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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョンと勇者

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第133掘:経過報告

経過報告





side:ユキ



『兄さん。兄さん。聞こえますか?』

「おう」


俺はリーアを何とかして手籠めにしないといけないという、超弩級の難問にぶち当たっている。

なにしろ、明確な手応えを感じられないのだ。これほどやりにくい事はない。

いいか、ダンジョン運営、街の運営、戦い、そのどれもが推移から自ずと、いや、準備が万端なら結果を引きよせられる。

相手がどう思おうと。


だが、リーアの件はお互い、いやリーアが望んで事に及ばなければいけない。

心を推測しろなど、ましてや仕方なくではなく、本当に好きになる方法などねーよ!!


『おい、こらぁ!! 私のキユが声かけてるのに無視すんじゃないわよ!!』

「うぉ!?」


コヴィルの声で現実に引き戻される。


『人の彼氏戦場に送っといて、報告も上の空とかあったまくるんですけど!!』

『まあまあ、落ち着いて。コヴィル』

『キユだめよ。あの兄貴はしっかり言わないと!!』

『仕方ないだろ、兄さんは今や多方面の対策と指揮を執る立場なんだし、リーアさんの件もあるから』

『でも、でもーーー!!』


いつの間にか、弟のキユのやつコヴィルとデキてやがった。

知ったのはキユをランクスの迎撃で送り出そうと、指示を出したとき、一緒にいたコヴィルが憤慨して、俺に襲い掛かってきた。

殺すつもりは無かったので、軽く殴られた。

そこで、この二人の関係を知ったわけだ。

キユが取り押さえたっていうか抱きしめたら大人しくなった。

気持ちも分からんでもないので、実力もダンジョンで鍛えているし、そのままキユの副官ってことでコヴィルを従軍させたわけだ。

別にドッペルゲンガーの弟とはいえ、自我はあるし色恋だってするだろう。

そう言うのを否定する気はまったくない。寧ろ俺も喜んだ。

まあ、影として使うわけにはいかないから、今後他のドッペルを使う事になるだろうが。

そもそも、キユはリテアで暴れて名が売れている。俺の影武者としては使えんだろう。


『大丈夫だよコヴィル。僕はこんなことで死んだりしない。絶対君の所に帰ってくるから』

『本当?』

『ああ、僕はコヴィルと添い遂げるって決めてるんだ』

『私もキユしか考えられないわ!!』


とりあえず、ウザい。

人のいちゃいちゃ見ることほど、ムカつくことはないのではないだろうか?

いや、普通のいちゃいちゃはいいとして、この劇みたいな語らいはやめろ。


「へいへい。お前等が仲がいいのは分かったから、報告頼むわ」

『もっーー!! もっーーーーー!! いい雰囲気だったのに、空気読めユキ!!』


空気読んだからこそ、口出ししたんだがな。

あのコヴィルの性格から、それを言えばまた話が長引くので我慢はするが。

因みに、やることはやっているらしい、サイズが違いすぎると思ったのだが、妖精族は体のほとんどが魔力によって構成されているので、結構丈夫らしい。

無論、人との交配も可能。キユともOKというわけだ。

まあ、そのせいで人とは違う妊娠期間になるわけだが、そこは今関係ないか。


『コヴィル、後でちゃんとしよう。だから我慢してくれ』

『わかったわ。今日は寝かさないんだから!!』


いい加減切りたくなってきたわ。

こっちは、どうやったらそんな風になるかを悩んでいるのに。


『すいません、兄さん。改めて報告します』

「ああ、頼む」

『予定通り、ロシュール国境の境目に僕達ウィードの部隊を展開。ランクスの部隊を待ち構えました。当初の予定より1時間程早く展開が完了したのは、前の報告の通りです』

「それは聞いたな。で、タイキ君との連携はどうなった?」

『はい、タイキさんとはこちらもコールで連絡をとり、王族派を残して、勇者派だけが本隊から先行しているという話で、4000程が作戦目標となりました』


ふむふむ、タイキ君も流石に砲撃の雨に味方を巻き込むのは忍びなかったらしい。

いい手で、味方と敵を分けたな。


『今日の0600に進軍を確認。キルゾーンに敵が入ったためこれを攻撃、殲滅をすることに成功しました』

「ま、当然か。4000人がバラバラならともかく、ひと塊で移動してるなら、只の的だしな」

『ですね。今や戦車ですらルートを予測してピンポイントで攻撃できるんですから、4000人の塊は只の的でしたね。と、使用弾数132発での迫撃砲の飽和攻撃。これだけで生き残りはいませんでした』

「132発って、10発も撃ち込めば終わっただろうに」

『結果だけ見ればそうですが、大隊で30門の迫撃砲を一斉にやりましたから、各4回ぐらいですよ』

「あ、そうか」


そりゃそうだ。一門で132発も撃つわきゃねえ。

今回の目的は殲滅だしな。確実にやるには、まだ少ないか。


『というわけで、僕達は予定通りこのままタイキさんと一緒にランクスへなだれ込みます』

「気をつけろよ。イレギュラーってのは何処でも起こりうるからな」

『任せなさい!! キユに指一本触れさせないんだから!!』

「おう、コヴィル。そこは任せた。キユの奴は頭固いからな、危ないと思ったらお前が引っ張っててでもキユを下げてくれ。無論、コヴィルも無事に戻れよ。弟の嫁さんが戦死とか嫌すぎるからな」

『うん、わかったわ。えへへ、お嫁さんだって。お兄さん公認よ!!』


こういう時だけお兄さんなのなお前は……。


「ガルツを通るとき、ガルツのティーク王子との合流も忘れるなよ。大義名分の保証人なんだから」

『わかっています。ガルツとランクスに抑えられた3国がタイキさんの支持を表明し、ランクスの非道を公に認めさせるんですよね』

「ああ、そうしないとタイキ君が暴走したってことにされる。ランクス王族にも逃げる時間も与えてしまうしな」

『確実に潰しますよ』

「タイキ君で思い出したが、こっちの問題は間違っても伝えるなよ。あの性格だ、こっちに何等かの支援をしたがるはずだ」

『ですね。言われた通り極秘にしておいて、事が終わってから話す事にします。今言えば僕達は引き返すことになりそうですからね』

「コヴィル、特にお前は気をつけろよ」

『なによー』

「万が一喋れば、キユとの結婚は無期限延期にする」

『絶対喋らないわ!!』


タイキ君の方はこれで大丈夫かな。


「キユ、予定通りランクスを、タイキ君の敵をできる限り削れ。だけど無理はするな」

『はい』

「コヴィル何度も言うが、間違っても無理するな、弟の嫁さんが戦死とか流石に笑えないからな」

『うん、無理はしないよ』

「じゃ、任せた」

『了解』

『りょーかーい』


そうやって、キユから報告が終わり、コールが切れる。


「さて、次の問題はルーメルかね……」


そして、偵察使い魔からの映像を開く。

目の前には未だ攻めあぐねている魔王の軍勢。

そして、それを防ぐ3万の義勇兵と正規兵の混合部隊のルーメル軍。

魔王軍にとっては業腹だろうな、まさか10分の1の相手にこうも足止めされてるんだから。

2週間も戦果をあげられず、被害は30万中、10万にも及んでいる。

現代では投入戦力の3割喪失は全滅を意味する。

この時代は戦力の概念が違うから、引くに引けないんだろうな。

ま、実際やられてるのは、魔物が大半。ごく少数に魔物を操っている魔族って所。

先兵が10万やられたからって、それを何とも思わないんだろうな。

実際まだルーメル軍より数は多いんだし。

しかし、戦車部隊が少ないな。撃破されたようでもないし、フム、やっぱり誰かのスキルだと見るべきか。

とりあえず、すぐに全滅させていないところから、戦力は有限なんだろう。

これなら、魔王軍がすぐ全滅することはないか。

ひとまずは、進軍を早める必要はないと……。


「次は、トーリとリエルの警察からか……」


書類には、リリアーナ以外の魔族の侵入者報告とある。

侵入が確認されて捕縛したのは3人中3人。

他に隠れている可能性があるので、24時間体制で警戒を継続中とのこと。

捕縛した3人については、こちらで尋問後、リリアーナさんにも確認を取らせると。

問題はないな。


「住民への対応はと……」


ミリーにカヤからの報告では、特に混乱は見られないと。

とりあえず、警察からの巡回を増やして、冒険者ギルドでは徹底して諍いをしないよう厳重に注意しているらしい。

モーブやオーヴィクたちが動いているらしいので、冒険者の荒くれも大人しくしている、というか治安維持に協力的みたいだ。


「各国への通達は……」


ここが一番問題だろう。

ルルア、エルジュ、シェーラに任せたが、ルルアは数日動けなくなったし、エルジュに至っては、今連合軍の大将だ。

現在シェーラとルルアが一手に各国の仲介をしている。

とりあえず、リテア、ロシュールは魔王との国境の警戒を限界まで引き上げている。

仕方ないよな、ルーメルに敵が進軍してるんだから。

ガルツはタイキ君の支援、ランクスの動向調査、諸国の内応とまあ忙しすぎる。その上国境警戒だ。

身動きはどの国も取りにくいが、連絡が簡単につくのは僥倖か。

今の所平常通り。


「で、庁舎に残っている待機組」


エリス、デリーユ、ラビリス、ラッツだ。

ラッツの商店は思ったよりも物資の減りが遅い。住民がそれほど慌てていなかったおかげだろう。

ミリーとカヤの手腕に感謝だな。

しかし、問題は別にあった。

ゲートを繋いでほしい周辺諸国からの要請、及び、物資の輸出を陸路でもいいから始めてくれと陳情が山ほど来ていたのだ。

ここはランクスの問題が如実に現れていると言っていいだろう。

とりあえず、対応はランクスに攻められているので身動きが取れないと言っている。

そのおかげで、ランクスの周りは敵だらけになっているが。

自分の首絞めるの好きだよねランクス。


「最後に進軍の準備は……」


名目上、この指揮を執っているのはエルジュ。

ま、軍事は素人なのでセラリア、ロエール、クラック、アレスと各国の代表に任せている。

ナールジアさんたち、妖精族のエンチャント武具はいきわたっているようだ。

輜重隊の準備もできている。

予定通り1日後には出発できそうだな。



「で、やっぱり俺にとって一番問題なのは……」


リーアを手籠めにラブラブしてしまえ作戦。考案ラビリスとラッツ。

無理。

どう考えても気持ちをLOVEにもっていく方法はわからんわ。

あと5日でラブラブになれとか、意識すればするほど無理なんじゃね?

そう思いつつ、外でセラリアと稽古をしているリーアを見る。

ここ最近、やけに頑張るんだよな。

レベリングも120まで一気にしてたし、何が彼女をあそこまでさせるんだ?

分かることは、その原動力が俺ではないと言う事だ。

それだけはわかる。だって今までリーアの前で見せたのは情けない姿ばかりだからな。

あと、ゲスい作戦ばっか。


「あ、セラリアが剣落とした。珍しい。いや、リーアが頑張ったと見るべきだな」


セラリアがミスしたというより、そのミスを手繰り寄せたリーアを褒めるべきだろう。

これなら、前線に連れて行っても大丈夫かな?

そんなことを考えつつ、書類に目を通してはサインをしていく。

気が付けば、セラリアとリーアは訓練をやめてどこかに行ったようだ。


「もうさ、俺じゃなくて、女性同士の方が確率高そうなんだよな」


そう言って、深く椅子に座り直して、お茶を飲むのであった。

全体の経過報告です。

ユキがいかに忙しいかわかると思いますw

ということで、だいぶ昔にナールジアさんの彼氏がいた様な発言ですが、こういう理由で人の彼氏がいました。

コヴィルも勿論レベリングしているので戦力としては一級品です。

しかし、感情的になりがちだから抑えがいりますが。


結婚式のお話につきましては、盛大なフラグになりますので、一定期間まで書くことはありません。

未だに個別イベントをこなしていないエリス、トーリ、リエルが解決したら、やる予定です。

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