魔道コンロ制作
俺が楽するためでもあるんだが、魔道具を作りたい。
魔石コンロ?IHなんて方式がわからないし、専用の鍋が要るから却下。懐かしの電気コンロっぽいのがいいんだがなあ。五徳をまず作ることにした。そういや、クリス助けた時に奴隷商人からパクった鉄の剣があったな。五徳は……輪っかに爪が五本で鍋が置けるようになっていたっけ?
俺は鉄の剣を出し、柔らかくしてから千切って細長くしたもので、円を作った大体直径二十センチ。その円の上側に二本、下側に三本になるように足をつけた。そして硬化処理。
さて、五徳作成完了。
次に、発熱部を作成。小さな魔石を細く糸状にして適当に三つに分け輪を作る。大中小って感じの大きさにした。その輪っかを五徳に埋め込む。金属製のものが乗ると魔石が1300℃まで発熱するプログラムを魔力と一緒に流し込んだ。これで、鍋を乗せれば、発熱して料理ができる。もう一個の魔石を出し摘みとコードを作った。コードで五徳をつなぎ、捻れば小中大と順番に魔石の輪が発熱するようにして、火力調整も可能とした。同じものを一つと小さめの物を一つを製作。三口コンロにする。
「あとは固定なんだよなぁ」
ゴブリンからパクったさびた剣を柔らかくして一纏めにし、箱型の台を作る。その上に三角形に五徳を置く、手前側に大きいのを二つ、奥に小さいものを一つ。そして融着。外れないことを確認。捻りも軸を付けまわるように固定。1、2、3は火力の大きさってことで……。
竈の上を平らにして、位置調整、その上にコンロを置いた。コレ結構重いんじゃないかなぁ? 俺は補正で気にならない。重い方が安定していいか。
「マール、これ使ってみてもらえる?」
「何ですかこれ?」
「魔導コンロ、んー俺の世界にあった竈だな。その輪っかみたいなやつの上にヤカンを置いて、その捻りを回すと輪っかが熱くなる。そして温まるって寸法だ。そこにある数字は大きくなるほど熱くなるから注意して」
マールは、ヤカンに水を入れるとお湯を沸かし始める。久々に見た女性が調理する後ろ姿。ボーっと眺めていた。
「マサヨシ様、便利ですねこれ。ちょっとお茶を沸かすのにもいちいち薪を使わなくてもいいですから」
「だったらよかった。俺も薪から火を起こすのは嫌いじゃないが、時間がかかりすぎる」
ヤカンに湯が沸くと、
「リビングでお茶にしましょう」
俺はマールにリビングへ促された。
いつ買っておいたのか、マールは紅茶を出す。
「はい、どうぞ」
紅茶のいい匂いが広がる。
「美味いな。落ち着く……」
「こんな時間が持てるのもマサヨシ様のお陰です」
「そうか? 俺は君を買っただけ。今、落ち着いているのは上手いお茶を入れることができるマールのお陰。俺のお陰じゃないよ」
そう言って、マールを撫でた。




