魔物襲撃
誤字脱字の指摘、大変助かっております。
エルフの都ストルマンから少し離れた場所にクリスと一緒に神馬に乗って立っていた。
巨大化して使えなくなった馬具についてはドランさんに依頼して新しいものを作ってもらっている。サイクロプスの皮を使ってあるから千切れることなどはないと太鼓判だ。
そして俺はマントを装備。ワイバーンの翼の皮を使った物で、めっちゃ軽い。下手な皮鎧より防御力は高く、簡単な魔法なら弾くそうだ。胸元に例のユニコーンのマークをつけてあった。これはクリスからの要望らしい。
他のメンバーも欲しがっていたな……。
クリス曰く。「目立ってなんぼ」らしい。
んー、別の意味でクリスは家に帰り辛いのかね? 成功した証拠が欲しいのかな?
駆け足でストルマンに向かう途中、そこには城門に群がる魔物たちが居た。見た感じ人型の魔物、コボルド、ゴブリン、オークってトコか……。
「ストルマンが襲われている」
焦ったクリスが神馬を走らせる。
「こんな事はあるのか?」
俺は追いかけるとクリスに聞いた。
「ストルマンの近くにもダンジョンがあるの。と言っても歩いて二日ほど。そこは数十年に一回暴走を起こすと言われているわ。そのせいでダンジョンの周りに街は育たず、中途半端な距離のせいで、あまりそのダンジョンに冒険者は入らない」
「だから、増えすぎた魔物を処理するため内部の魔物を外部に放出するのか?」
「わからない。でもダンジョンマスターがエルフを嫌っている。だからダンジョン内部にいる魔物を総動員でストルマンを潰そうとしていると言われているの」
恨まれるようなことって何をしたのやら……。
「だったら今はダンジョン内部は空っぽ?」
「そうね、そういうことになるけど……それよりもストルマンを襲っている魔物をまず始末しないと」
「ああ、それね。エン、スイ、フウ、クレイ頼むよ」
俺が言うと、
「久々だね、僕がんばるよ」
「出番が無かったので頑張るのですぅ」
「ん、任せて」
「仕方ないわね、やったげる」
それぞれの言葉を言いながら空へ舞った。
大きな火球が爆発し周辺の魔物たちを吹き飛ばす。
水の薄い膜が広がると、広がったエリアの魔物が真っ二つになる。
風が通ったと思うと、その幅で魔物たちが高く舞い、そして落ちる。
巨大な棒状の石が地面を転がり魔物を押しつぶす。
ちゃんと考えているようで城には影響のない範囲を考えて攻撃をしているようだ。
その分討ち漏らしもあるのだが、まあそこら辺は「俺とクリスで何とかしろ」ってとこなのだろう
「さあ、城門に取り付いている奴等をやってしまおうか」
精霊の動きに唖然とするクリスに声をかけると、俺は城門に向かって神馬を走らせる。
「そういや、走らせれば戦功が思いのままらしいな」
神馬が「ブルルッ」嘶く。
その通りってトコ?
「だったら、突撃するか?」
「ヒヒーン」と嬉しそうに神馬は嘶き、更にその速度を上げた。
お前って戦闘狂なのね。
コボルド、ゴブリン、オーク、並み居る魔物を蹴散らす。そして城門に取り付き扉を壊そうとしていた巨大なオーガに近づくと、前足一撃で蹴り殺す。
「無人の野を行くか如しってところかな?」
「ブルル」
神馬が笑ったような気がした。
「マサヨシ、ほぼ全滅なんだけど……」
クリスが城門にたどり着く。
城門の上から俺とクリスを観察する兵士たち
「クリス、あとは任せるよ」
「任せるって言われても、もうほとんど居ないじゃない」
焼き尽くされ、切り尽くされ、放り出され、押しつぶされ。周りにはもうまともに動ける魔物はほとんどいなかった。
「居ないんじゃなくて、ほとんど居ないんだろ? 『目立ってなんぼ』って言ってたじゃないか。しっかり倒してこのストルマンに恩を売っておけ」
「マサヨシはどうするの?」
「俺は、ダンジョンマスターを潰してくる。ちょっと時間がかかるかもしれないが実家に帰って親子喧嘩でもしておけばいいんじゃない?」
「まあ、残党でも討伐しておくわ、せいぜい恩を売ってマサヨシの価値を上げておいてあげる。親子喧嘩は多分してると思う」
「まあ、頑張れ」
そう言ったあと、俺はクリスの不意を突いてキスをした。
「えっ」
「こうしとかないと、勝手にクリスの縁談が決まってしまいそうでな」
「バカ!」
クリスが真っ赤になった。
「さあ、皆俺に戻ってきてくれ。後はクリスに任せる」
エン、スイ、フウ、クレイが俺に纏わりつき、そして元のメタボな体に戻る。
人族である俺が精霊を従えていることに驚いたエルフたちが騒めくのが見えた。
「じゃあ、行ってくるな」
「待ってるからね」
さあ、久々にダンジョン討伐だな。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




