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さっそく種をまく

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 カリーネの所から直接開拓した荒れ地に戻る。

 なんもしてないので、早くも雑草がちらほら……。

 こりゃいかん、早く種まこう。

 先に一袋取り出し種を確認する。

「……でかくね?」

 確かレンゲソウの種ってめっちゃ小さかったイメージがある。いくらマメ科の植物とはいえ大豆の倍ぐらいの大きさがあるのはどうなんだ? 直径で十倍以上? 

「マスター、この大きさで問題ありませんよ? 確か種は食べることもできたと思います」

 まっまあ、異世界だ。俺が考えている規格とは違うのかもしれない。

「ん? 食える? マメ? 豆腐? 納豆? おぉ、醤油、味噌……調味料もいけるな」

 野望が膨らむ。

「マスター、何ですかそれ?」

「ああ、俺の昔暮らしていたところの食べ物だ。上手くいったら美味い」

「おいしいものですか? マスター期待しておきますね」

 食に目覚めたアグラだった。


「俺、けっこう開墾したのかなぁ……」

 広大な荒れ地が広がる。

 どのくらいの広さがあるのだろう縦が二千メートルで横が二千メートル? 

 そのうちの四分の一ぐらいを蜜源植物の場所にする予定、そしてその四分の一をレッドヴェッチとホワイトヴェッチの種をまく予定……。

 一袋千粒、レンゲソウの百倍ぐらいの広がりを考え適当にパラパラと種をまいてみると、思ったより広く種をまくことができた。

 本来のレンゲソウの千粒なんて、ほんと手のひらにちょっとぐらいだから、種をまいてもちょっとである。


 収納カバンの能力を使い、種だけを収納カバンから出す。

 足りないんだろうなぁ……と思いながら種をまく。

 花咲じじいを思い出してしまった。

 まあ、あれは灰だが……。

「これ、思ったより時間がかかるな」

「マスター、上空から蒔けばいいじゃないですか。リードラさんの力を借りて」

「リードラがホバリングしたら。種がぶっ飛ぶぞ? 俺がイメージして飛ぶかなぁ……」

 そう言えば五輪で背中にパック背負って飛んだよな。あれもだいぶ古いなぁ……。


 俺は一度荒れ地から離れる。

 このままテストしたら、せっかくまいた種が飛ぶかもしれないし……。

 ロケッ〇マンになるなら、脇の辺りににデカいノズル二つこれをメインの推力にして、あと姿勢制御に細かいノズルのが体にある感じ……かな?

 俺はイメージし魔力を流して飛び上がる。

 姿勢を保つのが難しかったが、しばらく飛んでいると慣れてきたのか姿勢が安定するようになった。

 飛ぶというより浮いた感じかなぁ。

 二十メートルほど浮いた位置に居れば地表にもあまり影響はないようだ。

 俺は、同じ速さで進みながら、上からばらばらと種をまく。

 高さのせいか種が広がる。

 まあ、適当だからいいか。

「マスター凄いですね。マスターの職業の恩恵とはいえ空を飛ぶ魔法を自作するとは……」

「たまたま、こういうのを見た事があったからね」

 アグラに褒められてちょっと嬉しかったりもする。

 全ての種がなくなると、予定地の半分は種がまけた感じだった。

「クレイじゃないとできないんだよ。頼む、種をまいた上に薄く土をかぶせてくれ! ちょっとでいいぞ」

 クレイは下手に出るとやってくれる。

「フッ……フン、わかったわよ」

 ちょっと嬉しそうなクレイが現れる。

 あっという間に種が消えた。

「ありがとな。さすがクレイ」

「当然よ、誰だと思ってるの?」

 頭をなでてやると、嬉しそうにしながら再び俺の体に纏わりつく。

 あとは……。

「スイ、悪いんだが種をまいた範囲で軽く湿らせてくれないか?」

 俺がそう言うとスイが現れる。

「わかったのですぅ」

 と言った瞬間、赤茶けた土が湿り気を帯び少し黒くなる。

「スイもありがとな」

「このくらい簡単なんですぅ」

 俺に頭を撫でられて嬉しいのかニコニコしながら体に纏わりついた。


 空から地上に降りて荒れ地を見ると、

「ん? 芽が出てる」

 既に双葉のような芽が出ていた。

 俺の呟いた声に反応して、

「ああ、魔力が多い所には植物が育ちやすいですね。知っての通りマスターの周りには魔力が多い人や精霊が居ます。それにマスター本人から魔力がダダ洩れです。その魔力を吸収し成長したのでしょう。あとレッドヴェッチとホワイトヴェッチは乾燥地帯に育つもののようですから、水分に敏感ですぐに発芽したのかもしれませんね」

 とアグラが説明をする。

「魔力が多い所の植物は成長が早い?」

「はい、魔力を取り込んだ植物は成長が早くなります。でも、当然地の力も重要ですよ。この辺はクレイさんが居たようですから育ちがよくなる可能性があります」

「育ちがよくなる?」

「はい、この条件なら劇的に……」

「劇的に?」

 悪い予感しかしないが、種はまかれ育ち始めている。つか、話をしている間にも伸びてる。

 アスパラガス並み? 


 区画をはっきりさせたいな。

「クレイ、悪いんだが、家を中心に十字に道を作ってくれないか?」

 俺はクレイに頼んだ。

「今日は注文が多いわね……」

 機嫌が悪そうに出てくるクレイだが、

「クレイは能力が高いからなぁ。色々お願いしたくなるんだよ」

 事実、農業関連では一番である。

「そっそう。私が能力が高い……だから頼ってくれる……」

 ちょっと嬉しそうな顔になる

「そうそう、だから頼むよ」

「仕方ないわねぇ。あなただからやってあげるのよ? 確か道というと、ああ、歩くところね。ということは固いほうがいい?」

「固い方が助かるな。それと平らなほうがいい」

「幅は?」

「そうだなぁ、ここからここまでぐらい? 距離は開拓しているところまで」

 約四メートルほどの幅をクレイに見せる。

「わかったわ、ちょっと待ってて」

 クレイの体が輝き始める。

 すると、起伏に沿って道が家の四方に伸び始めた。

「ぐっ」

 クレイの顔が歪む。

 光が収まると、家を中心に直線の道が広がっていた。

「ふう、出来たわよ?」

 そう言いながらも、クレイがちょっとふらつく。意地を張っているが立つのもやっとのようだ。

「すまんね、無理させた」

 俺がクレイを抱くと、

「フッ、フン、このくらい簡単よ!」

 強がりを言うが、クレイは体重を預けてくる。

「ありがとな」

 俺が言うと、

「もう大丈夫だから……」

 そう言って恥ずかしそうにしながら俺の体に纏わりついた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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