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ダンジョン攻略5

 壁が赤熱しており、歩いていくにはちょっと厳しい感じになっていた。

「やりすぎよ!」

 クリスにも怒られた。

「いや、あの小さなファイヤーボールがこんなに爆発力があるとは思わなかったんだ」

 キシシシ

 精霊が笑う。

「お前知ってただろ」

 精霊を見ると両手を振って違うアピールのあと口笛を吹くふりをして目をそらす。

「まあ、いいけどな」

 俺はため息をつく。

「もっと威力を弱くできるかい?」

 俺は精霊を見ながら言うと、

 コクリ

 と精霊は頷く。

 俺が『ファイアーボール』と言うと、大きさはそう変わらないが、赤い炎の球ができた。実際に撃ち込むと、奥の方で爆発する音は聞こえたが、前回のように炎がわが身を焦がしそうになることは無かった。

「ありがとな、これくらいなら何とかなると思う」

 壁面の赤熱はなかなか収まらないので、迂回路を使い階段を目指した。クモもゴキも少ない。真っ黒な塊が無数にあったことを考えると爆発に巻き込まれたのだろう。下手すりゃ自爆ってのはちょっとボ◯バーマンっぽいかな?


 階段を降りるとワンフロアが全て一つの部屋になっているようだった。正面に扉。でっかい部屋に無数の魔物の反応。一番奥に一つだけ離れて何かが居た。

 あれがボスなんだろうな。

「ボス部屋みたいだねぇ、敵は数えきれないけどどうする?」

「やるしかないでしょ?」

「腕が鳴るです」

「やる」

「まあ、何とかなるじゃろ?」

「マサヨシ様、このメンバーなら問題ありません」

 皆やる気満々である。

「じゃあ、行こうか!」

 そう言って扉を引いたが、動かない。

「十階は内開きだったよな」

「外開き?」

 アイナが言う。

 そんならと、押してみたらメチャクチャ軽かった。

「おっとっと」

 バタン

「へ?」

 奴隷たちが入る間もなく、扉は閉まる。

「またですか」

 精霊ちゃんは……来てるね。えっ扉を抜けられる? それは便利。

 カサカサと虫が這い寄る音が無数に聞こえる。俺に気付いて近づいているようだ。上を向いても天井が分からないくらいに高かった。

「さっきのファイヤーボール。弱い方ね、絶対弱い方! 連射できる?」

 コクリ

「それじゃ、それで」

 俺は高速移動を開始、

「ファイヤーボールよろしく」

 そう言うと、俺の人差し指の先から小さなファイアーボールが連射される。

 おぉ、まさにスコープ〇ック。


 数えきれない数のクモが俺を襲ってくる。距離を取りつつ、ファイヤーボールをマシンガンのように連射。当たらずともファイヤーボールが弾けるので周囲のクモが焼け死んでいく。

 何匹かは天井から空挺部隊のように降下してくる。ついでに液体が降ってきた。毒か? 素早い動きで回避はするが、薄暗さによって視界が制限され、直前でしかクモの位置が確認できない。その降下部隊を縫うように走りファイヤーボールを当てていく。

 ん? クモのサイズが倍化? 一メートル以上あるぞ? ああ、これがオスね。てことは、今までは子グモだったのか?


 オスグモにファイアーボールがヒットしてもなかなか倒れない。数も多く接近を許してしまう。

「ちょっと弱いみたいだ。もう少し魔力を込められるか?」

 精霊に問うと、サムズアップする精霊。

 ファイヤーボールの色が黄色に変わった。当たって弾ける範囲が変わる。

 ファイヤーボールが当たるとオスグモがはじけ飛んだ。

「さすが」

 俺がそう言うと、精霊は笑う。

 弾数は減ったが、確実にオスグモを撃破できるようになった。俺は確実にクモを減らしていく。前衛に出てきた子グモ、オスグモが減り隙間ができる。そのすきを縫い奥へ向かっていると、巨大なクモが現れた。


「デカッ」

 胴体だけで二十メートル以上は有ろうかと言うクモが出現した。

 これが、ジャイアント・ポイズン・スパイダーのメス……。確かにジャイアント。

 顎をカチカチと鳴らす。その顎には液体……液体が落下すると煙が上がる。酸系の毒なのだろうか。俺を見つけたのだろうか、何個あるか分からない目が俺を見たような気がした。電柱ぐらいありそうな足が信じられない速さで動く。

「おいおい、俺より速いんじゃないのか?」

 高速移動は時速九十キロメートル程度、その速度を凌駕するメスグモの移動速度。オスグモ用に調整したファイヤーボールでは威力が弱く外殻さえ抜けない。電柱のような足が俺を狙う。毒も振ってくるが何とか避ける。一張羅が痛みそうになる。

 うーん当たりたくないなぁ、死なないまでも痛そうだ。

 VITがEXとはいえ、わざわざ痛いことをしたいとは思わない。

「あー、もうちょい魔力込められるか?」

 俺が精霊を見て言うと、大丈夫?的な感じで精霊が心配している。

「ああ、何とか逃げるさ」

 その言葉を聞いてか、次弾から弾が白色に変わる。着弾すると外殻が爆ぜた。体液が噴き出す。


 しかし、あのクモ移動速度速すぎ。

 俺はメスグモの足を狙う、回り込んだりクモの真下に入ったりして一本また一本とメスグモの足の数を減らす。そのたびに移動速度が落ちてくる。そして、全ての足を潰すと威嚇するだけの塊になってしまった。

 メスグモの異変に気付いた生き残ったオスグモや子グモが散発的に攻撃してくるが相手にならない。俺は地割れの剣を出すと、メスグモの複数ある目の中心に剣を突き刺し、前後に動かした。STRがEXの恩恵を利用して二メートル近く有る剣が根元まで刺さる。しばらく体を振って暴れていたが、さすがにその動きが止まった。

 レーダーを見るとワンフロア一杯だった魔物の気配は消えていた。二十階のボス部屋をクリアしたようだ。

「ふう、何とか終わった」

 俺がそう言うと精霊がニコリと笑った。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[一言] スコープドックってw ボトムズですね
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