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二人飲み

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 アクセルに「母ちゃんに会わせてやる」と約束して数日後の夜、俺は院長室、つまりヘルゲ様(オヤジさん)の部屋を訪れた。

 事前に連絡しておいたので、ノックをすると、

「マサヨシか、入れ」

 と、ヘルゲ様(オヤジさん)からすぐに返事があった。

 俺は中に入ると火酒とつまみを出し応接机の上に置く。

 そして二人で飲み始めた。

「話があると言うことだが、何だ? わざわざ酒まで準備してあるのだから言いづらい事か?」

 とヘルゲ様(オヤジさん)が聞いてくる。

 さすがいい勘してる。

「いえね、アクセルとアビゲイル様を会わしてやろうかと……。非公式にですけどね」

 ヘルゲ様(オヤジさん)の手が止まり、グラスを置く。

「なぜ儂に言う? 勝手にすればいいだろうに」

「言っておいた方がいいかなと思ったわけで……。ヘルゲ様はアクセルの後見人のようなものですから」

「儂を巻き込みたかっただけだろ?まあ、儂もアクセルには情が湧いておるから、孤児院院長の儂としては会わせることは反対せんよ。ただ、バストル家の当主だったら反対しておっただろうがな」

 ヘルゲ様(オヤジさん)はグラスを煽った。

「で、実際どうやって会わす?」

「扉を使えば幽閉場所までは一瞬です。問題は俺が幽閉場所にどうやって潜り込むかというところでしょうか?」

 ヘルゲ様(オヤジさん)の空に近いグラスに火酒を注ぎながら言った。

「ふむカーヴか……。魔法検知装置があるな。魔法を検知すると警報が鳴る。まあ、お主ならどうにでもするだろ?」

「まあ、そうなんですけど……」

今回はフリークライミングかなぁ……。

「ミスラには言うので?」

「知りたいならミスラが自分で調べればいい。それがあいつの仕事だ。まあここを調べようにも、儂とお前の関係者以外がこの土地に入ればバレてしまうだろうがな」

「まあ、その通りなんですけど」

 俺も酒を煽る。

「お前の場合失敗は無さそうだが、失敗しても『儂は聞いておらん』で通すぞ?」

「それでお願いします。俺が勝手にやったって事で無視しちゃってください」


「ところで、マサヨシよ」

「はい?」

「ラウラには手を出したのか?」

「ブッ」

 軽く酒を吹き出してしまった。

「汚いぞお前」

 ヘルゲ様(オヤジさん)はハンカチで顔を拭く

 俺は洗浄魔法で周辺を綺麗にした。

「まだですが、唐突に何を?」

「いやな、クリスティーナ殿下には手を出したと聞いたもんでな」

 ニヤニヤするヘルゲ様(オヤジさん)

「さすがですね、その情報網」

「何のためにセバスチャンがお前の家にいると思う?」

「俺の手伝い……だけではないようですね」

 セバスチャンは俺の家で執事をしている。俺んちの情報なんてダダ漏れだろうな。まあ、隠すつもりもないが。

「まあ、そういう事だ。ああ、お前うちの国の国家予算並みの財産持ってるんだな」

「『ダンジョンを踏破する』って言うのはそういう事のようです。オークレーンのオッサンの財産も込みですから、下手な貴族なんて目じゃないほどお金は有るんじゃないでしょうか」

「だろうな……さて、話を戻すぞ」

 あっ、戻すんだ……。

「正直、ラウラもいい歳だ。早く手を出してやってくれ。一人寝も寂しいようだ。儂は孫の顔も見てみたいしな。それに、孫が産まれたら産まれたでいろいろ仕込まないといかん」

 何計画しているんですか? そしていろいろ仕込むって何なんですか? 

「まあ、そのうちです」

 

 その後は孤児院の状態や俺んちの開発状況などを話しながら飲み続けた。

 やはりアクセルは能力が高くなっているようで、

「儂でも一本取られそうになる」

 と、ヘルゲ様(オヤジさん)が驚いていた。

 師匠越えも近そうだな。

 お開きになる前、

「マサヨシよ、そのうち防衛戦力や警察力としての騎士団なんかも必要になってくるぞ?まあ、だいぶ先だろうがな」

 ヘルゲ様(オヤジさん)は言っていた。

 まあ、そこまで大きくなるまでにどれくらいかかるのやら……。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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