寄り道(館捜索)
洋館ってのが正しいのかな? 傘のマークの会社が原因のゾンビなゲームで出てきそう。レーダーの設定を変えて、宝物を青い光点で表示させる。
おっと、青が3か所か……。集まり具合から、そこが宝物庫っぽい場所なのね。敵対するものは……居ないね。
「さて、中に入るか。扉が邪魔だから、取り除いてっと」
片手で、二メートル四方ぐらいある鉄の扉を片手で持ち上げて動かす。できるんだから仕方ない。
「それ重いわよね?」
「おお、重いと思うぞ? たぶん……」
「まあ、いいわ。あなたに常識は通じないでしょ」
おっと、バケモノ認定。
中に入ると、薄暗い。シャンデリアや金ぴかの装飾を期待したが、そういうものは無かった。正面に大きな人物画。
クリスが立ち尽くしていた。
「ん? あれお前?」
クリスそっくりな顔をしてドレスを着た女性の絵が目の前にある。長い時間が経ったのだろう、色はくすみ、陰影もはっきりしない。でもクリスの顔に似ているのははっきりわかった。
「私は絵を描いてもらった記憶は無いわ」
関係ないって感じかな?
「ほう確かにクリスよりは少し歳を取ってる感じだな。クリスの母ちゃん? 先祖? っぽいが……」
「いいや、多分この時のこの女性は私の苗字とは違う」
「やっぱり母ちゃんか」
「そう、多分私の母。別荘を持っていたと聞いたことがある」
「だったら、これも回収だな。宝物だ」
フックに引っかかるような感じで絵がかけられていた。俺は絵を外し収納カバンに入れる。
「あんまりリードラを待たせるのも良くない。早く回収するぞ?」
宝が集まった場所へ行く。扉の前に着き開けようとするが開かない。
「鍵開けようか?」
クリスが気遣う。
「ん? 多分開くぞ?」
力を入れると……バキッ。扉ごと外れた。
「あなた強引すぎ」
「強引なのは嫌か?」
「嫌ではないわ」
「じゃあ、中に入るか」
中にあったのは、貨幣の入った容器が3つ。金銀銅貨、炎の風に比べたら多くは無いな。んーショボい?
「マサヨシ? 炎の風が特別だったの。普通の盗賊ならこんなもんよ?」
「はい、現実を知りました」
俺は、容器を収納カバンに入れる。するとカバンの中身に依頼書なるものが表示された。
カバンから依頼書を取り出す。
「なんじゃこりゃ? レンノ子爵? 待ち伏せで倒せ? んーわからないなぁ。蝋で封をされてた跡があるみたいだけど」
「そこら辺は依頼書に書かれている子爵さんが知ってるんじゃない?」
「関わりたくないが回収して戻るか」
書類を収納カバンに入れる。
もう、特には無いな?
俺たちは館を出た。
館を出るとドラゴン化したリードラが居た。
「クリス、この屋敷はどうする? お前の母親の思い出があるのだろう?」
「燃やしてしまって! 盗賊の根城になるのなら、燃やしてしまったほうがいい」
本音は残しておいてほしいのかな? 屋敷から目をそらしている。
俺は屋敷に近づくとカバンを近づけてみた。
屋敷は光りだし、そしてカバンに収納される。
「えっ……」
クリスが驚くが、俺の方が「えっ……」である。
「収納できたねぇ……」
「あなた規格外すぎ」
クリスは苦笑いしていた。
「さて、フォランカへ帰ろう。リードラ、人に戻っていいぞ?」
「主よ、我はドラゴンに戻る必要はなかったのでは?」
「そうでもないぞ? そこに居る奴らは皆ビビってるでしょ?」
「おぉ、確かに」
「リードラは怖いってわかったんじゃない? 色々聞いたら話してくれるかもしれないでしょう?」
「おぉ、そうじゃな。なめられてはいかんな」
壁の裏にリードラがいく。光が見えるとリードラの手が服を要求してきた。
「ほい、これな」
俺が服を渡そうとすると、リードラに引き込まれた。全裸のリードラが居る。
「抜け駆けはダメだろ?」
「だってのう、二人っきりって難しいのじゃ」
「今日は添い寝してやるから」
「わかったのじゃ」
にっこりと笑うとリードラが離れる、そして着替えだした。
俺は解放され盗賊たちの前に戻った。
「さて、こいつらどうしよう。連れて帰るにしても面倒だな……」
「殺してしまえば?」
おっと、クリスさんストレート。
「炎で焼くとか」
リードラさん残酷。
「ってことなんだけど、歩いてもらえたら街まで連れていこうかと思うんだ。歩いてもらえるよね。ねっ?」
盗賊たちは命が惜しいのだろう、コクコクと頷く。俺たちは十五人の盗賊を後ろ手に縛り歩かせた。
行きと帰りでは速さが違う。まあ、連行される盗賊がやる気が無いのも分かるがあまりに遅い。キレたリードラが担当の五人を引きずり走り出した。それにクリスが続く。痛かろうが死にそうになろうが引きずられる。
「お二人さんこいつら死んじゃうから、お手柔らかに……。あれ? 治癒魔法かけながら走ったら痛みがあっても死なないよね」
俺が盗賊たちを見ると「ムリムリ」と手を振る。
「じゃ、そういうことで」
我関せずに俺は加速。
「ギャーーー!!」
っという奇声を上げる盗賊を引きずり、俺たち三人はフォランカの入口へ向かった。
自業自得だよね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




