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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョン運営本格始動

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落とし穴10掘:日常とお約束 中篇

なんか長くなった後編のつもりが中編になっちまったw

日常とお約束 中篇






side:ユキ



「いいか、だからこの計算は……」


普通に授業をやってたんだ。

のんびりとした日常。

いや、今思えば人に教える側に回るなんてな、いや教師役か。

そんな風に思いながら、今日も今日とて、皆に勉強を教えていたんだがな……。


「先生!! ユキ先生、大変です!!」


同じ職場のクラック推薦の女教師…このフレーズにエロイと思ったやつアウト。

普通の職員さんです。


「なにかありましたか?」


授業中に声をかけられるのは珍しい。

まだ午前中だし、会議抜けは昼過ぎだしな。


「それが、シェーラ様の所に変な男が来ていまして……」

「変な男?」

「ええっと、ロシュールの重鎮だとかいって総合庁舎に……」

「……重鎮ねぇ。わかりました、すぐに向います。こちらを頼めますか?」

「はい、大丈夫です。よろしくお願いします」


そう言って、入れ替わり教室を出ていこうとすると……


「せんせーはお嫁さんを助けにいくの?」


そんな声が上がる。

まあ、シェーラはお姫様だし絵本にはなりそうだ。


「おう、お嫁さんぐらい守れないとな。皆そう言うわけだ、しっかり勉強してろよ」

「「「はーい!!」」」

「先生、ぶっ飛ばしてくるんだろ!!」

「さて、どうかな? この話は明日にでもしようか、じゃあな」


そう言って教室を飛び出ると子供たちの歓声が沸く。


「シェーラ様ってお姫様だったよね?」

「うん、ガルツのお姫様なんだって」

「やっぱ、先生は英雄なんだよ。こうばーっと助けてくるんだ!!」

「セラリア先生も助けてもらったって言ってたよね?」

「そうです!! 兄様は凄いんです!!」

「お兄ちゃんは王子様なんです!!」

「…あらあら、理想がとてつもない事になってるわね」


まあ、どったんばったんと暴れる様な事はないんだけどな。

こう、悪巧みタイプなんだ。



ちなみに、シェーラは学校には通わず、庁舎で普段は会計の手伝いをしている。

学校にも多少顔をだしてはいるが、本人が役に立ちたいといって本格的に働いている。


キルエ曰く「本来はあのように役に立ちたかったのですが、国では他の王子様、王女様の手前、大人しくするしかなかったのです。よろしければ、姫様の思うままにしてあげてください」と言われては、止める理由もない、が、嫁さんなので無理はしないように言ってはおいた。


「……うん、ロシュールの重鎮はどう関係してるんだ?」


というより、ロシュールは全会一致で俺達にお姫様を押し付ける方向でいったんじゃないか?

そんな事を考えつつ帰還の指輪でさっさと庁舎につく。

なんで教室を飛び出したかって?

なんとなく、演出ってやつです。

子供の夢を守る為。

マスコット人形の中には人はいないんです。夢が詰まってるんです。


「あ、お兄さん。来てくれたんですね」

「ラッツも来てたのか?」

「ええ、会計を手伝ってくれるシェーラ様に呼ばれたんで…」


ああ、会計の取締はラッツだもんな。

シェーラは部下という扱いになるわけだ。


「で、一体なにがあったんだ?」

「いえ、意味不明なんですよ。一昨日来た視察の人達なんですけどね。今日シェーラ様と会ってから……」



回想:ラッツ


「はい、今日もしっかり働きましょう。では挨拶から」


私はそう言って、各店舗の店長を集める。

今ではスーパーラッツは当然の事。

露天風呂や闘技場や各娯楽施設。

冒険者区の武具道具店の稼働を開始、私が一か所に勤める事は不可能になってきました。

店長を選出し、それを纏める商業役所ができたくらいです。

国営ですから、公務員とかいってましたねお兄さんは?


「「「おはようございます。いらっしゃいませ。少々お待ちください。お待たせいたしました。申し訳ございません。ありがとうございました。又お越しください」」」


そういって各店長の声が響きます。

しっかり毎朝こうやって集まってはミーティングをして、問題が無いかしっかり調べてます。

尚、ここの店長達はロシュールでの300人の中からの古参です。

ちゃんと、成長して役に立っている彼等を見ると、私でもちゃんとできるんだなーと驚いてしまいます。

ただの、旅商人兼冒険者がえらい所まできたもんです。


「では、いつもの通り、昨日の売り上げ……」


そうやって、報告をしていきます。


『ピー、ピー』


その中でコールがかかります。

朝っぱらから何でしょうか?


「すいません。私は出ますんで引き続きやっててください」

「「「はい」」」


そうやって会議室をでて、コールを取る。


『す、すいません。ラッツさん、た、助けてください!?』

「は、シェーラですよね? 一体どうしたんですか?」

『な、なにか変な男の人が……』

『おお、なんと美しい!! 是非私の妻になってはくれまいか!!』


……あ?

変ですね。つーか、会計任せているシェーラ様は庁舎にいるはずです。

つまり不審人物は入れないはずなのですが…。


「わかりました。すぐそちらに向かいます」


そう言って、会議している店長に一言いって抜け出してきたのですが……。



「おお、兎人族の君も美しい!! どうやら私はこの視察で妻を見つけてこいとの神のお告げだったのか!!」


頭痛い。

えーと、シェーラ様を庇っているキルエさん。

彼女も相当な実力を持っていたはずです。

このダンジョンでさらにレベリングしてけた違いになっているのに、その変な男には手を上げていません。

ということは、それなりの身分の人ですか?


「えーと、すいませんが、どなたかお聞きしても?」

「これはすまない。私はロシュール国、ラブルセ領を拝領しているラブルセ公爵が長男。ジャーマ・ラブルセだ。今回、王の指示でこのダンジョンの視察に訪れた次第」

「はぁ、これはどうもご丁寧に……。で、シェーラ様に求婚とは一体どういった意図で? シェーラ様はすでに、ユキさ…ユキ侯爵の妻となっているのですが?」


妙に丁寧で、乱暴や横暴といったいった感じは無いので、実力で排除はしにくいですね……。

しかし、公爵ですか。

ユキさんより上の人のご子息、面倒ですねー。


「それは聞いています。しかし、シェーラ様は厄介払い当然の扱い!! いえ、このダンジョンが悪いわけではないのです。寧ろ素晴らしい!! だが、ここに連れてきた理由は厄介払いもいい所。そのような扱いを受けている姫がいると様子を伺った次第だが、なんと可憐で美しいことか!! これは運命!! 姫を救い幸せにしろとの神の啓示!! 是非我が妻となって我が領ですごしましょう。ラブルセは王都も近く、決して不自由はさせませぬ」


一気にまくしたてる。

うおー、変だ、変な男だ。


「そして兎人族の君!! 名前を伺ってよろしいか?」

「え、ええ。ラッツと申します」

「ああ、ラッツ。君も是非私の妻に!! 決して不自由はさせない。私は人に差などないと思うのだ。貴族は人々を守る為に立ち上がった。それもまたただの人だったのだ。だから君が庶民でも私は差別なんてしたりはしない!! どうだろうか?」

「は、はぁ…。あ、いえ。ここでの職務もありますし……すでに私も結婚しておりまして…」


何でしょう…これがユキさんと会う前なら、目を輝かせてこの人の妻になっていたのでしょうか……。

うゎ…ないわ。

いえ、悪い人ではないのですが…、こう寒気がね……。


「ラッツやシェーラ様を働かせるとは何て酷い夫達だ!! 君達は子を産み育てるという大事な仕事があるのに、このような重労働を……!!」


いえ、私達夫は同じ人ですから「達」ではないですよ。

あと減点です。

私達は望んで働いているのですから。


「ねえ、ラッツ。ちょっとこの前の会計なんだけど……」

「ああ、エルフ族の君もなんて美しいんだ!!」

「うひゃっ!?」


そうやってエリスにも同じように求婚する変な男。

けど、なんというか真面目なんで、無下にできないと言いますか……。


「ちょ、ちょっとラッツ!? この人は!?」

「ごめんエリス。少し相手をしててください」


そういって、エリスに丸投げしてシェーラ様と会議をします。


「どうしましょうか? セラリアが一番効果的だと思いますが……」

「いえ、それは拙いです。セラリア様のご性格なら物理的に排除してしまいそうです」

「ああ……」

「曲がりなりにも、無理やりでもなく普通…ではないですが、真っ向からの求婚です。一度しっかり断って、あきらめてもらいましょう。それで無理ならユキ様に来ていただいて、説得してもらいましょう」

「……あくまでも、セラリア様は最終手段というわけですね?」

「はい、あの人の首が物理的に飛びかねません」


そうやって、エリスの方をみると、手の甲にキスをして……。


「どうか僕の妻になってはくれまいか?」

「は? お断りします。私はすでに結婚しています」


エリスはバッサリ言ってしまいます。

ああ、エルフ族は結構潔癖性のきらいがありましたね。

お兄さん一筋なんですから……。


「なんと!? 君も!? なんて職場だ、妻を働かせるとは!! その旦那は甲斐性無しだな。私なら不自由などさせないのに!!」


「「「っつ!?」」」


その場にいた全員がイラっとしました。

まあ、お兄さんが甲斐性なしとか言われて、イラっと来ないなら、その妻は私達で説教ですね。


「すいません。シェーラ様、ラッツ様、エリス様、あの男ヤッテいいですか?」


キルエの目が座ってます。


「ま、まって、落ち着いて。そんな事すればユキ様に迷惑がかかります!!」

「…しかし」

「そ、そうです。私達も我慢できますから、キルエさんも落ち着いて」

「そうそう、お兄さんは笑っているキルエさんが好きって言ってましたし、おちついて」

「そ、そうですか。ユキ様が……」


こりゃ、やべーですね。

いらない事言う前になんとかしないと、私達で首を飛ばしそうです。


「わかった、君達の夫を呼んでくれ!! ちゃんと説明して納得させよう!! そして心置きなく私の妻となってくれ!!」



side:ユキ


えー、何それ。

どこかのお坊ちゃんイベント?

しかし少し毛色がちがくね?

やりにくいわー……。


「で、そのロシュールの重鎮は応接室に通しています」

「……それを俺になんとかしろと?」

「はい、私達が対応すると殺しかねないので」


……愛が重い。



まあ、お約束といえばお約束。

ですが、ちゃんとしっかりはしているお坊ちゃん。

次で最後になればいいねー。

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