子供を探す
アイナとドロアーテの街に来た。早くしないと冬が来る。
「さて、アイナさん。どこに行けば会える?」
「わからない。皆それぞれに縄張りがあった」
ふむ、触らず触られずって感じかな? 俺はレーダーの条件を12歳以下親無しを緑の光点にする。そうすると、三個の光点が現れた。とりあえず行ってみるか。
光点に近づくと、一人の女の子が居た。いきなりメタボな人が来たから焦っている。
「お前、冬は大丈夫か?」
何を聞いたらいいのかわからないので適当に聞いてみた。今の俺って不審者の匂いがするだろうな……。するとアイナが手を引っ張る。
「ん?」
「わたしに任せて……」
アイナが珍しく自分から言い出した。任せてみるのも有りだな。
「サラ、私」
「?!」
「仕事をする気はない? 寝るところと食事は付く」
「何を?」
「マールというメイドの手伝い」
「あなたは今幸せ?」
サラと言われた少女はアイナに聞いた。
「今までの人生で一番幸せ!」
そうアイナは言った。
「そう、だったら行く」
アイナの言葉でサラが俺の家で働くことが決まった。サラは垢にまみれ服も汚い。
「サラ、マサヨシがあなたを洗う、少し我慢して」
アイナの言葉で、洗浄魔法を使う。垢は落ち、可愛い猫耳の顔が出てくる。服もそれなりに綺麗になった。
「こんなに綺麗になったのはいつ振りかしら? あなたが雇い主? よろしくね」
すっきりした顔をして、俺に挨拶をしてきた。
サラを連れ次の光点へ行く、そこには人間の男の子が居た。アイナが交渉を始める。
「タロス、お久しぶり」
「お前、名無しか?」
タロスと言われた男の子が聞く。アイナはまさに「名無し」と呼ばれていたのか。
「そう、今はアイナ」
「で、どうした?」
「この人に雇われる気はない?寝るところと食事は付くけど」
「何をすればいい?」
「多分、木漏れ日亭に卵を持っていく仕事。あとは、コカトリスの世話ね」
「コカトリス? そんなもの飼っている家があるのか?」
「私の家の牧場はコカトリスの繁殖場所。そのうちの数個を木漏れ日亭に持っていっている。その卵を運ぶのが仕事。寝るところと食事は付く」
「だったら、足の速い俺が適任か……」
別に足の速さは必要ないと思うが……。
「いいだろう雇われてやる」
おっと、上から目線。まあ、元気なのは良いことだ。
サラとタロスを連れ最後の光点に行く。そこにはエルフ? いや、ハーフエルフの子が居た。
エルフはエルフ同士の結婚を望むものが多くハーフエルフは少ないと聞いている。そして純粋じゃないという事で迫害されるということも……。
「テロフ?」
「ああ、名無しじゃないか。どうした?」
「あなたに仕事があるんだけど……しない?寝るところと食事は付くわよ?」
「何をすればいい?」
「飼い馴らされたコカトリスの世話」
「そんな簡単なことでいいのか?」
「マサヨシはそれでいいと言っている」
「ああ、そこのデブか……」
アイナが威圧を発動……テロフの顔が真っ青になる。
「マサヨシをバカにするとひどいことになる。覚えておいて……」
アイナは威圧を解いた。
「まあ、そういうことで俺が雇い主のマサヨシだ。俺の家で働くんだから、一応契約してもらうぞ?」
そう言うと俺は契約台を出す。そして、それぞれの名で俺と雇用契約をすることにした。
サラが、
「字が読めないから、契約内容がわからない」
と言ったが、
「私が読むから大丈夫」
アイナが契約内容を代読すると言った。
「まあ、俺はお前ら三人を縛るつもりはない。俺の庭で働くなら俺はお前らを守る。ただ俺と敵対するなら容赦はしない」
薄めの威圧を掛けながら話した。
「それじゃ契約するぞ?」
契約専用紙で「マサヨシの家を手伝う。マサヨシの秘密は言わない」という契約書を作成する。
そして、契約台で一人ずつ契約を行い完了した。光点として表示された子供は契約できた。
「お前ら、契約してからなんか変わったことない?」
「「「わからない」」」
三人は首を振る。
「まあ、いっか。とりあえず何かあったら言って」
サラは大丈夫としてもタロスとテロフは洗浄魔法だな……。ということで、魔法を使い男共の体は綺麗になった。
俺達五人は、アイナ御用達の衣料品店に行く。
「おばちゃん、こいつらに服見繕ってよ。基本作業着でいいから……予算は三人で金貨一枚で……」
おばちゃんの目が変わる。俺は足を出しても理由があれば買う男だと知っているからだ。
三人はおばちゃんに連れていかれる。意外と素直だ。
「三人の着ている服は、多分おばちゃんがくれた。前の私のも……おばちゃんは覚えていないのかもしれない。でも私は覚えている」
アイナが耳元で囁く。だから、皆素直なのか。
そうこうしているうちに、赤、青、黄のツナギを着た子供がやってきた。なぜ原色? 信号機? 赤はサラ、青はタロス、黄はテロフという編成だった。
「おう、見違えたぞ? ちっちゃな作業員」
「ちょっと恥ずかしい」
慣れていないのかサラはモジモジ。
タロスは仁王立ち。
テロフはモデル立ち?
まあ、ハーフエルフも顔立ちは良いからなぁ。メタボな俺には羨ましいことだ。
俺は着替えを貰い、おばちゃんに代金を払い店の外に出る。
店の陰に入ると扉を出し魔力を通して家へ行けるようにした。当然向こう側は俺の家。
「おいオッサン、これはどうなっているんだ?」
唖然としてタロスが聞いていた。
「俺の魔道具だ、一度行った所なら何度でも行ける扉。まあ、お前らの仕事場に行くぞ!」
驚いて動こうとしない三人を引きずりながら家へ帰った。
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