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瞳の勇者  作者: 烈火
第五章 結末へ向けて
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第五十六話 本物のライ

「おじさんさ、皆に舐められすぎだけど一番早く第三形態行ってるんだよね

あの兄ちゃん、ライの姿に見えるようにこの国全ての人に暗示をかけ皆の輪に不自然ではあるが無理やり入り込み

魔王が瞳の勇者自体をデスマッチにさせていこうって面倒な企みをしてたのを

魔王の通信等途中から遮断したりして俺はそれを阻止してたって訳だわ。

感謝しろよ?

魔剣の情報も魔王から盗んだ情報だ。

まぁあちら側は元より魔剣を渡そうとしてたみたいだがな。

色々バレないようにやってたせいでボロが出ちまったが

お前の体で勘弁してやる」



そう、確かに途方もない強さのオーラを感じる。


姿は細身のライとまた違ったがっしりとした体型で、中年の整った顔立ちに白いダイヤモンドで出来たスーツを着ている。



「相変わらず最低な男ね、姿はイケメンになったしその話だけ聞けば行いもまぁマシにはなったみたいだけど」



私は三人目である最終形態の瞳の勇者を前に強気ではいるがスミス戦を振り返り震えていた。

ダーインスレイブは呼びかけても聞こえない辺り彼に妨害されているのだろう。



「俺は元々の名前を名乗る必要はねぇがライって名前嘘って意味だろ?

気に入った、ライそう名乗ろう。

で豚、早計だ。

俺は殺し合いが気に入らなかっただけで時が満ちて最終形態になったら一人ずつ喰おうと思ってた。

その方が強くなれるだろ?

だがお前はいち早く第二形態になった癖にいつまで経っても最後の形態にならない。

お前は食い物にすらならない豚以下だよ

まぁいい、スミスも俺の幻術で第三形態になったからな。

お前にも強制的になってもらうか」


「!?」



私は驚き目を見開いた。

それと同時に怒りが満ちる。



「あ、アンタ!

リベリオンの件まで手を入れてたの!?

あの城の側には死ななくていい人も沢山いたし、スミスもあんな事にならずに済んだ…。

死合だって死人が出たのよ!?

今回の騒動は全部アンタのせいなの!?

それに私はアンタがライだとは認めない!!」


男はまた高笑いをした。


そうだ、私を蹂躙する際はいつもそうだった。


「まぁ、いまは最後くらいピーピー言わせてやりゃあ。

お前の理性だけ抜いて奴隷にしてやるから関係ねぇがな

体だけは良いの持ってるからよ」


「クズにも程があるわね。

で、今回の騒動の黒幕はあんたなの!?」


「さっきの聞いたらわかっだろ。

そういう学習能力の低さがうぜーんだよ!

ほらこっちの姿で言われたほうがいいか」


男は元の姿、ライの姿に変わると


「僕がライに見える幻術を周囲にかけ続け、僕が生きてるように見せかけ、スミスを煽り岩を落として大量の王族を殺害しました。 

次は瞳の勇者の力を貰い

最終的には君の母ちゃん、魔王を殺して僕がこの国を支配します。

ついでにお前も俺の側近に置いてあげる。

理性のないペットとして。

この姿で言われたほうが嬉しいだろ?

そうだ!僕の妹の服着せてあげるよ!

あの趣味のわりぃ」


「黙れ…!」


私は自分の声に驚いた。

それは人間の声ではない。

なにか巨大な生物の唸り声のようだった。

白眼はそれを見て驚き、それを睨む私の体はバキバキ音が鳴り響きなにか変化が訪れていくのがわかった。


私は本物のライのことを思い出した

ライと一緒に歩いた城下町、ライが語った妹への気持ち、ライの仲間を守る事にかける使命感…私はもしかしたら気付いたらそこまでの意識はなかったがそんな彼に特別な気持ちがあったのは確かだった。


そんな気持ちを私は踏みにじられた。

そして私の体だけに止まらずライの存在はあの心身醜い男に蹂躙され死後、様々な人を巻き込み苦しめた。


血眼の勇者は恨みや憎しみで力が増すと聞いていたがそれすらを越え、私の心は悲しみに満ちていた。



でもこれがあいつのせいなら私は死んででもあいつをこの世から消さなければならない。

私は、私は…!


その様子を見た、白眼の勇者は最初は喜んでいたがすぐに顔が恐怖に染まった。



「聞いてないぞ、こんなもの…!

人間じゃなくなっていく!!

瞳の勇者とは人を化け物にすら変えるのか!?

もういい、第三形態になっていくのは確認した。

後は殺さず精神を破壊して血眼の力を得るだけだ!

行くぞ!これが白眼の勇者最終形態の力!

無限地獄門(むげんじごくもん)の扉!!」


赤いオーラの周りに今まで見たことないほど濃い白い霧が纏わりついてきた。

その霧は私の力をどんどん押さえ込んでそれを吸うたび意識がぼんやりする。

頭が重くなり不思議と心地の良い感覚が脳に蓄積されていく。

気が付くとオーラは全く消え目の前は揺れ意識が薄れ始めた。

瞼が開いたり閉じたりを繰り返す。

すると超巨大な扉が現れ

その前に白眼の勇者が立ち声をあげた。


「ここまでやってやっと収まったか。

瞳の勇者自体恐ろしい存在だが本当チビるほどヤベェなって感じたぞ。

今までなんとかやってきたが今回ははっきしスミスの時より死ぬかと思った。

だが今は俺はこの技の弱点で動けず、お前もこの技のせいで動けない。

つまり全く互いに動けずってわけだ

そしてそれに加えて今、お前自身は何も頭が働かないはずだ。

ここから俺がこの前の通り選択肢を出そう。

そうだな、お前の心は丸わかりだ。

使命を忘れ両親とライと穏やかな生活をするか、彼と訣別して喧嘩したあのノアと共に両親を倒す事を選ぶか。

さぁ、どちらを選ぶ?

まぁ前者を選べば無限に催眠にかかり理性は失われ、後者を選ぶとこの門に吸い込まれてもう一度選択をやり直し、無限に繰り返される。

つまりお前に選択肢はない」


「わ、私は…」


私の頭ははっきりしなかった。

そう選択すらも出来ないほど

ただライという名前はとても心地の良い。

両親と共に居たい。

そしてノアという名前が怖い、会いたくない。

私はどうすればいいんだろう、すると声が聞こえた。


「エル…ちゃん、エルリアちゃん!」


その男の声とは違う、どこか懐かしい声。

何と私の髪を結んでいた赤いリボンが解け自我を持ったように目の前に現れたのだ。


「それは!もしかしてあの時の!?」


白眼の勇者が声をあげた。


これは本物のライが私に最期に託した白いリボン、血で真っ赤に染まった為赤い。


そのリボンはエルリアにこう話した。



「エルリアちゃんこれを使う時は勝たなきゃいけない強敵に負けそうな時。

僕は死の間際このリボンの力が分かった。

命と全ての魔力を使った一撃、自爆を身代わりにこれが引き受ける力をもっている。

それは死にかけの人の命を吸うことで白から赤色になってその効果を持つ。

つまり自爆してもこのリボンが赤から白になるだけで君には何のダメージもない。」


私は説明を受け、やっと理解した。

このリボンの中にずっと本物のライは存在したのだと。

そしてライが続けた。


「最期に言いたい事がある。

僕はずっと君に嘘を、いや昔から皆に嘘を見栄の為に付いていた。

気がついたらあだ名がライ、嘘つき者になっていたんだ。

本当の名前は言う権利はない…。

けれど最期くらいは僕は嘘をつかず君の役に立ちたい!

家族との訣別、それは悲しい事だ。

1か0かが全てな時もある、最愛の人の生死。

でも生きているならまだ変えられる!

1か0じゃない選択肢を、することができる!

これだけ伝えたかった。

ありがとう、こんな嘘つきだった僕を大切に形見のリボンという形で身につけてくれて…!

生きて!

エルリアちゃん!」


どうやらリボンはそのアイテムの説明とメッセージが添えられた劇薬のようだ。

私は涙が自然と出た、ライとの短かった思い出が走馬灯のようにながれ、そして決心した。

私はその瞬間頭がはっきりし、キッと白眼の勇者に睨みつける。

白眼は恐れおののき後ろに下がるが



「ま、…待て!

やめろ、やめるんだ!!」


「私はまだどうすればいいか分からないわ、でもこれだけは分かった。

沢山の人の想いを踏みにじった、アンタだけは死んでも絶対に許さない!

……グリムゾンバースト!」



私は出せる全力と命を燃やし自爆をした。

リボンは白色に戻っていくのが見える。

自身を中心に爆発が起き、湖と林が白眼の勇者と共に一瞬で消え去った。

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