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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2105/2218

第1801堀:新大陸のウィードについて

新大陸のウィードについて



Side:ユキ



俺は北の町でカグラから近況を聞いた後、オーエ王都へとやってきている。

そこにはすでに北部南部を任せている両将軍であるスタシアにトーリが揃っている。

ちなみに、北の町、南の砦には代わりが入って指揮をしているので問題ない。


「わざわざ北の町に来ていたのなら、私に聞いてくれればいいものを」


俺の顔を見てスタシアがそう告げる。


「現場を直接見て話を聞いてみたくてな。スタシアの方はシアナ男爵との話し合いはもちろん北の町全体の調整が必要だろう?」

「それはそうですが、だからこそ私を頼ってほしいものです」

「ユキさん、スタシアは寂しがり屋ですから、ちゃんとかまってあげてください」


トーリのフォローでスタシアがどういう感情なのか理解して謝る。


「すまん。そっちの気が利かなかったな。仕事を任せすぎているから、って変に気を使ったな」

「……いえ、気にしないでください」

「スタシア」

「む。……わかりましたトーリ。ちゃんと埋め合わせを希望します」

「ああ、そこは任せてくれ。トーリもありがとう」

「いいですよ。こういうのをフォローするのも私たちの妻の務めですから」


嫁さんなのだから、こういうことはちゃんとしないとな。

スタシアは自分を厳しい環境に置いていたタイプだから甘え下手なんだよな。

妹の方は遠慮ないんだが。

トーリには感謝だ。

いや、嫁さんの助力だな。

……ハーレムってホント大変だよ。

うはうはって思えている人たちは現実を知らんな。


傍から見る方が安全というか、面白いだけだからよいってやつだ。


「で、2人にこっちに来てもらったのは今後のことを話すためだ。北の町の治安についてはカグラに調べてもらいつつ、現場を見てきたが、安定してはいるようだな。まあ、治療に当たっているエノラとしてはあまりウィードに依存しないように調整するのが大変だっていうのがあるみたいだが」

「「ああ……」」


2人とも言いたいことは分かったようですぐに頷く。


「あくまでも北の町はオーエの領地ですからね。ウィードが支援をしたからといって、オーエよりもウィード支持してしまっては困りますからね」

「下手をするとオーエが敵になるよね~」

「まあ、オーエ側もこちらの事情は理解しているからな。そうそうあることじゃないが、こちらも気を遣うべきだろう」

「ですね」

「うん、そうだと思います」


2人もエノラの意見には文句はないようだ。

俺もだ、わざわざ敵を増やす理由はないだろう。

これ以上面倒が増えたらウィードのメンバーが過労死するのは目に見えている。


「そして、捕虜に関しては協力的なシアナ男爵を中心に凱旋という形でギアダナ王国へと戻る予定になっている。これはオーエ王と話して詳細は決める予定だけど、2人はどう思う?」

「良い案かと。当初はシアナ男爵の部隊だけで秘密裏に帰るという話でしたが、逃亡兵扱いもされかねませんからね。堂々と戻れる理由があるのであればその方がいいでしょう」

「私もそう思います。教会って連中が監視しているなら、下手に隠れて進むのは怪しいですし、ギアダナ王国では確実に捕捉されると思います」


うん、この話も二人は納得のようだ。

まあ理由に関してはどちらもその通りというべきだな。

俺もそういう懸念から、堂々と帰れるプランに変更したわけだ。

逃亡兵、少数だと教会に捕捉され適当に言いがかりをつけられて処分される可能性も高い。

相手側に権力と兵力があるのが致命的だよな。

それに対抗するにはこちらも数と権力をそろえるしかない。

今回味方になってくれた連中には相応の爵位を持つ人たちもいる。

というか、教会もなんでこんなに反発している連中集めたのかって不思議に思っていたんだが、シアナ男爵たちの話から、どうやら反発している連中も集めていたようだ。

それで自分たちが正しいということで、敵国を落とし力を見せつけ、新しい土地を得ることで、心服させて味方にしようと思っていたらしい。


まあ、合理的といえば合理的だ。

自分たちの力を見せつけて、戦うことなく敵を下すというのは、孫氏の兵法書にも書かれている「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」のことで間違いではないんだよな。

この場合、敵が味方の中にいるってことが微妙なんだが。

こういう意味でも適応されるんだろうな。

そういう意味での「敵」ってことだろうし。


と、そこはいいとして。


「そういえば、協力的でない、つまり教会側の捕虜たちはどうするのですか? 今のところ食料不足で弱っていたので、今のところ私たちに従順ですが、力を取り戻せば……」

「スタシアは反乱の可能性があると思うか?」

「そうですね……。治療院で働いているカグラを始めとした人族はともかく、獣人のエノラたちに対しては横柄です。まあ、今のところは口で文句を言ってくるだけですが。体が十全に治り、数が集まれば心配ですね」

「なるほどな。やっぱり教会の影響は強いってわけだ。あれから何か情報は集まっているか?」


情報というのは教会の話だ。

教義についてはさっぱりだしな。

いや、さわりを聞いて勘違いしてはいけないから、スタシアやカグラにまとめておいてくれないかと言っていたんだ。

何か経典みたいなものがあればいいんだが、この新大陸でも書籍、いや本っていうのは貴重なものだ。

なので戦場に持ち込むというのはしてないようだ。

いやかさ張るし、保管も苦労するだろうから当然か。


「そうですね……。一応、教えの一部を諳んじることは出来ていますが、全部を知っているわけではなさそうですね。そしてその内容は基本的に人が世界の盟主であり、亜人や魔物は世界を蝕む害悪であるという考えです」

「うわ~……」


スタシアの説明を聞いたトーリは嫌そうな顔をする。

そりゃな。

トーリの存在を完全否定だもん。


「なるほどな。それで今亜人ってさげすんでいる連中につかまって治療などをしてもらっていることに対しては?」

「一部の良識がある者たちはこの抗弁に口をつぐみますが、狂信というべきなのかはわかりませんが、熱心な信者は悪だくみをしていると判断しているようですね。そう言いつつも治療や食事は普通に受けるのですが」

「ま、生きることが最優先と思えばわかるが、そんなことを言って立場が良くなると思っているんだろうか?」

「まあ、本人たちは正義とでも思っているのです。自分たちは間違っていないと」

「これ、ユキさんどうするの? 本当に使えるかわからないよ?」


スタシアの言葉を聞いて、トーリも捕虜たちが面倒極まりない存在だというのは分かったようだ。


「使うことに関しては問題ない。奴隷契約をして畑をメインに関連施設をつくらせる。町の外だしな。そこら辺は上手くいくだろう」

「なるほど。外で使うなら町の住人も安心するでしょう」

「畑ね~。いうほど簡単じゃないのはカヤから色々聞いているけど?」

「懲罰と体力を奪う意味もあるからな、簡単じゃ困るわけだ。とはいえ、畑はなるべく早く復帰してほしいからな。農業指導ぐらいはするが、農具とかは一般的なクワとかだな。耕作機械は捕虜には使わせない」

「ふむ。一般的な捕虜に対する扱いではありますね。まあ、甘い分類ですが。貴族もいますし、無難でしょうか」

「そうなの?」

「まあ、敵国の兵ですからね。労働に使うにしてももっと過酷だったりします。使いつぶす寸前まで。交渉の余地があれば、身代金があるのである程度は身の安全を保障しますが……」

「あ~、身代金の要求以前に交渉ができないよね」


うん、身代金の要求ができないな。

なので強制労働一択しかないわけだ。


「そのついでに、リリーシュとハイレンによる、意識改革、改心、改宗を試みる予定だ」

「なるほど。リリーシュ様、そしてハイレン様の教えならば彼らも心を入れ替える可能性はあるでしょうね」

「あはは、あの二人ならいける気がします」


スタシアはリリーシュとハイレンを女神として敬っているので、まっすぐに信頼しているのがわかる。

トーリはリリーシュと付き合いが長く、ハイレンの奔放さも理解しているので、苦笑いしつつ、できるだろうとは思っている感じだな。

俺も同じだ。

結果は出すだろうという確信はある。

だが、俺たちに迷惑は掛かるだろうと。


「なら大丈夫だな。カグラにも話しているが、スタシアの方も気を付けておいてくれ。捕虜が無茶をする可能性があるからな」

「はい。お任せください。お二人の安全は私が確保します」


スタシアははっきりと頷いて答えてくれる。

うん、スタシアの仕事は信頼できるからな。

いや、迷惑系駄女神の面倒を押し付けたわけじゃないし……。


「よし、じゃあ。次は南の方はどうなっているかだな」

「そうですね。確か、砦を設営したと聞いていますが?」

「そうだよ。無事に砦を作って、あたりの調査へ乗り出しているところ。まあ、進捗については、今のところ何とも言えないかな? 何せ5日ぐらいだし」


魔物調査はもちろん土地の調査は10日ごとで更新予定だしな。

余程のことがない限り、まとめて報告にしてもらわないと俺が書類で死ぬ。


「その時間では情報も何もありませんね。そういえば南の町の様子はどうでしたか?」

「ああ、それは俺も気になるな。一応物資の支援も兼ねていたんだろう?」

「はい。事前に通達していたおかげと、私が亜人の分類なこともあって友好的に受け入れられてました。でも、南の町は普通に魔物の襲撃ばかりなので、普通に人族もいて協力して魔物の対応をしていましたね。戦争での被害を受けていないからかなと」

「なるほどな。南の町ではそこまで種族での忌避感はないか」

「北の町もそこまでありませんよ。まあ、新しく入ってくる人族は怪しいですが」


まあ、オーエは多種族国家で人族も含まれている。

なので、元々から住んでいる人たちがいて、その人たちは普通に共存しているわけだ。

とはいえ、戦争の影響で見る目が厳しくなっているのは間違いないだろうが。

安定しているのなら安心だ。

そう考えていると、そろそろオーエ王と面会の時間だ。


「そろそろ時間だけど、2人とも俺に話しておきたいことはあるか?」

「いえ、今ので十分ですし、今日の話し合いに関しては既に書類をまとめて渡しています」

「私も同じです。大丈夫ですよ」

「そうか。じゃあ、これから今後のことについて話し合うから、サポート頼む」

「「はい」」


ということで、俺たちはオーエ王との面会に向かうのであった。



一応オーエ王国を中心に動いているウィードの行動は順調そのもの。

あとは、どういう手を打つかって話。

方針は決まっているけど、オーエ側がどう反応をするか。

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― 新着の感想 ―
この大陸の神様は何やってんだ?
私感で感想 鍬も柄を棍として使えるが、鎌などの刃物も心配。 それ持って暴動起こすものだが、ウィードサイドへ転ぶ奴を教敵と見なして事故と称しての粛清で見せしめとかされると面倒。 ダンジョンして、殺傷で…
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