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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2126/2218

第1822堀:目的の国についてと商品紹介

目的の国についてと商品紹介



Side:オレリア



私たちの前では挨拶をおえたオーエ王たちがテーブルの上にウィードが提供した地図を広げて説明をしています。


「ジェヤエス王国はこの位置にあり、オーエ王国と同じように、森での狩猟と平地での作物の栽培を行っている国で、それが収入源でもある国です」


示された場所は、確かに国がある場所で距離的には凡そ1000キロといったところでしょう。

うん、隣国というには遠い気もしますが、王都との距離ですから、その間に町や村があるのですから、国境はもっと近いのでしょう。

とはいえ、馬車が主な長距離移動の手段となると、日の移動距離は精々できて20キロもいけばいい方でしょうが、それだと50日はかかる計算になります。

まあ、別に距離を考えれば当然の計算なのですが、私たちにとってはその時間は無駄です。

何せ移動に関しては、こちらが車両を出しますので、日に100キロは固いでしょう。10日とみていいです。

問題はそこではなく……。


「作物が収入源ですか。そうなると、規模はかなりのモノとみて良いのでしょうか?」

「はい。ジェヤエス王国はオーエ王国が食料輸入に頼っている中での最大の輸出量を誇っています。まずはこことの交渉を成功させるのが私たちとしては最大の目標となっています」

「なるほど」


オーエ王国を支える食料となるとその耕作面積は膨大です。


「国土に関しては?」

「国土は正確には聞いていませんが……」


ユキ様の質問にスエナ王女は地図にペンを入れていきます。

それは納得の広大な範囲です。


「これなら確かに食料の生産は可能ですね。国力、人口などに関しては?」

「こちらも聞きかじりですが我が国の30倍、つまり300万にも及ぶと言われています」

「300万ですか。なるほど、それならば確かに力はあるでしょう」


300万の人口。

確かに多いですが、大国と呼ぶには少し足りない気がしますね。

大国は総じて1000万は超えていますし、中堅国家の真ん中ぐらいでしょうか?


「兵力に関しても正確ではありませんが、総兵力は10万はあると」

「なるほど。それで本題である、その国の特性というか、好き嫌い、文化の特徴などはありますか?」

「そうですね。ジェヤエス王国はオーエ王国と同じ森と隣接しているので、基本的なところは似通っておりますので、生魚の料理に関しては避けた方がいいでしょう。川魚には寄生虫が付き物、しっかり焼いてからでないと、食べられたものではないというのがこの地域での認識です」

「スエナの言う通りです。なので、魚自体を氷漬けで渡すというのは問題ありません。海の魚というのは興味を引きますからね」

「なるほど」


ああ、生魚を食べるのが駄目なわけで、別に生魚を送るのは構わないということです。

確かに、もらった生魚は調理してしまえばいいのですから、気にすることはないですね。

海の魚は珍しいというのは此方でも間違いないようですし。

そう説明を受けていると、ミコス様がそ~っと手をあげる。


「ん? どうしたミコス?」

「いえ、ジェヤエス王国の概要を聞いたのはいいんですけど、贈り物というか取引の商品に関しては、こっちを見てもらって意見を貰った方が早くないですか?」

「ああ、それもそうか。全員分の冊子、カタログはあるんだよな?」

「もちろん」


確かに、一つ一つ確認を取るよりも、カタログを見てもらって確認をして貰った方が早いですね。

すぐにミコス様はカタログをこの場にいる皆に配り、内容を確認してもらいます。

私にも回されたので、軽く開いてみます。

中は全部フルカラーでジャンルごとにページが分かれています。

食料品、雑貨、服、家電、武器、防具、アクセサリー、薬品と。

ページはざっと100ページを超えていて、商品にもちゃんとオーエでも読める文字で説明もあり、パッと見て何に使うかもわかりやすく書いてあります。

特に家電に関しては説明を細かく書いてありますので、これで分からずとも興味はひくでしょう。

そんな風に思いながら読み進めていると……。


「ま、まさかっ!?」

「こ、こんなっ!」

「なんですと!」


オーエ側の方からそんな声が聞こえ、顔を上げると、カタログを見て驚愕している姿が確認できます。

重臣たちも同じ感じであり、これは不味い内容でもあったのかと、思ったのですが……。


「何か問題がありましたか? 教えていただいてよろしいでしょうか?」


そこは私が言うべきことではなく、ユキ様がやるべきことです。

しかし、どんな問題があったのでしょうか?

内容は素晴らしいというべき物でしたから、やはり国にとって駄目なものがあったということでしょうか?


「いえ、問題では。ああ、問題なのでしょうか? スエナもそういう話だな?」

「はい! こんな、こんな豊富な商品を取引できるなんて、羨ましすぎます!」

「スエナ王女様の仰る通りです。こちらの防具は私たちも注文できるのでしょうか!」

「「「……ああ」」」


そっちですか。

いえ、まあ、このカタログはジェヤエス王国との交渉のために提示しているので、オーエには関係ないとはまではいわないのですが、二の次で、羨ましく思うのは分かります。

これを選んで買えるというのは、ウィードの存在を理解しているオーエにとっては宝の山が載っている本、カタログでしょう。


「喜んでいただけて何よりです。そうですね、実例としてオーエも使ってみたというのはいいことですね。ミコス、ラッツはどれぐらいの量を許容している感じだ? オーエに回す分はあるか?」

「え? あ、はい。基本カタログに乗せている商品は十分に生産させているものですし、魔道具家電についても、大型のモノで生産に時間がかかるモノも元の素材はあるんで問題はないです。まあ、家電もいきなり百単位も作れとなるとその分遅れます。在庫ありきのカタログですから。大体在庫は20ぐらいですね。なくなれば作る感じで」

「なるほど、なら、オーエに回せるな。というか、オーエ以外にもほかの国に回すことを前提にしている感じか」

「そうですよ~。ラッツと話してこのカタログが上手く行けばって話です。元々はユキ先生が魔術の国やハイデンの国際交流学校に魔力発電機と一般家電持って行ったでしょう? それでこういう、カタログがあればスムーズに行くだろうって」


なるほど、確かに一々家電にどんな種類があるのか口頭で説明するのは面倒ですし、こういうカタログがあれば相手が好きに見て選べます。

それを試すというのもあったわけですね。


「と、話し込みましたが、オーエの皆さまもこちらのカタログを使って、選んでいただければと思います。感想、ああ、不便に思ったことも含めて報告していただければ、こちらも改善につながりますのでよろしくお願いいたします」

「そういっていただけて感謝いたします。催促したような形になって申し訳ない」

「し、失礼いたしました。今までも散々支援していただいているのに、このようなことを……」

「申し訳ございません。ウィードの皆さまの前で、自分の欲を優先させてしまいました」


3人とも、今の発言が色々問題があったというのは自覚したようで、申し訳なさそうに謝罪をします。

普通に考えればスエナ王女の言う通り、オーエが傾いている中、そのすべてと言っていいほど支援をしている相手に対してずるいなどと、頭おかしい発言ですね。

とはいえ、そこはユキ様……。


「あはは、謝る必要はございませんよ。それだけこのカタログが魅力にあふれていたということですから。ミコスお手柄だな。なあ、カグラ?」

「ええ、これだけオーエの皆さまが欲しいと思っているのであれば、ジェヤエスの皆さまにもそう思っていただける可能性が高いということですから」


怒ることなく、カグラ様と一緒にその反応が好ましいと言います。

……オーエとの関係を壊す理由もないからというのもあるんですけどね。

個人的には、これまで支援をしているのに、ユキ様たちにあの横暴な態度はちょっとあれかと思いますが、扱っている品物を知っているので……まあ、許す範囲ですかね?

横のプロフさんなら即刻たたき出していそうな気はしますが。

と、そんなことを考えていると、ミコス様が口を開きます。


「ねえ、ユキ先生。それなら、オーエの皆さまにミコスちゃんの販売の実演?を見てもらうっていうのはどうかな?」

「ああ、それはいいかもな。カタログだけ見せて、はいおわりってわけじゃないんだろう?」

「もちろんですよ~。ちゃんと目玉商品の紹介とかをして興味を引くことを狙っています」


なるほど、そうでもしないと、初めての国でウィードが持ち込んだ商品の良さはわかりませんね。

目の前で見せてもらうというのが信頼にもつながるでしょう。

商売でも見本をもちこんで売り込むというのはよくありましたし、ミコス様はその手の演出はカタログを作ったことからも優秀なのは間違いありません。


元々、ミコス様はハイデン魔術学院では魔術の才能はそこまででもなく、斥候、偵察兵としての訓練を受けていたのだとか。

それに、学院では学院新聞なる情報誌を作っていたとも聞きますし、元々その手の情報を集めて的確に拡散するという才能があったのでしょう。


「どうでしょうか、オーエ王、スエナ王女、マーティン殿、実際に見てもらい、良し悪しを判断していただければと思うのですが?」

「ええ、お願いいたします。こちらの本を使ってどのように紹介してくださるのか楽しみです」

「はい。ミコス様よろしくお願いいたします」

「お願いいたします」


3人から許可をもらい、ミコス様はカタログにある商品の実演紹介を始めます。

場所は会議室の端を使ってそれをカグラ様がフォローし、それを眺めるという形になっています。


「では、これらかカタログに載っている商品の一部をご紹介させていただきます。選ぶ商品の参考になればと思います」


そういってミコス様が商品紹介を始めます。

私も元商家の娘、興味はもちろん。実演することで問題点もでてくるでしょうから、そこを注視することにします。

こういう苦言というのは言いにくいですし、私からの方がいいでしょう。

そう覚悟を決めて商品紹介を見るのでした。



さあさあ見てらっしゃい寄ってらっしゃい。

というのは、よくある文句ですよね。

こういうのは見るのも楽しいですし、買いたくなるのが性というのは人だからでしょうか?

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