軽いメンテナンス
誤字脱字の指摘、大変助かっております。
「ノーラ、一緒に帰るか?」
「いいえ、私にはまだ仕事があります。でも、今日は切りがいい所で帰ります。皆と話もしたいですし、あなたとも話がしたいですから……」
俺んちを帰る場所だと思ってくれているようだ。少しうれしい。
「そうだな、それこそ何か手伝えそうなことがあったら言ってくれ」
「わかりました、さしあたっては有りませんが、気が付いたらお願いします」
「おう、遠慮なく言ってくれていいからな」
「はい」
ノーラは俺に軽く抱きつくと馬車に乗り屋敷に戻る。
「イングリッド、お前はどうする?」
「私は……一度王宮に戻りお父様に今回の件を報告しておきます」
「了解」
俺は扉を使いイングリッドの部屋へ移動する。
「マサヨシさん、お父様への報告のあと少々反省もしたいので今晩は帰らないかもしれません」
声のトーンが低い。失敗した事が大きいようだ。
「今回の事はあまり気にしなくてもいいぞ?」
「いいえ、下調べをしておけばあんな不愉快なことは起こりませんでした。『御用達』だから大丈夫という考えの甘さから来た部分もあると思います。それに、私はできなかったのにノーラさんにはできた。これも悔しかったのです。」
本当に悔しかったのかイングリッドは拳を握りしめていた。
「実務的な物については実際に政務を行っているノーラのほうが分があるだろ?」
「私はお父様やお兄様に頼らないと何もできないと実感したのです」
「俺は、それでいいと思うんだが……使える者を使うのは当然だと思うぞ」
違うかね?
「いいえ、それではダメです。私じゃないとできないものが必要なのです」
欲張りだと思うけどなぁ。
何か自信になることでイングリッドができそうなことか。
そういえば、
「孤児院で勉強を教える先生が欲しいんだが。勉強ができる聡明な人が居ると助かるんだけど居ないかな?」
「先生ですか? なかなか見つかりません。学校自体が少ないですから」
「俺が求める勉強の程度って言ってなかったっけ? 読み、書き、あと簡単な計算ができればいい。あとは簡単な礼儀作法ができればもっといいね。」
「それは、学校を出た者が得る知識です。私は一応できますが……」
「だから学校で得られる知識を持たせてやりたい。そうすれば働く場所で重宝するだろ? ということでイングリッドが先生をやって」
「えっ私がですか?」
意外だったのかな?
びっくりした表情のイングリッド。
「みんなの中で一番できそうな気がするんだがなぁ。読み、書き、計算。学校で習ったって言ってただろ?」
「私が一番ですか?」
「そう、礼儀作法も一通り知っているだろうし」
「私が一番」とつぶやきながら考えるイングリッド。
そして胸を張ると
「私が一番なんですね。わかりました、私にお任せください」
と言った。
おぉ、やる気がでたかな?
「じゃあ頼んだよ」
そう言うと俺は家に帰るのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




