近況報告
誤字脱字の指摘、大変助かっております。
アクセルがヘルゲ様の家に行って十日間。
孤児院の方も進む。
寄宿舎の補修が終わり、先に手に入れていた寝具のサイズでベッドを改造。
予定通り寝具を入れることができた。
寄宿舎内のベッドサイズが小さくなったことで、四人部屋に六人程度入れるようになったようだ。お陰で百人程度が暮らせるようになった。
まあ、職員用は個室のまま、院長用は個室を二部屋繋ぎにするなど手を加えたところもある。
六人部屋となったことで、六人を一班にする事を考えている。
編成は、成人に近い子がリーダーとなり取りまとめを行う。そして小学生で言う中学年の子が下の子を看る。下の子は自分の事をできるようにする。って形にできるといいなあ。
まあ、やってみないとわからんけどね。
男の子を取りまとめるのがタロス。女の子はテロフだな。フォローにモニカをつけておくか。まあ、冒険者三人も女性なのでフォローしてもらえばいいだろう。
男の子側のタロスの方が人員が少ないが、鉄壁のヘルゲ様が加入すれば問題ないだろう。
軍隊みたいにされなければいいが……。
寄宿舎に風呂が無かったので、ベンヤミンに依頼して急遽作ってもらった。
当然男風呂と女風呂で分けてもらう。
魔石を使ったかけ流しだ。
基礎はクレイに任せたので、意外と早くできた。
依頼するまでもなくベンヤミンによって高火力コンロも既に作られていた。火の精霊に住み着いてもらったことで王宮並みのコンロに変わる。
引越してきたエーリクがフライパンを振るう度に炎が舞う。「思うように火力が調整できます」と喜んでいた。
実際に食べさせてもらったが、さすがに美味かった。サラはシンプルな美味さ、エーリクは緻密に組合わさった美味さかな?
エーリクは空いた時間を使ってサラからいろいろ学んでいた。逆にサラも基本的なことを再度学んでいるようだ。お互いに高めあってくれるといいと思う。
砂糖の取得に関しては、シュガーアントの女王アリを隷属化し、ダンジョンの四十一階部分をアリの巣として使用。レンゲソウ畑と入り口を繋ぐことで現在鋭意群れの拡大中である。
驚いたことにシュガーアントと会話が可能になった。女王アリを隷属化したことで能力が上がったようだ。顎の稼動部を鳴らして言葉にしているのにも驚いた。卵から羽化し既に数匹の働きアリも働いている。その働きアリも簡単な会話なら可能である。
アリって成虫になるまで一ヶ月以上かからなかったっけ?
群れが大きくなって、倉庫アリが生まれるころになれば、砂糖を分けてくれるそうだ。楽しみにしておこう。
グランドキャトルはイングリッドが調達してくれた。牡一頭に雌十頭。子牛も十頭ほどである。牛舎込みだったので助かった。
気遣いがありがたい。これで乳も確保できた訳か……。
数頭から乳を絞らせてもらい。実際に飲んでみたが、まさに牛乳だった。
いけるね。
ただ、放牧地に柵がなかったので、突貫で柵をつけた。
馬車についていた四頭の馬は、「馬の扱い方がわからない」という理由で隷属化したのだが、そのせいで戦馬から神馬に進化した。
「戦場を走るだけで兵を蹴散らせる」そうである。松○?
足八本のスレイプニルのようになり、元々大きかった馬体が更に大きくなった。
クリスが「神馬なんてなかなか慣れてくれないんだから」と言っていたが、結局「あなたなら仕方ないわね」で終わってしまった。何が「仕方ない」のだろうか?
現在、神馬は放牧地でグランドキャトルと一緒に草を食んでいる。
そして今日、ラウラと共にヘルゲ様とアクセルがやって来ることになっていた。
俺はリビングで待っている。
すると、ラウラと共にヘルゲ様とアクセル。そして五人が現れた。
「マサヨシ殿。父上とアクセル。そして五人を連れて来ました」
五人?
「おう、マサヨシ。久しぶりだな。住まいの準備ができたということで来たぞ」
「今日からよろしくお願いします」
ヘルゲ様とアクセルの挨拶を受ける。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
と返したが、俺としてはヘルゲ様とアクセルの後ろにいた五人のことが気になる。
よく見ると密偵をしていた二人と執事をしていた一人。あとはメイドが二人。
どういうこと?
「で、その五人は?」
俺はヘルゲ様に聞いてみた
「この者たちは、儂がこちらにくるに当たって『付いてくる』と言った者たちだ。どうせ人手が足りんのだろう? 好きに使ってくれればいい。この者二人は儂の密偵をしていた者だ。何度か会っておるから知ってるな」
「知ってはいますが、名前は知りません」
すると
「この者はボリス。この女はヨハンナだ。知っての通り密偵だが、別の顔としてボリスは馬丁をしていた。ヨハンナは調理師だな」
ボリスと紹介された男とヨハンナと紹介された女は頭を下げた。
「密偵だった」じゃなくて「密偵だ」なんだな。
「この髭のオヤジはバストル家の元執事セバスチャンだ。わざわざ、バストル家の執事を辞めてついてきた。こいつに任せておけば、大体の家は回るぞ。お前の家と孤児院のことは任せればいい」
「セバスチャンと申します」
セバスチャンさんは紹介され、きれいなお辞儀をする。
「ラウラ様の夫になる方です。気軽に『セバスチャン』と呼び捨てになさってください」
「ヘルゲ様、俺は家の運営など素人ですからセバスチャン……さんが来てくれると助かります」
やっぱり「さん」は必要だろう。
「セバスチャンで!」
しかし、セバスチャンさんは気に入らないらしい。
「では、セバスチャンで」
俺は折れた。
「お願いします」
ニッコリと笑うセバスチャン。
「良かったなセバスチャン。婿殿は喜んでいるようだ」
「私も嬉しゅうございます」
ハンカチを出し目頭を押さえるセバスチャンさん。
なぜ泣く。
「マサヨシよセバスチャンは儂というよりもラウラに付いてきたようなものなんだ。子供の頃から世話をしてきたラウラがやっと嫁ぐと聞いて一緒に行きたいと言い出しての。お前に執事がおらんだろ? 押しかけでお前の執事になる事を勧めてみたが……。お前が受け入れてくれてよかった。ラウラの子が楽しみらしい」
「まあ、子の件はいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします」
俺は軽く流した。
セバスチャンさん気が早い……。
ヘルゲ様のプレッシャーが凄い。
「そしてこの二人が、寄宿舎でメイドをしてもらうミアとモア、見ての通り双子だ。掃除、洗濯、配膳、食器洗いなど、子供が寄宿舎に来たとしても最初は何も知るまい? そういうところを指導する者と考えてもらえばよい。『ミア』『モア』と呼び捨てでいいからな」
俺はどっちがどっちなのかわからんぞ?
ラウラからある程度の情報を聞いていたのかもしれない。ヘルゲ様は孤児院をするうえで俺に抜けている部分のフォローをしてくれたようだ。
「ヘルゲ様、ありがとうございます。やはり思い付きだけでは駄目ですね」
「お前の生活環境は儂の生活環境でもある。それを整備するのは当たり前だ。それに院長をするということは、孤児院の経営も儂がある程度しなければならん。マサヨシはまだすることもいろいろあるだろ? だから気にするな」
そう言ってヘルゲ様はニヤリと笑った。
俺はヘルゲ様とアクセル、ボリスさん、ヨハンナさんとミア、モアを連れて寄宿舎へ向かう。セバスチャンは後で使用人用建物へだな。
院長室として作った部屋にはヘルゲ様とアクセル。アクセルはそのうち孤児と一緒の部屋かな? ボリスさんとヨハンナさん、ミア、モアは個室、それぞれの部屋へ案内する。
「これならば、儂も十分活動できるだろう」
ヘルゲ様が言った。
で、ヘルゲ様その活動って……何なんですか?
基地化しないでくださいね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




