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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョンと新大陸 序章

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第159掘:まっとうに戦いますよ? 無論俺たちが戦いやすいようにな

まっとうに戦いますよ? 無論俺たちが戦いやすいようにな




side:ユキ



俺は現在、偵察を終えて、遺跡に戻っている。

あの後、予定通り3日程過ごして、姫さんの相手をしながら、多方面から情報を集めた。

その結果を亜人……この新大陸では人族以外を纏めて亜人と呼んでいるらしい。蔑みの意味が強いだろうけどな。ま、そこは置いておいて、長老たちに情報を告げた。


「と言うことだ。最終的な数字は数えていないが、俺が聞いた話は2500程度だな」

「……2500か」


口を開いたのは長老のみ。

他に会議に参加しているメンバーはセットですら沈黙している。


「村の戦える人数は精々70かそこら、お主らが100ちょっと……か」


あれからゴブリン部隊は増員しています。

便利だしね!! いろんな意味で!!


「女子供を投入しても200がいいところじゃ」

「流石にこの傭兵を100入れて300じゃどうしようないんじゃないか?」


漸く、長老が告げる戦力差を認めて、逃げ腰の言葉がでる。

いや、勇ましさはどこにいったよ亜人たち。


「そう言えば、他の亜人と連携を取るとか言ってなかったか? 兵士たちを捕まえてから、2週間は経っているだろう、反応は?」

「それがのう。お主らの手を借りるのが嫌なのか、それとも、勝てると思っていないのか、返事がよくない。様子をみているのう」

「ふーん。こっちとしては迷惑な話だが、その判断も間違いじゃねーよな」


だって、勝てるかどうかもわからないで自分たちの命を晒したくはない。

しかも信用できない人族の俺たち傭兵団が指揮を執ってだからな。


「それでも、何人かは集まってきているんだろう?」

「ああ、各村の協力の返事は乏しくても、集まってくる者はいる」

「なら、それでなんとか今回は凌ぐしかないだろう。今回の多勢に無勢をどうにかしたら、様子見の連中も変わるだろうしな」

「確かにのう」

「敵もすぐに来るわけじゃない。準備があって大勢での進軍だ。普通に歩くのとはわけが違う。あと一か月は時間があるだろう」


ここも主な手段は、馬だ。

でも、新大陸は群雄割拠だから、馬は戦でも使うからとても貴重。

ちなみに、長老たちには伝えていないが、ジルバ帝国にしては、今回の亜人討伐は予定外だったらしい。

実は、亜人の村への襲撃はジルバ帝国の軍幹部が、他所の国との戦闘で失態を犯して、その尻拭いとして亜人を滅ぼすか、捕らえるかするつもりだったらしい。


この新大陸では亜人は差別の対象だが、それには理由がもちろんある。

原因は調べたわけではないが、ルナが言う通り魔力枯渇で亜人の出生率が下がって数が少なくなっている。

それで、亜人は、生きる為に魔力を人族より使えるようになった個体。と、ルナは言っている。

つまり、獣人は身体能力、エルフは魔術に長けているということだ。

まあ、全員が全員ってわけではないが、全体的に見ればそうなるということ。

で、魔力枯渇以前はウィードがある大陸のように、人族と共存していたらしいのだが、魔力枯渇が原因で少なくなり始めると、獣人族の国やエルフの国が成立しなくなったわけだ。

いや、数が少なくなったので、人族主義の国が攻め落したと言うべきか。

魔物という共通の敵が魔力枯渇で少なくなったので、次の脅威は個体として自分たちより優れる亜人だった。と言うのが、差別の始まりではないかと睨んでいる。

人族の歴史はジェシカから、亜人の歴史は長老から聞いた結果の予想だけどな。


つまり、亜人を討伐することは、この大陸では魔物を退治するのとあまり認識が変わらないらしい。

が、人と同じように武器や戦略を使う。そして、更に個々の性能は高いと。

討伐できれば、それなりの名声を得られるわけで、攻めてきた貴族の武官さんはそれが目的で、女だけのところを狙ったわけだ。

俺たちが来なければ上手くいったのにね!!

あー、俺たちもなんでそんなタイミングで来てしまったのか。


とまあ、その結果亜人の討伐に失敗。

その貴族が連れてきた兵士300人近くが捕まってしまったわけだ。

そこで問題がでてきた。人族同士の戦で忙しい時に、一応自分の領地とされている地域の亜人を刺激してしまったのだ。

300人を少数で全滅させたとのことで、国の内側での騒動は勘弁願いたい。そんなことが起これば、ジルバ帝国の他国への侵略は速度が落ちる。

だから、風姫騎士というジルバ帝国の指折りの騎士を送り込んで、早急な解決を望んだわけだ。

本人は、隣接するエナーリア聖国への侵攻軍筆頭将軍で、後方を脅かされて、戻って来たと言っていた。

本当に後始末だよな。


これが、今までの流れだ。

細かい情報としては、2500の兵士が、風姫騎士の直属だということ。

兵士の質はジルバ帝国でもトップクラスとの噂。

普通なら勝ち目はないわな。普通ならな。


「一か月か……」


俺が言った言葉を、ようやく噛みしめるように言う長老。


「そう、一か月だ。逃げるなら、半月ぐらいから始めないと追いつかれる可能性があるから、ギリギリまで考えていると、物を持って逃げることはできなくなるぞ」

「逃げると言ったらお主らはどうするのじゃ?」

「最初から言ってるだろう。俺たちは遺跡から来たって、あそこを守らないといけないから、俺たちはここから動くつもりはない」


さっさと逃げてくれ。

そうすれば、足を引っ張られる心配も無くなる。

他所から援軍も来てるんだし、更に俺たちの指示に従うか心配だ。


「本当に、あの遺跡から来たとでも言うのか?」

「遺跡じゃなくて他所の土地だがな。世の中は広い。長老が知らない世界がまだまだ沢山あるんだよ」

「……お主らは、退かずにその2500の敵を迎え撃つと?」

「おう」


いや、もう仲間には連絡済みだし、スティーブに防衛陣の構築変更もしてもらっているしな。

あと1週間ぐらいで、完成するんじゃね?

2500どころか、10倍の数でも止められる構築をしてるけどな。

スティーブにやってもらったのは、遺跡の防衛構築じゃなくて、2500に対応する防衛構築な。

遺跡……ダンジョンの防衛構築は既に完了している。この新大陸の戦術や戦闘手段では落ちる可能性がゼロに近い、ルール違反と言っていい場所になっている。

ダンジョンの中は俺のお手の物だし、ダンジョンに近づくまでは現代兵器の砲火を浴びることになりますし、これで負けるなら逃げるわ。


「お主らの意思はよくわかった。ひとまず会議をしたいのじゃがいいか?」

「構わない。というか、俺たちの邪魔さえしなければ結果報告すらしなくていいぞ」

「邪魔とはどういう意味じゃ?」

「ここ数日の日常生活は特に違いはないが、この後起こる敵軍との戦闘は最初から連携を取る気はない。こっちのことを不審がっている連中に背中は預けられんし、足を引っ張られる方が迷惑だ。それなら最初からお互い別々で動けばいい」

「ふむ、確かに……。お主らの動きにはついていけん。下手に連携を取ろうとするのは邪魔にしかならんのか」

「一か月みっちり練習するならともかく、これから他所からどんどん各村を抜けてきた、血の気盛んな奴らが集まるだろうしな。そっちはそっちでやってくれってことだ」

「……お主の言う事にも一理あるが……、その場合、わしらはお主らに先陣を任せて、村の防衛に徹するぞ? 様子を見させてもらう。お主らが勝てそうならこっちで勝手に参戦する。負けそうなら、お主らに敵を任せて逃げるかもしれんぞ?」


よし、俺の予定通りだな。


「だから、それも勝手だ。邪魔をしなければいい。逃げることに関しては今更だな。勝手に捕虜を逃がして、俺たちの逃げ道ふさいだくせに」

「……」


沈黙する長老を放って、俺とリーアは会議場所を抜けてきた。


「よかったのですか?」


リーアは先ほどの会話を心配しているようだ。


「リーアは俺たちが負けると思うのか?」

「いえ、そっちではなくて、一応協力体制ですし、あっちの顔を立てたほうがいいのでは? お互い勝手に動いては、どの様な結果になっても……私たちが大勝しても、あの人たちの戦果にはなりませんよ?」

「だからだよ。これで逃げるなら、俺たちはジルバ帝国の兵士を捕らえて自由に交渉ができる。逆に最後まで俺たちに任せて村の防衛をしていても、逆に俺たちに頭が上がらなくなる。今までの非礼も含めてな。これで、なにか適当に理由をつけてこっちの邪魔をしてくるなら、処理するしな」

「ああ、そう言う意味で、後ろにいていいって言ったのですね」

「そういう事、後ろに勝手にいてくれるのが大事。向こうは、村の男とか、余所の者たちも俺たちの働きは見ていない。だから、今回は戦線を意図的に、俺たち傭兵団と、村人軍に分けて見せることが大事なわけ」


そう、この目的は、俺たちの強さを敵に知らしめるのも大事だが、未だに不信感のある村人たちや余所者にも俺たちの実力を見せる為でもあるのだ。

これで、逃げるなら、俺たちを見捨てたという風評も広がるし、ダンジョン一帯を俺たちの手中に収められて万々歳。

逆に、後ろでずっと見ているなら俺たちの実力を見て、心まではいかないが、表向きに逆らうようなことはできなくなる。俺たちが、戦いの要だと認識するからな。

心配事は、俺たちが戦っている最中に村の防衛から出てきて、戦果を横取りされることだが。

そんなことは既に予想して戦場作りをしている。それを村人で突破できるなら、最初から亜人はこんな扱いになっていない。


「でも、到着までひと月ですか……どうしましょうか?」

「いや、リーアたちも忙しいぞ。魔力の実験をやらないといけないんだから」


敵が来ないからと言って暇ではない。

魔力の研究は勿論。

フェイルの街へ行って情報収拾を継続的にする必要がある。こっちは車があるから、移動に一日ぐらいしかかからないしな。


「とりあえず、時間は有限だ。やれることはやっていこう。ウィードの方もあるし、ひと月空くのは有りがたいしな」

「そういえばそうですね。ラスト国、旧魔王城都市ですがルーメル侵攻軍の方に気をかける時間ができたのはありがたいですね」



さーて、風の姫さんどこまで頑張ってくれるかなー。

いやー、久々の大規模戦闘でスティーブたちも張り切ってるし、頑張ってくれや。

さあ、次回は戦争? です。

喜べ、お約束のチートの戦いだぞ!!

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