第二十話 瞳の勇者同士の戦闘
「やりやすいように言っておく。」
案内された場所は城の屋上であった。
私、エルリアとエリックは間合いを取り向かい合う。
そしてエリックは私に気をかける様に話しかけた。
「まぁ起こさないとは思うが君がヤケを起こしたら首を落とさせてもらう。
だが私にその力を向ける分には構わない。
城内の者は王を含め避難させライの白眼で内部の確認は取った、最悪城を少し崩す程度なら平気だ。
王も許可している。」
「と、とんでもないこと言うわね…!」
私はエリックの発言に内心驚きながらそこまでして私との闘いを望むエリックの期待に応えられるか、不安だった。
「私の観察だが君は怒りを持った時に存分に能力を発揮できるであろう。
ならはっきり言わせてもらう。
私は君がスラムの出身であろうが瞳の勇者として組むなら関係はない。
しかし君は王国へ個人的な恨みが別にあるのではないか?
君はスラムの階級でも最下層だ。
その理由はリベ…」
「黙って!それを口に出すないで!」
エリックの言葉に驚きつつ怒鳴ると同時に視界が赤くなる感覚がした。
私がこんな惨めな生涯を送ることとなった過去の出来事を知りながらそれをこのタイミングで彼は平然と公言しようとしたのだ。
体が火照るように熱くなり私は歯を噛みしめた。
エリックは続ける。
「目が血走っている。
やはり紅眼の勇者というよりは血眼の勇者だな。
正直言って君本体は脆弱だ、見てわかる。
私は君がその力を持つ事を間違いだと思っている。
大きな力はその者の器に見合ったものでなくてはならない。
瞳の勇者達から見れば手の届く美味しい果実そのものだからな。」
私は怒声をあげたつもりだったが口からなんとドラゴンが吐く炎のような赤い息吹が出ていた。
それはあっと言う間にエリックに直撃する。
ライが大声で驚きの声をあげるのが聞こえてきた。
「エルリアちゃんが口から赤い炎吐いてる…!
というか、王子は!」
前髪が真っ赤に染まるのが自分の目でも見て分かる。
第一形態になるとどうやら簡単に第二形態に変わるようだ。
正直煽られて怒ったという以上に煽られてここまで揺さぶられる自分の心の弱さにイラッとした。
反動によりかなりの量を吐血したが闘いは呆気なかった。
目の前に立つエリックは片腕一本すら残って居なかったのだ。
「ま、まさかあのエリック王子を…!
奴は何も残さず消し去りやがった…!」
エナが驚いた途端だ、背後から声がする。
「いやぁ、私もこればっかしは死ぬかと思った。
だがまさかここまでの再生能力があるとは。」
なんとあのエリックの声だ。
その声はすぐ後ろからした振り向いたとき
剣が私の腹に向かっていた
「すまない、やはり力の器としては君は足りなかった。
君の業は私が担う。」
しまっ…!
私は咄嗟の事で息を飲む間も無かった。
だが右腕から突然何かが飛びだしそのエリックの剣を弾く。
『すまないな、王子様。
こいつに死んでもらっちゃ困るんだ。
それにこいつ』
例の武器屋から渡された剣の声だ!
私はその剣を掴むと体が勝手に動き出しあり得ない程のスピードでエリックの腹を突いた。
『相棒の器も捨てたものではない!』
「それは魔剣!」
「エルちゃん!」
腹を抑え驚くエリック。
だがその傷はすぐに塞がれているのが目に入った。
なんて再生力なのだろう。
私は巨大な剣にしては軽い血の色をした剣を深く地面に刺す。
そして体重をかけ体のバランスを支えると駆け寄るノアに抱きつかれた。
「ごめん、プリンスちゃんの事信じてたけどこんな殺し合いになるとは思わなかった…
エルちゃん本当に死んじゃうんじゃないかって怖かったよぉ…」
ノアは泣きながら私を強く抱きしてくる。
余程心配をかけたようだ。
ため息を付きエリックの方を見ると、なんと彼は笑っていた。
「はは、ははは…!」




