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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2110/2218

第1806堀:イフ大陸での亜人差別排斥の経緯

イフ大陸での亜人差別排斥の経緯



Side:サマンサ



「イフ大陸のことなら、私たちを呼ぶべき」


そういって仁王立ちするのはクリーナさんではありますが、それは私も同意です。


「というか迫害された側の私やディアを呼ぶべきよね」

「まあ、面白い話ではありませんが」

「私たちベツ剣使いが最適。まあそれでもキシュアやスィーアとかほかは来なかったけど」


そうですわね。

差別、排斥された側である聖剣使いの方々も重要な情報源ですわね。


「今更すぎてあれだけど、確かに排斥していたね~。ジェシカ」

「同意を求められると、亜人に対して罪悪感が湧くのですが、エージルの言う通りですね」


ジェシカさんやエージルさんと言った軍属だった方々はそういう方針はよく聞いていたでしょうし、こちらも必要ですね。


「いや~、申し訳ありません奥様がた、私では情報が断片的でして」


サーサリも元騎士でありそういう情報は入っているでしょうが、それでも亜人と交流があった我がローデイの出ですからね。

他国の情報も欲して当然でしょう。


「いや、大ごとというか、仕事中にすまないな」


場所はサーサリとキルエがいた従業員休憩室ではなく、会議室へと場所を移しています。

おそらく、メイドとしての一般の意見を欲していたのでしょうが、結局わからないということになり集めたのでしょうね。

とはいえ、妻が夫であるユキ様の手伝いをするのは当然であり、最優先にするべきことなので、仕事中であろうが何も問題はありません。


まあ、正直な話亜人排斥、排除問題については根が深いとしか言いようがないわけですが。

それを調べることで新大陸でのトラブルを少しでも理解できればというのは、良い心がけだと思いますわ。

それだけに時間をかけるわけでもないですし、今までノータッチだったのが不思議なぐらいですわ。


「それで、改めて聞くのはあれだが、なぜイフ大陸は亜人の排斥、排除の方向になっているのかって話だ。一般人の視線を持つサーサリは昔からそう教えられてきたというか、雰囲気だったという話だが、貴族の方では何か耳にしていたり、知っているか?」


そう聞かれて、まずは誰が答えるべきなのかと顔を見合わせてしまいます。

それを見てユキ様は察したのか……。


「そうだな。ジェシカ。そっちのジルバは俺たちと会ったときは亜人を追い出す作戦を展開していたよな?」

「むぅ。……その通りですが。やはり直接聞かれるのはあれですね」


ジェシカさんは珍しく苦虫を嚙み潰したような表情をしています。

それはそうでしょう。

国の命令とはいえ、民衆をたたき出すような真似は、本来人を守りたかった志を持つモノにとっては非道すぎる矛盾ですから。


「やっぱりやめとくか?」

「いえ、ここに来たのはユキの役に立つためです。私、いえ、ジルバの考えを答えるのは当然でしょう」


ジェシカさんは一息つくと、説明を始めます。


「亜人差別というよりも排斥思考というのは昔からあったものです。元々、数が少なく、希少性が高く、奴隷としての売買をメインとした人種だったもので。人よりも下という認識がありました」

「そうだね~。エナーリアでも同じ感じだよ。何せ、聖剣使いは人の方が多かったし、亜人の聖剣使いは半数は亡くなっていたからね。それを所持していたこともあって、各国は警戒していたし」


お二人の仰るように、亜人はイフ大陸では数が少なく、希少性が高いので、奴隷として売買されており、聖剣使いの伝説では亜人の聖剣使いはほとんどが倒れ、それを所有する国が危険視され、その亜人の国は滅ぼされています。


「大本はそこ。亜人が聖剣を多数所有していたという危険性から。まあ、人が愚かなのは変わらないけど、そこから亜人を脅威としてしまった」

「そうですわね。ホワイトフォレストとはローデイは付き合いがありましたので、そこまでではありませんが、それでも人にとって一般的には亜人は人の敵であるという感じです」

「なるほど。イフ大陸はハッキリしているな。聖剣が原因ではあるが、亜人という戦力を恐れたっていうのが始まりか」

「そうだね。何せ私が現役の時は、人も亜人も協力して戦っていたころだしね。そうしないとダンジョンから湧いて出る魔物から対抗できなかっただろうし」


そこにいきなり現れるコメット様。

確かに、あの当事者と言えばこの方ですわね。

あと……。


「私も当時のことは覚えているわ。必死だったもの」

「ええ、皆協力して脅威に当たっていました」


文字通り聖剣、いえベツ剣を持って戦っていたカーヤさんにクロウディアさん。

彼女たちの言葉は何よりの証拠でしょう。


「その後は、こっちを迫害してきたんだけど」

「勢力というか数が少なくなってきたところだったし、そこで敵を減らそうとしたんじゃないかしら」

「なるほどな。まずは分かりやすい敵から……か」


ユキ様は2人の言葉を聞いてそう呟きます。

ふむ……。


「ユキ様、何か気になるところでも?」

「ああ、クロウディアの敵を減らすって話な。こちらの戦力を減らすというよりも、北部での戦争準備かって思ったわけだ」

「その理由をお聞きしても?」

「まず、北側連合の主張で不思議だったのが、亜人、つまりオーエ国を含む連中が魔王や魔物の味方だったって話だ。いまさらすぎるだろう? 少ないとは言え北部でも暮らしていた亜人は相応にいるんだ。それを今更そんな主張をしてなんの得がある?」


その言葉に全員が黙り少し考えます。

真っ先に口を開いたのはコメット様。


「そりゃ、何か目的があるわけだろう? 亜人を敵として、北部をまとめたのは間違いなんだしさ。戦争準備となると真っ先に亜人退治のためだろう? それが目的で何が問題なわけだい?」

「北部のって言っただろう? わざわざ南部の制圧のために動かして何の意味がある?」

「なんのって、魔王と魔物、そして協力をしている亜人を倒すためってのが向こうのお題目だろう?」

「そうだ。確認できていない魔王を目標としているわけだ。魔物の増加に関しても、確かに森の中を抜けているのは事実だが、北部に影響がでているか?」

「いや~、それは分からないけど……。北上しているんなら、多少なりとも影響はでているんじゃないのかい?」

「ゼロとは言わないだろうが、南の国を無視して北の国が騒ぐほどの被害が出ると思うか?」

「それを言われると、まずありえないね。増加ぐらいは分かるだろうけど……」


確かに今更指摘されて気が付きましたが、その程度の魔物の増加程度で、北部が見たこともない魔王を倒すために多大な犠牲を払って、ある種の魔物の防壁となっているオーエ王国を落とす?


「うん。改めて言われると、なんでコレ軍をすすめられたんだろうね。物資はもちろん人どころか、招集かけた国や貴族から大ヒンシュクものだよ」

「そうですね。改めて言われるとありえない理由ですね。しかもオーエを落とせるとは思えない2万という軍勢。確かに落とせれば功績でしょうが……」

「……被害を考えれば普通はありえない。まあ、そこは教会が何とかしても、失敗すれば後がないはず。教会の勝算は高かった? ユキはどう考えている?」


確かに、勝算もないのに派遣したのでは色々問題なのはわかります。

そんなのに、各国も兵を貸したりしないでしょう。


「……そこも微妙なんだよな。確かに、オーエ王は奇襲でケガをした。まあ、あわよくば死んだとして、オーエが混乱するだろうが、北の町が落ちたかというと……。2万では厳しいだろうな。まあ、挑発をしておびき出していたとはいえな」

「確かに。挑発で戦力を小出しにはしていましたが、最終的にはオーエも冷静になるとは思います。……そうなると後詰ですか?」

「まあ、ジェシカの言う通り。攻め落とすなら後詰だろうけど……。さっきも言ったけど、なんで戦力をだすんだろうね? その話だと、予定だと今の戦力じゃ落とせないってことだし、後詰も含めて全滅する可能性もあるんだけど?」


ふむ。

エージルさんの言う通り不思議ですね。

2万ではオーエを落とすには足りなすぎる。

それならば、後詰、つまり援軍なわけですが、更なる人員と物資を必要とするものです。

不満がでていたとシアナ男爵の証言もあったわけですし、何を目的で……。


「だから、北部の戦力を落とすための戦略だった? って思ったわけだ。それが北部の戦争準備」

「……つまり、ユキ様はこれは南部への攻撃ではなく、北部の国の国力を落とすための戦略であると?」

「あり得るだろう? 実際今回ギアダナ王国は庇護国も含めて合計2万の戦力と物資を捻出していることになる。これは明らかに戦力低下を招いているわけだ。これを狙っていると言われた方が納得がいくけどな」

「まあ、言っていることはわかるけどね~。どっちも現実的かっていうと……」

「わかる。微妙だよな。確かに2万の戦力は少なくはないが、大国からすれば一方面軍ですむし、王都の戦力が根こそぎいなくなるわけでもない。しかも大国からの捻出は半分の一万程度だしな」


戦力を減らしたというには微妙ですわね。

大国の総兵力は10万を軽く超えますわ。

まあ、その十分の一に当たる数は痛いとは言えますが、それでもです。


「とりあえず、意図はシアナ男爵たちが調べてくれるのを待とう。イフ大陸の亜人排斥理由については、過去の戦争と、個体数の減少による亜人への理解度が低くなっているせいだな。得体のしれないモノは怖いってやつだ」

「なるほど。そう言われると確かにそうですね」

「僕たちとは違って獣人、エルフも種族で得意なことがあるからね。というか秀でているから」

「ん。それはある。身体能力も魔術の上手いことも羨ましいと思ったことはある」

「ありますわね。ランサーでは副学長の技量には驚きましたし」


ポープリ学長もおかしかったですが、ララ副学長も異常ともいえる技量でしたわ。

なので亜人はすべからく優秀なのだという意識がありましたわね。


「いい意味での捉え方だな。逆にとると、敵になると止めらるのは苦労するってことだ。だから、管理したいって話になるんだろうな。とはいえ、全滅まですると全力で抵抗されるし、なんでそんな話を持ってきたんだか」


とりあえず、ユキ様の知りたかったイフ大陸での亜人の扱いの経緯はわかったのですが、新大陸での北部の意図がよくわからなくなってきたというのが現状でしたわ。



イフ大陸は亜人が優秀なことが、人たちからの危険を煽ったのが原因のようです。

数が少なかったのも原因ですね。

とはいえ、新大陸に置いて、わざわざ攻めてくるというのはよくわからない状況ですね。


というか生き証人がいるから、これ以上分かりやすい物もないですね。

コメット、カーヤ、クロウディアはかなり重要だったりする。


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