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瞳の勇者  作者: 烈火
第四章 死合
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第五十二話 エルリアの死

「ここからは熾烈を極めるだろう。

観客を巻き込む訳にも行かずもはやその光景を見せるのもはばかれる。

そしてまた…、この技の前では白眼の力も外へは響かない。

黒岳丸壁こくがくがんへき!」


リングに立ったエリックを見たスミスは観客席の境から上空、まで半球体を描くように黒い壁を張った。

あたりが真っ暗になるがスミスの一声であたりが照らされる。


陽体創造ようたいそうぞう!!」


黒い半球体の壁の上空に明るい太陽のような物を作り出し明かりを照らした。

敵のあまりにもの強大な力にエナは震えていた。


「まるで神の力だ…、エリック王子勝てるのか…?」


「家臣が信じなくてどうするのよ?」


私はその姿をみて身長差はあるが下から頭に手を当てニコッと少し笑った、途端だ。

ゲホっと言う声とともに大量に血を吐血した。


「おい!大丈夫かよ、エルリア!」


エナは先程から纏っていたプリーストの姿で即座に回復を施してくれるがどうやら第二形態には第一形態のデメリットは追いつかないらしい。

血眼の力、その反動は自己嫌悪によるものだが今回はどうやら私が人を何人も殺めたこと、ノアに嫌われたと感じた事が大きいようだ。

私は人を殺めたことが無い。

その場ではただ使命感からあっさり殺めていたが人の命を奪う事の大きさは初めての私にとってとてつもない負荷がかかったのであろう。


『今までより反動がでかい、このままだと死ぬぞ!』


ダーインスレイブの声が聞こえた。


そんな事は分かってる、なら緑眼の力は?


『お前は異なる瞳の勇者を使っていた為、お前は自分の魔力を犠牲にこれまで体を回復してきた。

その為魔力はソフィア戦で尽きている。

魔力核をあてにしようと考えているだろうがあのレシラから奪った魔力は体に適応するのに半日はかかる。

もはやノアの力を頼らねば死ぬぞ!』


私は複雑な表情をしたノアに手を伸ばして笑いかけた。

ノアは冷たい口調で突き放すように言う。


「なに?二人も殺したんだから二回は死ぬのが等価交換だよ。

殺すまでの必要は無かったのに!」


「はは、馬鹿な事言わないで。

私は何もアンタに助けてもらいたいって命乞いをしてる訳じゃないわ。

死ぬ最後にアンタに力を託したいだけ、アンタ元勇者様なんでしょ…

汚れ仕事はもう、こりごり。

死ぬ位ならアンタに全部託すわよ。

血眼があればアンタもお荷物にならないでしょ?」


「…。」


「え、エルリアちゃん!?」


ライの声が響くが遠くなってくのが感じる

近くでは恐ろしい音を立てながらスミスとエリックが闘っているのも聞こえるがもう意識が向かない。

無言のノアに手を伸ばしその手がだんだん力が抜け落ちてゆき死にかけている。

もう分かっていた。

死ぬべき定めは決まっていたのだ。

惜しかった。

魔力核さえすぐ馴染めば、レシラの魔力核を奪うため殺さなければ、ソフィアの連打を受けなければ、スミスとの闘いをダーインスレイブの忠告通り棄権したら

そして助けてくれる相棒だったノアに恨まれなければ、そもそもノアを奴らに情が移らないように攫われないようにすれば


たられば、ばかりでこれが一つでも変わってれば生きることができたかも知れない。

レシラに言った命の定め、私も所詮はスラムの女、結局ここまでが役目なのか


伸ばした手は下へ落ち意識も落ちていく。するとバチンと頬を叩く音がした。

最期の力をふりしぼるとなんと、ノアがライにビンタされていた。

ライは珍しく恐ろしい表情で怒っていた。


「認めない!君にはなんの覚悟もない!

彼らを敵に回したって事は殺し合うって覚悟が暗黙でもあった筈だ!

彼ら君のお友達はその覚悟があった!

そして君がこれからしようとしてるのは君が嫌いな殺し、見殺しと言う名でエルリアちゃんを殺めるという事をしてるんだ!

君の愛した者を!!

何を迷うんだ!

ここにきた君のすべきことはなんだ!?」


「!?」


ノアはその言葉に目が覚めたようにはっとし私に駆け寄り抱きかかえると涙を落とした。

そして青いオーラが私とノアを包む


「ごめん、本当ごめん。

ボク、色んな物を見たつもりなのに何も見えてなかった…」


「色んな物を見過ぎて見えなくなってたのよ。

でも覚悟のなさとかうんぬんで謝るのは私達には良いから。

私達の分の死んだ人に私達の代わりになさい。

彼らは私達が謝っても聞かないだろうから。」


私は体が蝕まれるのが止まったがある事に気がついた。

あ、そうかノアは血眼の反動は止めても回復はできないと。

その為血眼の反動が引いた後もエナが先ほどからずっと金眼の力で回復を施してくれているが、間に合わない。


そうか私の役割はここで終わったのか


そして

鼓動がとまるのを感じた。

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