表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/328

ダンジョン攻略10

誤字脱字の指摘、助かっております。

 ついに三十一階に入った。目視ではほとんど周りが見えない状況。暗視モードにすると周りが明るくなり周囲を確認すると、通路が異様に高いことに気付いた。

「敵は……レーダーに何カ所か見えるが……ん? 思ったよりは少ないぞと……」

 宝箱も何カ所か見えた。ここまで来たら期待したいところだね。

 精霊も見えるようにしておく。でないと精霊が手伝ってくれないから。

「さてどんな敵なんでしょうか?」

 俺は光点に近づき壁の陰から覗き込むと角一本が生えた青い皮膚のサイクロプスが歩いていた。身長は五メートルぐらい? 丸太のような足や腕、片手にはこん棒。

「サイクロプスか……で、どの程度の強さかな? まあ、戦ってみないとわからないか……」

 俺は地割れの剣を持ちサイクロプスに近づく、この暗闇ではサイクロプスのデカい目でも見えないようだ。冒険者たちは魔法やランタン俺の黒いクロースアーマーも視認しづらい原因なのかもしれない。

「不意打ちで済まんね」

 そう言いながら一番弱そうな左足アキレス腱を攻撃する。一刀両断できるとは思わないのが俺らしいかな? しかし地割れの剣はすんなりと足首を切断した。

「ぐああああっ」

 急にサイクロプスの叫び声が誰も居ないフロアに響く。

「ウォー」

 その声に反応した他の敵が声を上げながら集まってきた。

「悪いが死んでもらうよ」

 そう言いながら足首を押さえもだえ苦しんでいるサイクロプスの首をはねた。

「素材として使えるのかね。一応回収しておくか」

 俺は収納カバンに入れた。

 次々と俺の方へ魔物が来るが視認できないようだ。まあ、そのほうが俺としても助かるけどね。


 暗闇の中を走り敵を切り裂く。

 忍者ってこんな感じなのだろう。得物が大剣ってのは似合わないかもしれないね。AGIの恩恵で遠心力を使えば壁まで、何なら天井経由で反対側の壁まで走れる。そんなことを楽しんでいる間に三十一階の全ての魔物を倒した。全てサイクロプスだったけどね。

「後は宝箱だねぇ」

 ボソリと独り言を言って俺は宝箱を回収する。

「あぁ、またお金かぁ……。でも白金貨が混じってきてるのはそんだけ敵が強いってことなんだろう、でも敵の強さに実感が無いんだよなぁ」

 愚痴を言いながら全速力で次の階へ進んだ。

 まあどの階でも流れはあまり変わらない。敵を倒して宝箱を回収。赤い皮膚の二本角のサイクロプスが出てきたが変わらず瞬殺だった。精霊のお陰でゴースト相手でも問題ない。そういやクリスに

「要はバケモノ」

 って言われたのを思い出した。確かにバケモノだよな俺……。まあ、バケモノらしくさっさと先に行くか。

 忍者風な動きを堪能しつつ、水の匂いのする階、つまり三十七階にたどり着いた。


 水量の多い川のようで「ゴー」っと流れる音がする。俺は音の聞こえるほうへ歩いた。

 ここが岸かね。この川はなぜか護岸されていた。セメント風のもので固められている。んー対岸は見えないね。マップから言うと両対岸に少し陸があってあとは全部川だった。川幅十キロメートルぐらい? これは普通の人にはなかなか先には行けないだろう。

 あと気になるのが中央にある一つの光点。川のど真ん中に居座っている。ボスじゃないけどボスに近いかな? 宝箱は……無いね。

 あれ? 精霊が増えた。今まで居たのが火の精霊だろ? 今度は水? 二人は何かを話し、「大丈夫大丈夫」って感じで俺の方へ水の精霊を押し出した。

 なんだかモジモジしている。ボディーランゲージで何か訴えてきた。何となくこれだろうな。

「魔力吸わせろって?」

 水の精霊がコクリと頷く。このパターンか……。

「まあいいけど……」

 水の精霊は川から上がり俺に近づいてきた。

「舌入れるのは無しだぞ」

 そう俺が言うと、「ちぇっ」って感じで舌打ちをしたように見えた。それでも水の精霊は俺の唇に吸い付き魔力を吸う。って言っても俺は魔力が減っている感じはない。吸われるよりも回復量のほうが多いのかな?

「お腹いっぱい」って感じでゲップまでして水の精霊は離れた。

「俺についてくるの?」

 水の精霊はコクコクと頷く。なぜか火の精霊がサムズアップしてその後水の精霊とハイタッチしているのが気になった。

「さて、どうやって対岸まで移動しよう。お前ら知っているか?」

 首を振る精霊たち。

「んー、やっぱ知らんか……。高速移動ならホバーだから行けそうだし、それが無理なら足が沈む前に次の足を出す『水走り』だな。今の俺ならできそうな気がする」

 まず高速移動で水面に出ることにした、意外と浮くね。コレなら行けそうだ。試しに「水走り」をやってみたが、これもすんなりできた。高速移動よりも格段に速い。高速移動って格好だけで俺にとっては遅かったのね……。まあ、人を乗せて移動する場合ってことにしておこう。最近はリードラに乗っての移動もできるし。


「水走り」で水面を走る。ちょうど川の中央あたりに来た時に光点が俺を確認したようだった。速度を上げ追いかけてくる。向こうの方が若干速いかな? じりじりと俺に追いついてきた。「水走り」をして五分もすれば対岸が見えるところまできた。約時速百二十キロをこの二本脚で出せるとは……。俺のステータス補正のお陰なんだろうがね。それでも俺の後ろ三十メートルぐらいまで何かが近づいてきていた。対岸にたどり着き滑り込んで振り返った瞬間水面が盛り上がり爆発するように飛び出した……けど?

 びちっびちっ

 俺の背後で何かが跳ねる音……。振り向くと十メートル以上はあるデカいブラックバス?っぽいのが転がって跳ねていた。水面を走る俺に食いついてきたが飛び出して地面に激突したようだ。

「…………」

 しばらく見ていると動かなくなる。所詮魚か、陸上では息ができないらしい。力なく横たわるブラックバス……。

「こいつに食われたらどうなってたんだろ……」

 ふと水の精霊を見ると、大丈夫的な顔をしていた。何とかしてくれるらしい。

「結局俺は何もしなかったけど……こいつ死んじゃったね。こいつが素材になるかわからんが回収だな。後でクリスかカリーネに聞けばいい。前の世界では白身でから揚げにしたらブラックバスが美味いって聞いたこともある。この大きさじゃから揚げは無理だろうけどね。後で捌いてみるか」

 とりあえず収納カバンにデカいブラックバスを入れ、階段から三十八階に降りた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ