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なんか違う?

 ルーザさんに弁当を準備してもらい、木漏れ日亭の裏へ行き、牧場へ移動しようと例の扉を出す。

 おっと、そういえばマールは初めてだったかな? 扉を開けると向こうは牧場だった。

「えっ、何で扉の向こうが?」

 マールが唖然としていた。

「あれマサヨシの魔道具、一度行ったことがあれば行くことができるの」

 クリスが耳打ちしていた。

 マールが俺を見る。ちょっとは尊敬してくれたかな? ただのメタボじゃないんだぞ。


 しかし、ドアを通ると昨日とは違った風景があった。

 申し訳なさそうに、コカトリスの群れからリーダーがやってくる。

「増えた?」

 俺がリーダーに聞くと、遠い目をしながら

「クエ、クエェ? (増えた、大丈夫?)」

 と答えた。心なしか太鼓持ち風の言葉が変わってしまっている。これも、能力アップの所為か。

 昨日と違った風景、明らかに牧場でくつろぐコカトリスの数が多い。巣も増えてる。

「別に問題はないが、どういうこと?」

「コケッココエコケエコケ、ケッココケエエコケケコ(俺が強くなったせいで、周りのリーダーからメスがこっちに移ってきた)」

「俺のせい?」

 コクリ

「コケッケケエコケオエ? (あなたも増えた?)」

「俺はメイドだから違うぞ?」

「コケコケェ(またまたぁ)」

 口角を上げ、突っ込みを入れてくるリーダー。

「まあ、多いのは大変だな」

「コケエ~コケコケ。ココココケ……(まったく大変。でもあなたも……)」

 変なフラグを立てない。


「あなたたち! 何を話しているの?」

 クリスからの突込みに俺とリーダーの目が泳ぐ。

「いや、何にも」

「コケッ」

 リーダーは言葉がわからないふりをする。

「ケケケココッケ。コケ、ココッコケ(卵置いてあるから。じゃ、頑張って)」

 そう言うと俺を放置して、群れの方へ戻った。

「で、何話してたの?」

 皆にジト目で見られる。

「今回の顛末についてだな。俺がリーダーを隷属したせいで、リーダーが強くなって、強くなったリーダーにメスが集まったらしい」

「強いオスにメスが集まるのは当然、私たちと一緒」

 えっアイナさんが言うことじゃないような……。

「当然です、自然の流れです」

 おっと、真面目そうに言うフィナであるが

「卵も置いてあるって言ってた」

 というと、

「卵ですか? 朝のオムレツっていう料理が食べたいです」

 残念になってしまう。

 まあ、いつものフィナなので気にはしない。

 あっ、マールが固まっている。石化じゃないぞ? 恐れおののいている。

「ああ、あれ、うちの家の住人だから、襲ったりしないので、安心して」

「マサヨシ様? あれはコカトリスリーダーじゃなく、キングです。あそこで、巣を暖めているのは、クイーンではないでしょうか?」

「何? クイーン?」

 それは聞いてなかったな。

「滅多に発生しない個体です。群れのリーダーがキングになった時にだけ発生するそうです」

 がんばれリーダー。もといキングか。キングと呼び方を変えないとな。

「よく知っているな」

「お父様に教えてもらいました」

 そういや、現在謎の女マールであった。


 玄関に着くと、昨日よりも大きな卵が置いてあった。これがクイーンの卵だろうか、心なしか輝いている気がする。とりあえず、収納カバンに仕舞った。

 残念な顔をするフィナ、いや、残念なのは君だ。

「今日は、掃除と買い出しを行いたいと思います。掃除道具班と備品買い出し班に分かれます。掃除道具も買わなきゃいけないから最初は全員で移動な」

「ちょっと待ってて」

 そう言うと、女性陣は一番大きな二階の部屋に行く。「ちょっと待ってて」には二種類あると思う。待たなくて、「キャー」なパターンと、待ってて「じゃーん」なパターン。無難に待つほうだろうな。わざわざ危険を冒す必要が無い。


 時間がかかりそうなので窓から牧場を見ていた。増えたなぁ。30匹ぐらい? あれ? 別の群れが来た、メスの取り合い? キングが向こうのリーダーをキック。おぉ、飛ぶねぇ。ん? 向こうのメスの目がハート? キングにすり寄ってるぞ。クイーンは諦め顔、最近入ったメスの視線が痛いね。えっ、一応群れに入れるの? また増えたの? 

 俺が見ていたのにキングが気付く。そして遠くを見た。「仕方ないんっす。断れないんっす」って言ってる気がした。そして俺を見て目を開き「あなたもね!」と言った気がした。

「いやいや、断れるから……多分」

 そんなことを言っていると。

「じゃーん!」

 着替えた女性陣が出てきた。メイド服に着替えたようだ。設定金額から大幅に足が出たのはこういう理由か……。

「おー、可愛いな。みんなメイド服似合ってるぞ!」

 ここは、大いに驚いておかないと面倒なことになる。リアクションは重要なのだ。

「そんだけ?」

 えっ、もっとと言われても。予想外の反応に戸惑う。

「他に何かない?」

「みんなお揃い? ああ、マールもバレッタ買ったか? グレーのあったんだな」

「そう!」

「四姉妹になっちまったか、まあ、皆仲が良いのは良いことだ」

 俺は、ノーヒントでバレッタの存在に気づいた自分を誉めたかった。 


 マールに必要なものをリストアップしてもらい買い出しの準備を進める。料理関係は俺が適当に買うかな、多分今から探しても料理人は来ないだろう。もう一人メイドも要るかな? ガントさんに依頼しておくか。来年の奴隷市で連れてきてもらってもいい。掃除の道具も必要か、そこら辺はマールのほうが詳しいか。

「マサヨシ様必要なものはわかりました。買い出しに向かいましょう」

 結局メイドのマール、残りのメイドもどきの三人を連れ買い出しすることになった。

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