を救うために軍を派遣するってことになっているみたいだけどね。


「認めてはいないでしょう。何せ認めれば領土侵犯ともなりかねません。あっても裏での指示ぐらいでしょう」

「そうよね。そんなことを堂々と指示していたら、ロシュールが黙っていないわよ。ま、結局、情報を待つのが大事ね。ああ、そういえば、オーエでのカタログを見せて意外と評判だったって話があって」

「ああ、聞きました。思った以上に新大陸でも受け入れられそうだということで、ジェヤエス王国の訪問には期待が持てるとのことですね」

「そうね。とはいえ、オーエだけでも在庫が足りなくなりそうだから、生産とは別にDPで出したいと要請があったわ」

「あ~、まあ当然かと。貴族たちがアレを見てほしがらないわけがないですし、追い付かないでしょう」

「そうなのよ。というか、それを聞いたエリスは大陸間交流同盟にも配らなくていいのかって話になったのよね。思ったよりもいい出来で、ほら」


私はそう言いながらカタログをクアルに見せる。


「……これは、ミコス様頑張りすぎですね。エリス様が気が付いてよかった。新大陸優先で配れば非難が出ているレベルですよ。生産と倉庫は増やすべきでは?」

「そこが読みづらいしすぐに用意できるわけもないから、難しいって話なのよ」

「なるほど。確かに作れと言ってすぐにできるモノでもないですね。なら、DPでしばらくは耐えつつ、生産体制を整えるしかないのでは?」

「そうね。で、誰がその計画を作るって話になるんだけど?」

「……ミコス様とラッツ様では?」

「二人とも暇ってわけじゃないのよね……。とはいえ、発案者だし一応話をしてみるわ」


結局、仕事が増えていきそうよね。

減ったと思えば増える。

仕事ってそういうモノか……。

まさか、夫の方に回すわけにもいかないし。

夫なら適当に相応な成果もあげるけど、無駄に頑張るのよね……。


はぁ、ままならないモノね。



毎度のことながら、仕事は増える。

とはいえ、一応各戦況は落ち着いてはいる。

一番忙しいのは生産の方ですね。

戦いがない時も世の中は戦いなわけです。


女王であるセラリアはそういう陳情を処理して頭の痛い仕事。

まあ、夫や仲間がいるので負担はほかの国よりはマシですが。



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