炎の風顛末
討伐報告から七日以上たったので、とりあえずどうなったか聞くことにした。
「ところで、リムルさん。盗賊団の雑魚どもの金額は決まった?」
「はい、大体は、全部で三百二十万リルになりました。準備もできています」
二百人以上で金貨三百二十枚、一人金貨一枚強か……
「だったら、貰えるかな?」
リムルさんは、奥に行くと革袋を持って戻ってきた。
「金貨三百二十枚です」
そのまま、収納カバンに入れる。
「ありがとう。あと、武器の分はどうだった」
「あまり良いものがなかったので、素材としてしか売れませんでした。ただ、一本の剣は魔法がかかった逸品だったようで、これは保管してます。ただ、鑑定料で他の武器の売り上げが消えました。差し引きゼロです」
「わかった。剣を寄越してくれ」
リムルさんは、再び奥に行くと、刃渡り一メートルほどで綺麗に装飾がされてある剣を持って戻ってきた。
「これが魔法の剣」
俺は受付け置かれた剣を見る。うっすらと、青白い影が見えたような気がした。
「聖騎士の剣と呼ばれているものだそうです。確か王都騎士団が、炎の風を討伐しようとした際に奪われたと聞いています。対アンデッドに効果があるようです。これが、鑑定書兼所有証明で、聖騎士の剣が盗賊団から回収した物であり、あなたの所有物であることを冒険者ギルドが証明します」
「あぁ、『元々は俺のだったから、返せ!』って言えないわけね」
「そうです」
「あと、俺とアイナをCランクの冒険者にしてくれるって言った件だが……。どうなってる?」
「ギルドマスターどうなってるんです?」
「もうサインをしてもらえれば、マサヨシとアイナ君はCランク冒険者だ」
「マサヨシ様、そういうことらしいです。ギルドマスター、書類は?」
「ああ、これだ」
グレッグさんは2枚の紙をリムルさんに渡す。リムルさんは一通り内容を確認すると俺の前に置いた。
「マサヨシ様、ここへサインをお願いします」
「アイナの分は俺が代筆しても?」
「それは問題ありません。しかし今日来られていないのならその時でも?」
「わかった、後日アイナは手続きする。それじゃ、まさよしっと、これでいい?」
「はい間違いなく。あとギルドカードの提出をお願いします」
「ほいこれね」
「では預かります」
リムルさんが何か呪文を唱えると、俺のギルドカードの中にサインした紙が吸収される。と同時にカードが光り出した。光が落ち着くといつものカードが転がっているだけだった。
「これで、マサヨシ様はCランク冒険者です」
リムルさんが俺たちに冒険者ギルドのカードを渡してくれた。
「おぉCランク。ってなんか変わるの?」
「変わりません、依頼を受け達成するのが基本の流れになります。ただダンジョンに入れるようになったり、指名依頼が受けられるようになります」
「指名依頼?」
「指名依頼とは、ギルドや依頼人から、直接そのパーティーに向けて依頼されるものです。ギルドへの貢献、報酬ともに高い傾向があります。無理ならば、断ることも可能です。その際には、ギルドへの貢献度低下、依頼人との関係悪化など、デメリットも発生しますのでご了承ください」
うぅ、面倒そうだな。指名依頼って……。
「できるだけ俺らに指名依頼はしないでね」
「了承しかねます。マサヨシ様たちは、つ・よ・いですから」
リムルさんが悪い顔でニヤリと笑う。
「まぁ、できるだけよろしく。色々ありがとな」
俺は、受付を離れた。




