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クレイ先生再び

誤字脱字の指摘、たいへん助かっております。

「クレイ疲れてないか?」

 クレイは前日の道づくりでふらつくほど魔力を使っていた。

「『クレイ先生』でしょ!」

 強がっては居るが大丈夫なのか? 

 土木系には土の精霊が圧倒的に強い。

 だから、手伝ってもらう頻度が高い。今後も畑を作る際に手伝ってもらうだろう。

 そんなことを悩んでいると、

「あなた、私に頼り過ぎだと思ってるんじゃない?」

 クレイにズバリ指摘された。

 図星の意見に驚いていると、

「私はね……いや、私たちはね。あなたに仕えるのが嫌じゃないの。あなたのために働くのは苦じゃないの」

「僕はどちらかと言うとマサヨシさんと働けたら嬉しい方ですね。精霊は何をやったって当たり前。誰かに褒められることが無い。でも、マサヨシさんのために働いたら、誉めてもらえる。魔力でお腹いっぱいにもなる。彷徨っている時には無かったこと……」

「そうなんですぅ、『やりがい?』があるんですぅ」

「ん、みんな楽しい。マサヨシが心配するほど精霊は弱くない」

 クレイ、エン、スイ、フウはニヤニヤしている。

 俺の周りを小さな精霊たちが飛び回る。

 気にするなって事らしい。


「よっしゃ! 頼ってやるさ!クレイ、この辺全域を更地にしろ!」

「それじゃやらない。私は『クレイせ・ん・せ・い』でしょ?」

 これはこれで面倒臭い。

「はいはい、『クレイせ・ん・せ・い』よろしく頼んます」

「よっしゃ、任せて! 全力でやるわ!」

 俺の真似をするクレイ。

 でも、全力? 

 クレイを中心にすごい勢いで木が抜けていく。と言うか地平線が見え始めたのはなぜ? 

 周辺に居た魔物が丸裸になって焦っていた。

 その魔物たちに精霊が群がる。

 ピキィーと言う声があちこちで上がると、色んな魔物が動かなくなっていた。

 俺は魔物を回収しておく。


「クレイせ・ん・せ・い、ちょっとこっち来い」

 褒めてくれるとばかり思っているクレイが俺の前にやってくる。

「お前、この広さを俺はどうすればいいんだ?」

 軽くゲンコツを入れた。

「いったーい。畑にするんじゃなかったの?」

 頭を抑えながら涙目のクレイ。

「お前、ノーラと話していたの聞いていなかったのか?」

「寝てた……」

「おいおい」

 頭を抱えてしまう。

 あー、またノーラに怒られるな。


「僕らはどうすればいい?」

 エンが聞いてきた。

「やる気一杯のエンやフウには申し訳ないが、出番があるのはスイだな」

 俺がスイを見ると、

「任せてぇ」

 とガッツポーズをする。

「悪いんだが、井戸を作ってもらいたいんだ」

「了解ですぅ。でもねぇ、ここで井戸を作っちゃうと、水が噴き出るわよぉ」

 水頭圧があるのか。そう言えば少々離れたところに山脈があったな。井戸を掘れば打ち抜き井戸になるわけか。

「クレイ、お前まだ余裕ある?」

「『先生』でしょ! 任せて、まだ全然よ」

「そう言ってる割に、俺の手から魔力吸ってるけどな」

「ふっふん」

 指摘されるのが嫌ならやるな……。まあ、お陰で助かってるんだけどな。

「さて、先生。それじゃお前が無駄に広げた土地のど真ん中に道を一本作ってもらえるか?」

「無駄に」にピクリと反応するクレイ。

「それなら簡単。石畳がいい?」

 残った魔力でも十分らしい。

「ああ、よろしく」

 ニコリと笑ったクレイが再び土木作業を始める。セリュックとドロアーテを結ぶ道に垂直に道が伸びる。

「出来上がり」

「さすが先生だな」

「任せて!」


「じゃあ、スイはこの辺に井戸を掘って、とりあえず一個」

「一個でいいのですかぁ?」

 スイは

「そう、今はここに住む人の分だけでいい」

「了解でーす」

 スイが何かを呟くと、そこから水が溢れ出す。

 浮き上がる水面は二十五センチぐらい? 

「ありがと、スイ」

 そう俺が言うと、スイは軽く会釈した。

 あとは……、

「先生、悪いんだけど周囲に水が溜まるようにしてくれる?」

「こんな感じ?」

 クレイはパチンと指を鳴らすと、飲料水が溜まる場所とその下に洗い場のような場所ができた。

 そんな演出要らんのだが……それはそれで良しかな。

「ありがとう。先生たちのお陰で建物を入れる準備はできた」

 そう言うと、精霊たちが戻ってきた。

 再びみんなが俺の体に取り付く。

「さあ、ノーラのところに叱られに行こう!」

 俺は扉を出して執務室に向かうのだった。

 あーいろいろ言われるんだろうなぁ……。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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