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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョンと勇者

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第104掘:勇者と書いて傀儡と読む

勇者と書いて傀儡と読む





side:???



「どうですか?」

「不味い、ここには魔王とその四天王がいる」

「まさか!?」

「……言いたくはないが、ここの住人も王様たちも騙されているんだろう」

「……なるほど、道理で私たちの国への武器支援が打ち切られたわけですわ」

「どういうことだ?」

「つまり、魔王は私の国を締め上げて戦力を奪おうとしたのです。無論、勇者であるタイキ様もそれで封じ込めようとしてるのです」

「なるほどな、そうされれば僕は国で防戦せざるを得ない。しかし、魔王は僕がここに来るとは思わなかったようだな」

「ええ、そこが唯一の救いです。いえ、これこそ勇者の力でしょう。ここで魔王を討てば皆目を覚まします」


俺は周りで楽しそうにこのダンジョン…ウィードで生きる人々を救うための決意を新たにした。


「俺は、魔王を倒してこの世界を救う!!」

「流石、勇者様ですわ」


隣にいるお姫様を俺は強く抱きしめながら、そう誓った。




side:ユキ



「……あー、なんというか」

「馬鹿ね」


俺はダンジョン監視である人物を見ていた。


「で、ガルツ王?」

「……はぁ。まさか、こんな手段に出てくるとはな……」


セラリアが睨み付ける。

ガルツ王は片手で顔面を覆いため息をついている。


「しかし、勇者ね」


俺は皆に見える様に彼のステータス画面を開く。



名前:タイキ・ナカサト

種族:人族

身分:ランクスの勇者

性別:男

職業:異世界の勇者 学生


Lv.168

HP:7020

MP:4200

STR(筋力):1740

DEF(防御力):1200

INT(賢さ):2530

AGI(素早さ):2032

LUK(運):210


スキル

ユニークスキル

勇者の感応 (魔王発見器・及び配下も含む)

勇者の覇気 (魔物、魔族に対して3倍火力3倍防御)

勇者の魅力 (女性にモテる。意思の弱い女性は落ちやすい)

勇者の意地 (自動回復)


その他スキル

汎用多数



「おおう、妾にとっては相性が悪いのう……」


デリーユが勇者のステータスを見て顔を歪める。


「だな、素のステータスならデリーユでもぎりぎり何とかなるだろうが……」

「やめておけ。あの勇者はしっかりその地位を使って武具を揃えている」


ガルツ王がそう口を挟む。


あ、因みにデリーユが魔王称号を持っているのは各王には通達済み。

で各国の反応は特になかった。

実際、鮮血姫は魔王だと伝えられてはいるが、国にとっては紛争や、身内の争いを止めていった事実を知っている。

感謝こそすれ、討伐や捕縛指示を出したことはないのだ。

暗黙の了解ということだ。


ま、捕縛指示なんぞ出せば全滅は必至だろうがな。


ガルツ王に至ってはデリーユに対して礼を尽くし、前にあった王朝の生き残りとして対応をしていた。

良ければ、こちらに住んでいただいて構わないと。


『やめておく。知っての通りようやく夫を捕まえての。これからが楽しみなんじゃよ』


そう言って、ガルツへ戻ることを断った。



「それなりの武具ねー。それじゃデリーユに出てもらって迎撃はやめるか。怪我でもしたら大変だ」

「ユキ……」


デリーユはポッと顔を赤くする。



まあ、デリーユが出て行っただけで済む問題でもないからな。


ちなみに、この勇者はガルツ国、後方の国ランクスからの代表だ。

この建国に際し、3国の後方で領土争いをしている所にも声をかけてもらい、重鎮まではいかないものの、ある程度の代表を集めることに成功した。

これも、ダンジョンを利用した交易広告の為である。

その中で、勇者を連れてきた国が一つ。

ランクスというわけだ。


「さて、ガルツ王はあのお姫様が異世界から勇者様を呼んで要らぬ事を考えているのですが、理由はご存じで? 今この場で下手に暴れれば、どうなるかわかっていますね?」

「うーむ。多分それが狙いだろうとは思うのだが……。デリーユ殿が出て行って鮮血姫と名乗っても、今更引けないでしょうな。あのランクスの姫のいい分であれば、悪しき魔王がこのダンジョンの真の支配者で、今この場に集まった有力者を始末しようとしたのを阻止。そして、ランクスの正義と魔王を倒した勇者有りとして、他国から支援をしてもらうのが目的だろうな」

「……なんですかそれは、最初から破綻してるじゃないですか」


ルルアが呆れ気味に言う。

各国では、暗黙の了解で無視しているデリーユに手を出す時点で他国から総スカン決定なのだ。

まあ、デリーユが本物だと分からないからこの3国から支援が受けられないのだが、3国が支援を停止すれば、小国も右に同じになるだろう。


「で、そもそもランクスの支援云々とは?」

「……それがな」

「ここは私が説明しましょう」


そう言って出てきたのがガルツの外交を引き受けているシャールだった。


「今回ランクスのお姫様の目的は諸国の支援を受けることです。魔王を倒す為にと。では、なぜ支援を受ける必要があるのかと言えば、我が国のダンジョン交易が原因で支援を受けられなくなった為、代案で勇者をこのウィードに連れてきて、この場で紹介して諸国の支持と支援を集めようとしたと思われます」

「……いや、ダンジョンが原因と言われても、ガルツの交易で他国には被害が無いようにとお願いしたはずだけど?」

「ええ。そのように被害はありませんが、これから勇者を使って他国を攻めようと、表向き魔王討伐の為の物資を頼んでいたランクスには被害がありました」

「なるほど、そういう事ね」


ランクス的には勇者がいるのだから、魔王討伐の目的で物資を集めやすい。

しかし、今回3国が手を結んで、交易の簡略化が進んだ今、勇者だけの装備を良くすればいいだけで、ランクスの兵に対して支援する必要性が無くなったわけね。

兵に関するなら3国の方が質も量も上。

前のロシュールとガルツの戦争状態であれば、ランクスに魔王を押し付ける為に物資支援をするのは正しい。


「今もロシュールとの戦争状態が継続中であれば勇者とランクスに対し物資を支援し、魔王への牽制とするつもりでしたが……」

「その必要が無くなったわけね?」

「はい、勇者様個人への支援はともかく、ランクスに物資を支援する理由が無くなったのでランクスへの支援は取り消し。ですが、これに対して、一度約束したのだから最後まで支援するべきだと、ランクスより抗議がありました」

「ああ、それでランクスは勇者を出汁にしてるとみたわけね」

「はい」

「異世界の勇者様は大陸の情勢なんて知りもしないし、本当の事を知る方法はないでしょうね。……彼はどうなの?」

「残念ながら完全にランクスを信じております。お姫様を宛がって完全に色仕掛け。あの程度の年頃なら致し方ないかと」

「厄介ね。それでいて勇者としては破格の異世界の勇者。まったく、誘拐じみたことしておいて、国の利益に使おうなんて、なんて恥知らずな!!」


セラリアがテーブルを叩きつける。


「ですね。セラリア様の言う通りです。そもそもランクスとの交易自体も芳しくなくて、勇者を出汁に使って今までなんとかしてたくらいですからね。無茶な交易ばかりでした。そこまで質の良くない小麦をわざわざ小麦の名産であるガルツに高く買い取らせる取引をしてましたし」

「馬鹿なの? というかルーメル以外の勇者の話は初めて聞いたわよ、そこの所は?」

「それはランクスが秘匿していたようです。まあ、当然ですね。4国以外で下手に知れればあっさり引き抜かれますからね。そして、異世界の勇者といっても最初はレベル1。ある程度育つまではと言う事でしょう」

「……で、その勇者をつかったランクスの経歴は?」


正直イライラする話である。

完全にその勇者は傀儡だ。

都合のいい人形。

ルーメルの勇者達は、上手くやったのか国を飛び出し修行と称して他国を飛び回っている。

しかしランクスに来た勇者は一人でいいように丸め込まれている。

これは、勇者を責めるのは酷か……。


日本の出でなければな。


「ランクスの勇者を中心に上手く使い、近隣の敵対諸国を3つ落としています。無論物資はガルツや友好国を利用しています。ダンジョンを2つ無力化。勇者としての資質はしっかりあるかと。ランクス自体は国を3つも制したので利益は数倍。国としても強くなってはいます。が、国土が一気に広がって最近は停滞し、物資も足りなくなっています」

「それで、ガルツに又交易という名の支援を求めたわけね」

「はい、それで見事に断られて、このウィードの独立祭にきて諸国に勇者は我にあり。正義もまたランクスにありと言いに来たのでしょう」

「なるほどね……。どうするあなた?」


セラリアがこちらを向く。

さて、妻に呼ばれたのなら、答えないわけにはいかないな。


「幾つか方法があるけど、どれにする?」



さて、勇者気取りの少年。

何も考えず3つも国を落としたのか、それとも仕方なくなのか、これから見極めさてもらう。

何も考えなしなら、同郷の出としてしっかり引導を渡してやる。




さて、別の勇者出現。

タナカの所とは違ってテンプレの勇者です。

調子に乗ってます。自分が正義と信じて疑いません。


と、話はかわり。なんか面白いMMOないですかね?

ガンオン飽きてきた。

家とか手に入れて家具とかも色々できるMMOってあるんかね?

一人だと寂しいからだれか一緒だと嬉しい。


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