いつやる?
誤字脱字の指摘、大変助かっております。
「さて、いつにすればいいのかね?」
久々の全員集合。
「我は縛るものなどないからのう。いつでもよいぞ」
「リードラ、お前はそうかもしれない。食物連鎖の頂点の一つ、ドラゴンだからな」
「それを娶り縛ろうとする主も主なんじゃがのう」
呆れ顔のリードラ。
俺のところに来ようというリードラもリードラではないだろうか……。
「ん、私も期日はいつでもいい」
「私もですね」
アイナとフィナが言う。
「私にはもう父も母もおりません。急にといわれると難しいですが、期日が決まっていれば問題ないですね」
フィナにはガントさん辺りを呼ぶか。
「アイナは?」
「私には父親兼夫が居る」
あっ、俺のことね。
「はあ、アイナ、一応、マティアス王には声をかけるぞ。来る来ないは向こうが決めればいい。いいな」
アイナはコクリと頷いた。
「クリスはどうなんだ?」
「そうねえ、別に来なくてもいいけど。招待だけしておけばいいんじゃない? どうせ通常の旅では既にここへは来れないんですから」
馬車じゃ、今からでは間に合わないと言いたいんだろう。
「来ると言ったら来てもらうからな」
「はいはい」
と言って、ヒラヒラと手を振るクリスだった。
扉を使うかダンジョン街道を使って、ちょっとしたイタズラでもしてみるか。
「私は比較的自由ですね。休みは取れます」
ラウラは問題ないらしい。
「ミスラは?」
「もし、マティアス王が来るとなれば出席するかもしれませんね」
ミスラは王次第ね。父親であるヘルゲ院長がいるから問題ないか。
「マサヨシさん、政務的に比較的落ち着くのが十一月後半でしょうか。穀物の収穫は十月頃に終わり十一月の前半には納税が終わっています。ですから、十一月の後半から十二月の前半で考えればいいと思います」
イングリッドが手を挙げて言った。
「私もそれぐらいが助かるかも。イングリッド殿下が言った通り。手が空くのはその辺かしら。年末は年末で忙しいし」
ノーラも同意する。
ノーラは領主だから余計か。
クラーラは
「ドワーフは年中採掘してるから、平均的に忙しいの。でも、美味い酒が飲めると聞けば、扉を壊してでもこの場所に来るでしょうね」
と言う。
ドワーフは酒らしい。
「私もいつでもいいわよ。両親なんてもういないし。エリスと一緒なら問題ないわ」
身軽さを強調するカリーネ。
「お父様お母様に手紙を書いておけば問題ないかと……」
マールは……普通だな。
「しかし、ギルドに頼んで手紙を出したとしても、時間がかかる。手紙が着いたときには、結婚式が終わっていたと言うんじゃ意味がないだろう? よく考えれば、俺が直接いくのが無難なんだろうな。その方が早い。来るのも一泊二日もあればいいだろう。クリスの母ちゃんところで泊まってもらってもいい。お付きの数も最低限にしてもらって……」
考えるときりがない。
「とりあえず、十二月一日辺りで決めようと思う。あと三ヶ月ぐらいだがいいかな?」
「わかったわ」
「ご主人様、了解です」
「ん、了解」
「旦那様、承りました」
「了解じゃ」
「エリス込みで了解」
「わかりました」
「了解です」
「了解しました」
「わかった」
皆が返事をした。
「ん? ちなみに、平民と貴族、王が一緒の部屋にいていいの?」
「マサヨシの結婚式が公なのかどうかにもよるけど、問題ないんじゃない? どうせ、あなたは気にしないでしょ」
クリスが言った。
「王さまとかが気にするかとね」
「お父様は、問題ないかと……。マサヨシさんのやり方に文句は言わないでしょう」
イングリッドが言った。
「うちも問題ないわね。酒さえあれば機嫌がいいわよ」
クラーラが言う。
「私のところは多数側に流されるんじゃないかしら」
クリスが言った。
マティアス王はアイナを公式に娘と認めているわけではないから、来ない確率の方が高いか。
「わかってる? 近隣の大国のうち、二つの国の王が来るのよ。そして残り二つも来るかもしれない。そんな大物が集まる結婚式ってないから」
クラーラが呆れていた。
「知らない間に影響力持ってるんだな。俺って」
「はっはっは、今さらじゃろう? 人、エルフ、魔族、ドワーフ、獣人、魔物、主が動けば国をも潰せるのう。知っておるのは一部じゃが」
リードラが笑う。
「手元で掴めるぐらいが丁度いい」
と俺が言うと、
「欲がない主じゃ」
皆も一緒に笑った。
「あっ、マサヨシって姓有るの?」
思い出したようにクリスが聞いてきた。
「無くはない」
「有るの。無いの」
「有るよ、アスマって言うんだ」
「アスマって?」
「アスマは向こうの言葉で遊ぶ馬の意味」
「なんか、あなたらしいわね。ユニコーンの紋章にも合ってる」
ユニコーンの紋章確定?
「まあ、もうしばらくアスマ姓を名乗るのを待ってもらおうか」
皆は頷く。
話し合いが終わると、女性陣は酒盛りになった。適当なツマミを作り、置いておく。
巻き込まれるのが嫌なので、
俺はヘルゲ院長のところへ行った。
ヘルゲ院長にことの顛末を話す。
「まあ、そんな話をして、十二月一日に結婚式をしますので、参加をお願いします」
「承った」
俺は、少なくなったヘルゲ院長のグラスに火酒を注ぐ。
「あの子の母親は早く亡くなり、儂が男のように育ててしまった。馬術や剣なんて言うのはその典型だ。料理もできない。女としては中途半端なのかもしれないな。だから行き遅れた」
「そんなこと言ったら、女らしいことができない奴等も居ますよ? クリス、リードラなんてその典型でしょう」
引き合いに出されたクリスは怒るかね? リードラは笑って終わりそうだが。
「ドラゴンと比較されても困るんだが。まあ、お前のような奴に引っ掛かってよかった。あの子のことを頼む」
苦笑いのヘルゲ院長。
「はい、承りました」
「騎士はやめさせるのか?」
ヘルゲ院長が聞く。
「俺んちにも騎士団ぐらいは要ると思っています。どの貴族も騎士団は治安の要ですから……。ラウラには団長にでもなってもらうかと思っています」
「しかし、お前の妻になる者の中ではあの子は弱い」
「何とかなると思いますよ。脇をクリスやフィナで固めればいいでしょう?」
「そうだな。王女を下にしていいのか?」
「今更です。人をまとめるならクリスよりはラウラのほうがいいでしょう」
「それはお前に任せる」
「今後、コカトリスやワイバーンで部隊を作っても面白いかもしれないですね。立体に展開できる部隊って言うのもありだと思っています? まあ、何年先になるかわからない話ですけどね」
俺が居なくなっても、ここが存続できるように。
「お前なら何とかしそうだ。儂はそのころまで生きておるかな」
何を見据えているのか、ヘルゲ院長は遠い目をしていた。
俺とヘルゲ院長は日が変わるぐらいまで飲むと飲むのをやめた。
俺は直接自分の部屋へ扉を繋ぎ、俺は洗浄魔法で綺麗にする。
下着になって布団へ入るのだった。
普通に戻ったら、絡まれそうだからなあ……。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




