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第三話:好きと嫌いの裏返し~ほんの些細なすれ違いでも一大事~8
「とま、こんなことがあったのよ」
「……それは、まぁ……うん」
席に着く紫乃と向かい合って座る咲玖は、なにやら言いづらそうに表情を曇らせる。
まるで母親、五十鈴と似た反応。
だから訊かずにはいられない。
「もしかして咲玖も知ってるの?」
「も、ってことは誰かにも訊いたんだ」
「……ええ、お母さんに」
それが余計に不味かったのか、咲玖は開いた口を閉ざしてしまう。
(……やっぱり、私に問題があるんだわ)
それだけで胸が締め付けられ、脳裏から莉乃が涙を流した姿が離れない。
「まぁあれだ、私からは一つ言えるとすれば――」
「なに……」
食い入る紫乃の姿勢に、咲玖は若干引きながらも息を吐く。
「少しは妹ちゃんの努力を知りなってことくらいかな」
「……莉乃の努力?」
「これ以上は親友であってもお節介でしかないし、妹ちゃんに悪いと思うから」
これといって莉乃との面識が少ない咲玖が謝ることに疑問を抱きながら、紫乃は思考の果てへと旅立っていく。
それでお昼休みになっていたことに、咲玖から声をかけられるまで気づかない程。




