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討伐終了

 一応体は元気にして連れてきた盗賊ども十五人、鎧を着てようが服を着てようがもうボロボロである。当然入り口で止められる。

「これはどういうことだ?」

 門番が聞く。

「ああ、盗賊の根城から連れてきたんだ。ギルドの依頼でしばらく放置されていた討伐依頼があるってことで根城を潰してきたんだ」

「ちょっと問い合わせるから待ってろ」

 盗賊たちはもう引き摺られることが無いとで安心しきっているが、心が結構やられたようだ、俺が紐を引っ張ろうとすると、

「ひぃ」

 っと言って顔を歪め体を丸めていた。

 しばらくすると、

「冒険者ギルドに確認ができた、中に入っていいぞ」

 門番に促され、俺たちはフォランカの街に入る。


 盗賊をぞろぞろと連れ、メタボと美女二人が歩く。女性陣は盗賊に蹴りを入れ早く走るように注意する。

 容赦ないねぇ。

 俺ってどういう風に見えてるんだろ……なんて思う。そのうちに冒険者ギルドまで到着した。


「クリス、リードラちょっとこいつら見ていてくれ」

 そう言うと、俺担当の盗賊を渡し冒険者ギルドに入った。受付に向かい昼間処理をしてもらった受付嬢に声をかける。

「一応依頼は終わらせたんで依頼の処置をしてほしい。盗賊もそれなりに捕らえたのでその処理もお願いしたい」

「えっ、もうですか?」

 受付嬢は唖然としている。

「『ちゃっちゃっ』て言っただろ?」

「まあ、そうは言いましたが、Bランク、Cランク、Fランクの三人ですよね?」

 今まで放置されていた依頼を三人で、しかも初心者込みで完了させてくるなんて信用できないか……。ドロアーテと一緒だな。

「だから、討伐はできないと?」

「いえ、そういうわけでは……」

「ランクが討伐に関係があると思っているのならそれでもいい。そういうこともあるだろう。依頼を受けて終わらせてきたのにランクが元で疑われるのなら、この冒険者ギルドじゃ依頼を受けないことにする。依頼も破棄、盗賊も解放するからそれでいいよな?」

 俺は冒険者ギルドを出ようとした。その時

「まっ、待ってくれ」

 受付けの向こうから男の声が聞こえた。俺が振り向くと、意外と細身で魔法使い系?な男が居た。

「ここのギルドマスターをやっているピートだ」

「で?」

「依頼は処理するから、許してもらえないだろうか?」

 ピートさんは俺に頭を下げ、受付嬢の頭を掴み頭を下げさせた。

「こっちは処理をしてもらえるならいいけど」

「ふうっ」っと一つ息をつきピートさんは俺に話し出した。

「それでは処理をしたいんだが、証拠になるものはあるか?」

「外に盗賊を十五人捕まえてきてるから、詳細はあいつらに聞いて」

 俺は扉の外を指差した。

 ピートさんは職員に声をかけ確認に行かせる。

「数が少ないんだが他は殺したのか?」

「んー、この町に来るときに盗賊たちが馬車の護衛に駆逐されていたのは見た。あいつらは残りだったんじゃないかな? そういうのもあって、楽に達成できそうなこの依頼を受けた」

 まあ、嘘だけど……。

「考えたな? まあ、依頼の完了には間違いない。報酬の金貨三十枚はすぐに準備させよう」

 受付嬢に声をかける。

「あの盗賊どもの処理はどうなる?」

「ああ、あれはギルドが買い取り犯罪奴隷として売られることになる。奴隷商人の審査が必要なので少々時間がかかるがそれでいいか?」

「ああ、金にはあまり困っていないからな。こっち持ちでいいから、ドロアーテに『マサヨシ』宛で手紙を貰えないか?」

「承知した」

 そう言ってピートさんは頷いた。

「ギルドマスター、報酬です」

 受付け嬢が袋を持ってくる。

「それでは報酬だ」

 俺は金貨の入った袋を受け取ると、そのまま収納カバンへ入れた。

「お前、そのカバン……『マサヨシ』『カバン』『デブ』……あっ、炎の風を単独パーディーで討伐した『マサヨシ』か?」

 そのキーワードは何だ? デブは余計だ! それにメタボだし……。

 俺は苦笑いしながら、

「ああ、多分その『マサヨシ』だな」

 と答えた。

「そうか、話には聞いていたが見た目じゃ強さがわからないもんだな」

「もう行っていいか?」

「ああ手続きは終わった。マサヨシはいつまでここに居るんだ?」

「さっさと家に帰るよ、じゃあ……」

 そう言って、冒険者ギルドの外に出た。


 クリスもリードラも腕を組みモデルのように立っている。

「クリス、リードラ、お待たせ。盗賊たちは?」

「連れていかれたわよ。討伐早く終わらせたかったけど、結構時間かかっちゃったわね」

「盗賊どもの足が遅かったのが原因じゃ、もっと移動方法を早く気づいて居ればのう。(ぬし)よ、今から向かっても夜になるのじゃ」

 街の入口というのは、夜になると閉じられることが多い。俺たちなら無理して入ろうと思えばできるのだが、後で問題になるのは嫌なので入街手続きをしてから入ることにしている。

「一度町から出て、家に帰るか?」

「そうね、明日はフォランカの外からスタートすればいい」

「じゃな……帰って(ぬし)と……」

 凄い期待してるんだけど、添い寝だけだぞ? 何もしないぞ?

 俺たちは、町を出て例の扉で家へ帰った。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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