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幽閉の城

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 さて、アビゲイル様が居るカーヴってどんなところなんだろう。ヘルゲ様に聞いてみてもいいのだが実際に見たほうがいいと思う。

 百聞は一見に如かずって所かな。

「リードラ、デートしようか」

「「「「えっ?」」」」

 リビングでガールズトークに勤しんでいたメンバーが振り向いて俺を見る。

「えっ、一番がリードラじゃなかったっけ?」

「そうじゃ、(われ)が一番じゃった」

「ちょっと私用のついでになるけど手伝ってもらえれば」

「んー、ついでって言うのが気に入らんのう。まあ、本当に気に入らなければゴネればいいのじゃ」

 おっと、ゴネ宣言……気に入られるように気をつけよう。


 王都オウルの近くに扉で移動すると、リードラにはドラゴンに戻ってもらいカーブへ飛んだ。

(ぬし)よ、飛ぶのは久々じゃのう」

「そうだな、いろんな所へ移動するときはいつもリードラと一緒だったからな」

 リードラが振り返り

「で、アクセルの母親の所へ行くのか?」

 と言った。

「何?」

 焦る俺を見てリードラが笑う。

「図星のようじゃのう。テオドラが言うておった『我が主人が母親に会えるのを楽しみにしておる』とな」

 ヘルゲ様からは漏れるとは思っていなかったが、アクセル経由でテオドラから漏れるとはな。まあいいけど。

「じゃから、アクセルの母親の場所には一度行っておかないといけないのじゃろ? 。(われ)と一緒の『私用』込みのデートなぞ、それぐらいしか思い浮かばん」

「その通りでございます……申し訳ない」

「まあ、二人っきりになれるからいいのじゃがな」

 リードラは気にせず前を向き速度を上げる。


 マップを参考にカーヴに向かう。途中に村ぐらいはあるのかと思ったが何もなかった。

 逃亡防止用だろうか? 

 しばらく飛ぶと円形の壁に囲まれ四方に監視用の尖塔が立つカーヴらしき場所は見えてきた。

 中央には堀に城? 城を再利用したのか? 城の周囲に二十メートルはあろうかという外壁、そして堀に囲まれる城。入口は跳ね橋しかない大きな監獄。一度入ったら出られない、例の城のようなところなのかもしれない。

 カーヴの入口の傍に監獄関係の人が住む小さな村が付いている感じだった。村というよりは集落程度だな。

 アビゲイル様の場所をマップに表示する。

 やっぱり城の中みたいだね。

 魔法探知機と言う奴をマップに表示してみた。

 表示されたのは一個。

 外壁内の城と唯一出入りできる城門に取り付けられていた。

 出入りができるのは城門だけ。そこさえ押さえればいいということかな? 


(ぬし)よどうやってあそこに侵入するのじゃ?」

「ん? 壁をよじ登る。後は、身体能力頼みだな。実際にアビゲイル様の所へ行ってみればわかるだろう。今回は適宜対応で」

「飛び越えるなら飛び降りるのも変わらんじゃろう? (われ)から飛び降りればいい」

「えっ、ここから?」

「ああ、ここからじゃ」

 千メートルはあろうかという高空から飛び降りろということらしい。

「無理!ここから自由落下は無理だよ!落ちた音で気づかれる」

 フリークライミングは覚悟していたが、フリーフォールは無理です。

「つか死ぬだろ普通」

「そうかのう、(ぬし)ならできそうじゃが。案外大丈夫だと思うぞ?」

 急降下体勢に入るリードラ。一気に加速する。

「いや、ムリムリ、無理だからぁーーー」

 リードラに叩き落された。


 城の中庭に墜落する俺、両手で落下の方向を水平方向に変え、転がって勢いを殺す。

 庭が広くて良かったぁ。

 それでも壁にぶち当たる。

「リードラこれ、ホワイトドラゴンのローブじゃなかったらボロボロだから……」

 まあ、一気にアビゲイル様の近くに降りられたけど。やったことが無いから心臓がバクバクだ。

 心がもたんよ。

 見上げるとアビゲイル様がバルコニーに出ていた。

 目が合う。

 俺はバルコニーまで飛び、アビゲイル様の前に降りた。

「あなたはなぜここに?」

「ちょっとね。あんたは元気にやっているのか?」

「幽閉と言っても何もしていない訳ではないのです。久々に手芸などをしてみました」

 何か気付いたように、アビゲイル様はバルコニーから部屋に戻る。

「ああ、あの子にこの服を渡してもらえないでしょうか? あれから二ヶ月、もう大きくなって合わないかしら?」

 そんなことを言いながら、アビゲイル様は何着かの服を持ってきた。

「自分で渡せばいいだろ?」

「そんなことができないのは知って……まさか」

 何かに気付く……。

「あなたの誕生日が楽しみだねぇ。じゃあ、俺、リードラとのデートの途中なんで……」

 俺は扉を出すとカーヴの外、木々に囲まれた目立たない場所に出た。


 上をみていると、リードラが降りてくる。

「終わったかの?」

「ああ、『私用』終わった。さて、どこ行こうか」

(ぬし)よ行き先を考えてなかったのか」

「んー、うん。悪い。考えていない」

 本気のノープランだ。

「じゃったら、巣に行くかの」

「巣?」

「ああ、(われ)の巣じゃ。(ぬし)よ乗れ!」

 俺が、リードラに促されるまま背に乗ると、リードラは巣に向け飛んでいくのだった。

俺、扉を使えば巣まで行けるんだが……。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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