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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョンと勇者

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第111掘:お祭りと住人達 その3

お祭りと住人達 その3





side:デリーユ



「お、デリーユちゃんじゃねーか、見回りかい?」

「デリーユちゃん昨日はありがとうね」

「デリーユ姉ちゃんあっちに面白い出店あるぜ!!」


そんな風に声をかけられては笑顔で返事をしては、また声をかけられる。

祭りの日でさらに声をかけられる回数は多いが、特別に嫌とも感じない。

寧ろ、街の人達の活気を感じて嬉しい限りだ。


今はようやく夫が目指し、妾たちが手伝った街が完成し、国として認められた。

それを祝う街の声。

こう、言葉では言い表せない気持ちが湧き上がってくる。


「嬉しそうですね姉上」

「……ヒック、エグ。姫様のそのようなお顔を見れてアンナはうれしゅうございます」

「ほらほら、アンナさん落ち着いて」


横には弟に姉妹のように育ったアンナ。

あとは……おまけ。

まあ、リーリは嫌いではない。

が、何かこうイライラする


「それは当然じゃよ。妾もこの街を作るのに尽力したからのう。思いも一入じゃ、ま、妾だけでなく皆の力あってこそだがな」


そうやって、出店が多く出ている商業区の中央広場でぐるっと見回す。

笑顔であふれている。

今日という日を皆で祝っている。


「こんなのは、姫であったときもなかったわ。父上や母上はこれを妾達に託そうとしていたのだな」

「ええ。これを僕達に守れと、慈しめと、育めと、小さい時からいつも仰っていました」

「陛下も王妃様もよく慕われ、貴族として、王として、民を守ることを務めといつも言っておりました」


アンナが周りを眩しそうに眺めながらつぶやく。


「今更と言うべきか、それともやっと手向けができたと言うべきか」

「そうですね。なんと言うべきでしょうね」


弟と一緒に少し微妙な感じになる。

父上や母上が言ってたこと、200年後に漸く理解したなどと、喜んでくれるだろうか?

それともあきれ果てているのだろうか?


「ふむ、でもライエはダメじゃのう」

「なんでですか?」

「ここの手助けはほんのちょっとだけじゃからのう」

「うっ、それはそうですが……」


弟と再会した後は、ユキやセラリア達と話をしつつ、弟をこちらに迎え入れ案内や説明をしたりした。

結局の所、弟は妾達に協力を申し出て、立場上同盟のダンジョンマスターと言う事になった。

しかし、その実配下みたいなもんじゃのう。

どうもこの弟、ユキみたいに革新派ではなく、ダンジョンに引きこもって防衛に徹していたらしい。

まあ、仕方ないと言えば仕方ないか。

ユキみたいに神から乞われて、大陸を救えと言われたわけでもなし。


ああ、ついでに言えば弟に力を与えたのはあの駄女神のルナじゃった。

ユキを連れてくる前に色々現地の人々で試行錯誤したが、全然芽が出なくて仕方なくユキを呼ぶ羽目になったそうな。

まったく嘆かわしい。

いや、ユキと会えたから感謝するべきか?

しかし、家族と引き離してまで……。

いつかこの話はユキとせねばなるまい。

他の嫁達ともそう話している。


「おお!! なんと目麗しき女性か!!」


ん?

なんか変な声が聞こえるのう。

そして目の前に貴族の男が現れる。


「どうか私の側室にならないか? 不自由もさせないと誓おう」


そうやって花をこちらに向けてくる。

……まったく仕方がないのう。

一般開放が始まってまだ二日。

幾ら説明しても、貴族共は力と富を見せれば平民を従えられると思っている奴ばかりじゃ。

他の国ならともかく、ここはそんな馬鹿な事は許されない。

そも、ここより不自由をさせない生活なぞあるわけないのに、どこの口がほざくのか。


あと、妾は既婚しておる。

しかも代表の人妻に手を出そうとは……。


そう思っていると、貴族の馬鹿が突き出した花が妾を通過し、後方のアンナとリーリに向かう。


「へ?」


妾は固まってしまった。

いや、えと、妾はそれなりに可愛く、美女であることを自負しておるのだが……。


「大丈夫です。そこの弟君の生活も私が保障しよう。なにも心配することはない!!」

「えーと、アンナさん」

「リーリ、こういう時はしっかりお断りすることが必要なのです」


アンナはそう言うと一歩前にでて貴族に返答する。


「失礼ながら、このお方は貴方方と同じで今回はお忍びです。今の発言は聞かなかったことにいたします。其方のお気持ちは分かりましたがお引き取りください」

「おお、これは申し訳ないことをした。なるほど、どうりでこのような華を守りとして置いているわけだ。従者殿其方の気遣い痛み入る。この借りはいずれお返しいたします」


その貴族はアンナの言葉で察し、そのまま街の雑踏へ消えていった。


「いいですか、貴族としては良きモノを見つけた時声をかけねば失礼に値する。そういう習慣もあるのです。先ほどのお方はまさに貴族と言うべき御仁だったのでしょう。社交辞令ということでしょう。リーリには少し慣れないかもしれませんが、これからこのウィードではこのような貴族然とした貴族もこられます。しっかりと見極め対応を取るように」

「あ、うん。わかったよ。でもね……ちょっと、今はそこは問題じゃないと思うんだけど……」


つまりじゃ、あの貴族にとって妾は対象外と言う事じゃったのじゃ。

後日個人的に調べて分かったが、評判の良い貴族で、丁度妾と同じぐらいの娘がいるとの事。

そりゃ、そう言う目で見られないのは理解できる。


「いいのじゃ、いいのじゃ、妾は所詮子供じゃよ」

「あ、姉上。僕だって先ほど弟扱いでしたし!!」

「そ、その通りで御座います。姫様は決して万人のため華などでなく、一輪の華でございます!!」

「ほら、デリーユ様にはユキさんがいるじゃない!!」


リーリの言葉で咄嗟に辺りを見まわした。


「そうじゃ!! 妾にはちゃんと愛おしい人がおる!! 他に無視されても平気だもんね!!」


ユキに会いたい、きっと慰めてくれる。

そして、直ぐに応じてユキの魔力が近づく。


「デリーユどうした? なにかあったのか?」

「デリーユお姉ちゃーーん!!」

「やほーーです!!」


おお、子供二人も妾に走ってくる。

二人を抱えて、そのままユキにとびこむ。


「「きゃー、くるしいです!!」」

「おっとっと、どうした?」


ユキはそのまま妾を抱えて優しく聞いてくる。


「聞いてくれ!! ひどいのじゃ!!」


そうやって妾もユキとご飯を一緒にすることになった。



「で、何処にきまったのかのう?」

「最初はスーパーだったんですが」

「いやー、この祭りにスーパーの飯は無いじゃろう」

「ですよね。ミリーはこういう機会なんですから、いい所いってみません?」

「でも、ユキさんが作る御飯以上って中々ないわよ?」

「問題はそこよね」

「……なら私に任せてくれる?」


そしてラビリスおすすめの店で皆でワイワイしながらその日は過ぎていくのであった。

データ消えると萎えるよねー。

待った人ごめんよ

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