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扉要るよね

 今のままではいちいち俺の家までカリーネとエリスを連れて帰らなければならない。本人の前では言えないが、正直面倒だ。

 解体場へ向かいながら俺は考えていた。解体場のスタッフを見つけると、

「ごめん。魔石はもう取り出してる?」

 と聞いてみた。

「ああ、マサヨシ様。はい、もう取り出しは終わっています」

「それを見せてもらえる?」

「はい、こちらになります」

 そう言うと、俺たちを素材の受け渡し用カウンターに導き、そこからスイカ大の魔石一個とマンゴー大の魔石四個を取り出した。

「これ、今日貰って帰って大丈夫? 今払えって言えば解体の手数料払っておくけど」

「大丈夫、あなたはギルドマスターの知り合いです。問題ありません」

 カリーネの信用絶大だな。

「じゃあ、コレ貰っていくよ」

 そう言って魔石を収納カバンに入れた。


 後は扉だな。適当に探すか……。

 クゥ……。

 腹が鳴り真っ赤になるフィナ。

「悪い、こんな時間だ腹減ってるよな。飯食いに行くべ」

 昼をかなり過ぎた時間。そう言えば俺も腹が減っている。

 そうは言ったが、ゼファードの街のことは知らない。そういえばフォランカにシュラスコ料理の美味い所があった。肉好きなフィナにはいい感じかな?

「フォランカの肉料理店に行くか?」

「そうじゃ、あそこならうまい肉が食える」

「そうね、あそこなら問題ないわ」

 既に行ったことのあるリードラとクリスの二人は、俺に同意している。

「肉ですか? 行きますぅ」

「美味しいなら行く」

「そうですね、実績があるのなら問題ないでしょう」

 行ったことないフィナとアイナ、マールの三人も同意した。

「じゃあ、早速」

 俺は、例の扉を出しフォランカへと向かった。


 店を出て通りを歩いていると、家具屋があった。

 おっと丁度いいぐらいの扉だね。

「おいちゃん、この扉に木枠付けたらいくらぐらい?」

「いい木を使っているからな。金貨1枚ぐらいか」

「買った」

 俺は金貨を一枚出すと、

「しばらくしたら来るから、開閉できるように木枠と蝶番ををつけておいてくれ」

 おいちゃんにそう言うと店を出た。飯の間にできているといいんだけどね。


 家具屋を出てからチラチラと人の気配がする。建物の陰に潜んでいるのがレーダ-でも映っていた。敵対しているようではないのでとりあえずスルーしておく。クリスからも

「気付いているんだろうけど、つけられているわよ?」

 と注意された。

()りましょうか?」

 マールがぼそりと言う。

「イヤイヤイヤ、殺すのは無しで……。その考え怖いから」

「そう言われるのなら仕方ありません」

 何が仕方ないのかわからないが何とかマールが収まった。


 フォランカのシュラスコ料理店に着き中に入ると、

「いらっしゃいませ!」

 大きな声が響く。

「六名だ」

 と俺が言うと

「空いている席にどうぞ」

 と言われた。昼を少し過ぎた時間、人はまばらだった。

 ウェイトレスがやってくると。

「そういえば、グランドキャトルの後ろ脚の丸焼きってあったよね? 今日は二つ頼みたいんだけど、大丈夫?」

「えっ、食べきれるんですか?」

 驚くウェイトレス。

「この前三人で残さず食べたでしょ?」

 リードラがニヤリと笑っていた。

「あぁ、あの時の。でしたら急いで出しますね。

「エール、エール」

 クリスが連呼していた。またかよ。

「あとエール五つと果実水一つ」

「あと、腹の足しになりそうな物を適当に見繕ってくれない?」

「えーと、グランドキャトルの後ろ脚の丸焼き二つと食べ物を適当に、あとエール五つと果実水一つですね」

「腹をすかせたのが居るんで腹の足しになるものは早めに持ってきてもらえる?」

「はいわかりました」

 ウェイトレスは頷いた。

 ちょっと恥ずかしそうにするフィナ。


 飲み食いしながらしばらく待っていると、グランドキャトルの後ろ脚の丸焼きがやってきた。両足分ある丸焼きに客が引いている。トータルで六十キロぐらいありそうだ。

「これじゃこれじゃ!」

 喜ぶリードラに

「えっ、こんなにいい匂いがするお肉が食べられるんですか?」

 テンションが上がるフィナ。

「多分フィナとリードラが頑張らないと、ここにあるものは無くならないから、好きなだけ食べな」

 皆にナイフが渡され、それぞれで皿にとって食べだした。

「ガツガツ」と言う擬音語が聞こえてきそうなくらいの勢いでフィナとリードラが食べる。

「やっぱりうまいのう」

「本当に美味いですぅ」

 二人の食べる速度が半端ない。まあ、俺達はこれになれているのでマイペースで食べられる。ただ、周りの人は目を剥いてびっくりしていた。

 確かに、美少女と美女が骨を砕きながら食べるのは違和感半端ないだろうな。

 そうこうしているうちに、丸焼きは無くなった。ほろ酔いで腹もいっぱいになって、俺たちもフィナもリードラも満足である。

「みんな美味しかった?」

「また来たいですぅ」

(われ)もじゃな」

「スパイシーで良かったわね」

「肉汁一杯」

「柔らかくておいしかったです」

 それぞれに、満足できたようだった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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