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ダンジョン攻略6

 ボス部屋の扉を開け皆のもとへ戻る。

 相変わらず皆で何か話をしていたようだ。俺に気付くと

「あっ、お帰り、どうだった?」

 気軽に聞いてくるクリス。

「まあ、何とか全滅させたけど」

 そういう俺の体を触りリードラが確認する。

「傷一つついておらんの、さすが(ぬし)じゃ」

「マサヨシ、強い」

「さすがですぅ」

「マサヨシ様なら大丈夫だと思っていました」

 俺を褒め上げる。まあ、持ち上げられるのも悪くはないが、

「心配してくれた?」

 と聞いてみると

「チョットだけ」

 とアイナが親指と人差し指でほんの少し間を作る。

「そんなもん?」

「だって強い」

 そりゃ、強いかもしれないけど。今回のボス戦も過剰に反応しただけで瞬殺だったかもしれないけど。心配されないのもどうかと思うが……

 精霊が俺の横に来て、仕方ないねぇって感じで俺を撫でてくれた。


 ボス部屋に全員で入る。黒くなって転がるクモだったものたち。俺の鼻はバカになっているようだが、相当焦げ臭いようだ。彼女たちは顔をしかめていた。

「焦げ臭いのです」

 フィナが文句を言う。まあ、フィナは鼻がいいから余計なのだろう。同じくリードラも鼻を押さえていた。

 そしてなぜか二人ともテンションが低い。

「面白くないのう、クモは美味しくない」

「クモは美味しくない」って言うのでテンションが下がるのはやめてほしい。

「美味しいものが無いです」

 フィナとリードラがあからさまに嫌な顔をする。イヤイヤ、俺はお前らに美味しい肉を提供するためにボスと戦っているわけじゃないから。おい、二人ともクモの死体を蹴らない!

「マサヨシ、メスグモの方の甲殻も鎧の素材としては軽さと防御力のバランスがいいから回収。クモの絹糸腺は弓の弦の原料になるんだけど、このメスグモならいいモノができる。あとは、相当大きな魔石も入ってると思う。オスグモも小さいなりにも魔石を持ってると思うから回収しておいたほうがいいわね。まあ、素材としてはあまりよくないかも。初期の鎧の原料ぐらいにはなりそうだけど」

 冷静にクリス先生がおっしゃるので、メスグモの体って言うか、どこで解体するんだコレ? まあ、とりあえず収納カバンへ入れる。バラバラに散らばったオスグモもレーダーの表示を魔石持ちに選択し、魔石を持つオスグモだけを回収する。

「後は、何かある?」

「喉が渇いた」

 アイナが言う

「はいはい、果実水ね」

 コップに汲みアイナに渡す。なんか扱いが雑になっているような気がする……。

 俺は飲み終わったコップで果実水を汲み呷った。

 アイナが嬉しそうに笑う。

「私にもください」

「おう」

 果実水を汲んでマールに渡す。コップの位置確認をする。ん? どした? すると、マールはその一点を重ね飲む。

 ハッとするアイナ。

「間接キス」

「言わないの!」

 マールが恥ずかしそうにしていた。

 改めて「間接キス」言われると恥ずかしい。俺もどうすればいいのか分からない。うーん場の空気も変えたい。

「さて、みんなで一度上に戻るかい?」

 そう言うと、魔法陣がある部屋へと向かった。


 魔法陣の部屋から外に出ると、受付嬢がやってくる。

「まさか、二十階のボスも?」

「ああ、倒してきた」

「本当に? あなたたちには驚かされます」

「私たちにかかれば当然です!」

 胸を張ってマールが言った。

「でもボスはマサヨシ一人で倒した」

 アイナが言う。

「本当に一人で」

「仕方なしにだけどな」

「ああ、そういえばあなた達の素材を求める商人が何人も訪ねてきていました。オーククイーンの肉の件が噂になっているみたいですね」

「よくお知りで……」

「ここも一応冒険者ギルドの一部ですからそういう情報も入るんです」

「今度のボスは食べられるところは無さそうだから、話題にはならないかもね。それじゃ、冒険者ギルドに報告に行ってきます」

 そう言って入口を離れた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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