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ダンジョン攻略7

 次の朝食が終わるとリビングでくつろぐカリーネに質問をした。

「カリーネ、ちょっといいか?」

「何?」

「一つは三十階のボスって何?」

「ああ、ジャイアントエイプクイーンよ」

「大きな猿の女王?」

「そう、十階のオーククイーンを倍にした大きさだと言われている。三十階以降は行ったパーティーも少ないから情報が少ないのよ。威圧されて動けなくなるって聞いたことがあるわ。あと回復するっていうのも聞いたわ」

「その程度なら大丈夫だな、何とかなるだろう」

「その程度って、あなたステータスどうなってんの?」

「全部二文字だ」

「えっSS?」

「いやいや、もう一つ上のやつ」

「まさかEX!」

 カリーネも「二文字」の意味が分かったようだ。

「嘘をついてどうする?」

「あなたのでたらめさはそこから来ているわけね」

「失礼な。創魔師っていう変な職業から来ていると思ってくれ。ああ、あと素材があったら儲かる?」

「儲かるでしょうね、なんせ今まで手に入ったことのない魔物だから」

 ヤレヤレという感じでカリーネが言った。

「ああ、あとゼファードのダンジョンって攻略されていないとは聞いているが、何階まで行ってるんだ?」

「ああ、三十七階よ。それ以降は『どうやっても行けない』と言われているの」

「理由は?」

「三十七階以降の階段に行くには渡らなければらならない広い川がある。ジャンプぐらいじゃ届かない」

「川を渡らなきゃいけないわけか。船なんてのはすでに挑戦済みだろうな」

「簡易ボートで渡ろうとしたけど、ボートごと大きな魔物に食べられたって聞いてる」

「了解、そこは考えないとな。情報ありがとう、後は実際にダンジョンで戦ってみる」

「いいえ、何にもできないから情報ぐらいはね」

「ああ、あと今日迎えに行かなくてもこっちに帰ってくればいいから。皆には言ってある。エリスもこの家に居てキングや信号機たちと遊べばいい」

「何から何までありがとう」

「おう、気にするな。それじゃダンジョン行ってくる」

「うん頑張って」

 カリーネが抱き着いてくる。

「ゴホン」

 クリスが咳払い1つ。カリーネへの警告のようだ。俺からカリーネが離れた。

 昨日何話したんだ?

 俺は例の扉を使いダンジョン入り口横の魔法陣まで道を作る。

「さあ、ダンジョンに行くぞ」

 俺がそう言うと奴隷達は立ち上がり扉をくぐった。


 魔法陣で二十階まで進み階段を降り二十一階まで進んだ。

「更に暗くなったわね」

 クリスが言った。

 ダンジョン内の照明が更に暗くなり見通しが悪い。

「クリス、照明をつけると言うのは敵に見つかりやすくなるんだよな?」

「暗い中に光が浮かぶということは、敵に襲ってくれと言っているような物」

「だよな……」

 俺は暗視モードをイメージして魔力を使う。周囲が一気に明るくなった。

「夜目が利く人」

 サッ

 フィナ、マール、リードラの手が上がる。

「私は見えない」

 アイナは悔しいのか下を向き歯を食いしばる。俺はアイナに目線を合わせ頭にポンと手を置いた。

「アイナ、見えなくても別にいいぞ? 見てみろ、お前を守ってくれる姉さんたちが居るだろ? それにアイナには霊が見えるんだから、そこで活躍してくれればいい」

「うん、わかった」

「よし、最前列は俺とフィナ、最後尾はリードラとマール、その間にクリスとアイナだな。索敵は俺がする。罠はマールとクリスに任せる。それで良いか?」

「「「「「了解!」」」」」

 俺達は明かり無しでダンジョンの攻略を始めたのだった。


 ここまで来る冒険者も少ないのか結構な数の魔物が徘徊しているようだ。罠も結構ある。二十階までとは大違いか。それに壁を抜けるゴーストのような魔物も居るようだ。何の魔法もかかっていない剣では戦い辛いかもしれない。

 俺はゴソゴソと例の聖騎士の剣を取り出した。青白く光る刀身、確かアンデッドに有効って言ってたな。地割れの剣を振り回すと味方に当たる可能性もあるので、今回はこれってことで……。


 しばらく歩いていると、目の前にジャイアントエイプ、名前の通りデカいサルが出てきた。天井ギリギリぐらいの身長がある。手にはこん棒、あれで殴られたら痛そうだ。おれのVITはEX。実際に殴られたら痛いのだろうか?そんなことを考えていたら無防備に前に出てしまったようだ。

 隙だらけできた冒険者などジャイアントエイプにとっては絶好球に違いない。大きく振り被ったフルスイングのこん棒を食らってしまった。

 ゴッ

 俺が飛び壁に刺さる音が響く。

「イテテテテ・・・テ?」

 特に痛くない。痛いっちゃ痛いんだが……まあ大丈夫って感じだ。

「よいしょ」

 壁に刺さった頭を抜く。

 奴隷たちが呆れた顔で俺を見ている。

「さすが出鱈目な体ね」

 そりゃ無いぞクリス。

 ゴキッゴキッ

 そして、特には凝っていないが首を鳴らした。さすがドランさんのお勧め、クロースアーマーは傷一つ無かった。


 死んだと思った俺が無傷で目の前に現れたことに驚くジャイアントエイプ。もう一度攻撃してきたが、俺はそのこん棒を素手で殴る。向こうの勢いもあったのだろうがこん棒が砕け散った。柄を見て固まるジャイアントエイプ。

 俺は聖騎士の剣を抜きジャイアントエイプの脇をすり抜ける。するとジャイアントエイプの腹が真っ二つに切れた。

「あれ、私の技」

 フィナが驚いていた。

「ああ、痩せるってことで運動していた時、まあ結局痩せなかったけど……その時にフィナに見せてもらっただろ?」

「あれは一度だけです」

「まあ、何回か練習したらできるようになったわけだ」

「えっ、あの技は私でも一年かかったのに」

「AGIの補正なのかもしれないね」

「ずるいです。でもマサヨシ様ならいいです」

 尻尾フリフリのフィナだった。


 何かを見つけたのかアイナがこっちを見る。

「マサヨシ、ゴーストも居る。向こうから来る」

 小声で言った。

「アイナ、ターンアンデッド使ってもらえるか?」

 コクリとアイナが頷くと呪文を唱えた。接近していた霊の光点が消える。ん? 他の所の魔物も消えた。前のキュアーの件もあるけど魔法についてはマップ兵器になりつつあるアイナ。聖女特性かどうかは知らないが、便利この上ない。

「アイナありがとう。私たちにはゴーストは見えないから助かるわ」

 クリスにそう言われると、アイナは自分にできることがあると気付き嬉しそうにしていた。

 ちょっと鼻高々かな?


「まだまだ敵は多いが宝箱も多いみたいだ。どうする?」

「そうね、ここまで来るとパーティーも少ないみたいだし、この辺から宝箱を開けていきましょう。当然罠もあるから私かマールに任せるようにね」

 このダンジョンの初宝箱……俺たちは早速一番近くにある宝箱のある場所へ向かった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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