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解放のあと

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

「で、これがオークレーン侯爵の息子どもと取り巻きで?」

「そういうことだ」

 ヘルゲ様(オヤジさん)が頷く。

「ヘルゲ様が捕まるとは思いませんでしたが?」

 ヘルゲ様(オヤジさん)はばつの悪い顔をして、

「ラウラを人質にされたからのう、仕方あるまい? マサヨシが来るだろうことも分かってたんで、時間も稼ぎたかったしな……」

 まあ、仕方ないかな。俺も遅かったし……。

「さて、こいつらどうします?」

 俺はヘルゲ様(オヤジさん)に聞く。

「そうだな、とりあえず縛り上げておくか」

 拷問部屋っぽい場所だったので、ロープも結構あった。

 何に使うのやら……縄師でも居るのかね……。

 さっさと全員を縛りあげた。

「ヘルゲ様、こいつを着替えさせてくるよ。鎧はこの近くにあるみたいだ」

 マップに表示させると少し離れた部屋に鎧の反応があった。

「ああ、その間は儂がこ奴等を見ておこう」


 俺は鎧が置いてある部屋へ向かう。

「こんな事が以前もありましたね……」

「ああ、ゴブリンの時な」

 そういや、助けた時にこのホワイトドラゴンのローブをラウラにかけたことがある。

 扉を入り、鎧の前に着くと、

「でも、このままでもいいんですよ?マサヨシ殿が私を虐めていただけるのなら……喜んで」

 そう言ってラウラが微笑む。

「私は強い者に蹂躙されるのを夢見てきました。私より強い者それは父上しか居ませんでしたから……。あっ、父上に蹂躙されたかった訳じゃありませんよ? そこは別です」

 何言ってるこいつ。何かに目覚めたのか? 

「私はあなたにだったらいいのです。」

「いやいや、急に何?」

 こいつ、その()があるのか? 

「ほら、こんなに……」

 ローブの前を開き、全てをさらすラウラ。

 その体にはうっすらと汗が浮き、部屋にあった松明に照らされる。

 ラウラが臨戦態勢じゃないか……。

 俺は勢いでラウラを押し倒すことも考えたが、ラウラの気分の高揚、発汗量増大、呼吸回数も多いのが気になった。

 変なの飲まされちゃったかなぁ。

「解毒」

 俺の手が青く光りその光が伸びてラウラを包む。

「あっ、うぅ」

 ラウラのうめき声が聞こえると、気が抜けたのか、その場で崩れ気を失った。

 当たりだったか。


 俺は、ラウラに膝枕をして頭を撫でる。

 ああ、この体で誘われたんだよなぁ、よく我慢したぞ俺。

 耐えろ息子。

「うっ、うーん」

 少しするとラウラが目を覚ました。

 ふう、何とかなった。

「おい、大丈夫か?」

「あっ、ええ、大丈夫です」

 そう言った後ラウラは俺を見ると赤くなった。

「お前、さっきのこと覚えてるの?」

「…………」

 無言で俯く。

 覚えてるんだろうなぁ。

「……って、だって、私、剣は強くても、こう言うのは苦手だから」

 鼻をすすりラウラが泣き出す。そして俺の胸に顔を埋める。

「薬を飲まされて、裸にされて『すぐに俺たちが欲しくなる』って言われたけど、その前にマサヨシ殿が助けに来て、すごく嬉しくて。」

 ラウラ本当にヤバかったんだ。反省だな……。

「終わって、二人っきりになって、もう抑えられなくなって……」

「あんなことをしてしまったと? 困ったぞ、俺も抑えるのが大変だった」

 頬をポリポリと掻きながらラウラに言った。

「いつも思っていたの、言えなかったけど……。でも、さっき言ったことは本当。本当に抱いてほしくて犯してほしくて。」

 そのカミングアウト、今は辛い。

「今はダメだ、やるとしてもここじゃない。それも考えてみろヘルゲ様に『楽しんだか?』って言われたいか?」

 俺はラウラに言う。

 ラウラは気付いたようだ。

「誤魔化したのですか?」

「ああ、誤魔化した。ラウラにそんな風に思われて嬉しくて照れた。俺はラウラを抱かない理由としてヘルゲ様を使った」

「なぜ?」

「止まらなくなりそうだったから……」

「いいのに、私なんて気にしなくても」

 俺のクロースアーマーを掴み、俺を見上げながら言う。

「違うんだ! 俺がよくない! 納得できない! まだオークレーンは終わっていない。アイナのこともマールの事もまだ終わっていないんだ!」

「すべてが終わってから?」

「ああ、納得がいったら、ラウラを俺から迎えに行く」

「はい」

 涙を拭きながら笑って俺に言った。


 鎧下を着てローズシルバーを装備しミスリルレイピアをつけ元の服装に戻る。

「さあ、ヘルゲ様の所へ戻るか」

 俺がそう言うと、ラウラは俺の腕にしがみ付き一緒に歩く。

 俺は拷問部屋を開けた。

「遅かったな、お楽しみだったのかね?」

 ニヤニヤしながらヘルゲ様(オヤジさん)が言う。

「お楽しみといえばお楽しみだったけど、何もなかったよ」

「残念だな、鋼鉄の処女のままか……」

「父上! その事はいいのです!」

「わっはっはっは」と笑うヘルゲ様(オヤジさん)と、真っ赤になるラウラ。

 仲がよろしい事で。

「さて、こいつらをどうします?」

 俺はヘルゲ様(オヤジさん)に聞く

「馬車ぐらいは有るだろう、こいつらを連れて館に戻るか……」

「証拠品も要ります?」

「あれば助かるが……」

 悪事の証拠品で表示させると光点が現れる。

「俺がちょっと取ってきましょう」

 そう言うと、

「儂も行こう」

「私も行きます」

 ヘルゲ様(オヤジさん)とラウラの二人がそう言うので、俺が先導で部屋へ向かった。


 扉に鍵がかかっていたが、強引に開ける。

「よいしょっと」

 俺がこじ開けた扉を横に置いていると。

「お前は規格外だな」

 ヤレヤレ感満載でヘルゲ様(オヤジさん)が俺に言う。

「マサヨシ殿は規格外なので少々のことで驚いてはいけません」

 諦め感満載でヘルゲ様(オヤジさん)に言うラウラ。

 まあ、クリス曰く「バケモノ」なんだから仕方ないな。

 そんなことを言っている二人を無視して先に進む。


 見た感じ何もないのだが、戸棚の奥辺りに反応があった。

 近寄ったときに何かを踏み上から何かが落下してきて当たる。

「イテッ」

 痛みを感じてリアクションする俺と

「「マサヨシ(どの)!」」

 罠にかかったと思って焦る二人。

 元々罠があっても俺なら何とかできると思って先に入ったわけで……。

「ああ、大丈夫」

 頭をさすりながら言ったが、剣が数本転がっていた。

 結構痛かったぞ。

 戸棚を引きずり出し、中身を確認すると、手紙が数通ある。

「俺にはわからないから……」

 そう言って、ヘルゲ様(オヤジさん)に手紙を渡す。

「確かに預かった。内容は後で確認する」

 ヘルゲ様(オヤジさん)が言う。

 後ろから、剣に当たったところを確認するラウラ。

「傷が無い。けっこう切れ味良さそうなのになぁ」

 と、ラウラの声が聞こえた。


 馬車を探すと意外と近くにある。

 行ってみると幌付きの荷馬車だった。

 精霊たちも館の無力化が終わったようだ。俺に纏わりついてきた。

 拷問部屋からオークレーンの息子と取り巻きたちを馬車に乗せ、俺は荷台に乗りヘルゲ様(オヤジさん)とラウラは御者台に座りバストル家に向かう。

 意外とすぐにバストル家に着いた。

 ヘルゲ様(オヤジさん)が門番と話し、すんなり中に入る。

 領兵たちが数人出てくると、オークレーンの息子と取り巻きを引きずり拷問部屋? へ連れて行った。

「これで終わりじゃないよな?」

 ヘルゲ様(オヤジさん)に聞く。

「終わらんだろうな。オークレーンの悪事の証拠は集まっておる。これを王に見せれば取りつぶしになるのではないだろうか……ただ、王は今病に伏せっておる。原因の薬は先の証拠から飲まなくなったため進行はしなくなったのだが、回復もしておらんのだ」

「病を回復させて、証拠を見せればいいのか?」

「出来るのか?」

 ヘルゲ様(オヤジさん)は驚き俺を見た。

「アイナが居るじゃないか、あいつの神聖魔法なら全回復も問題ない。ただ王宮かぁ」

 俺は言う。

「儂にどうにかしろと?」

 当然そう聞いてくるんだろうが……。

「自分で行くよ。不法侵入する。ついでに王様にアイナの顔を見せてやればいい? ヘルゲ様に渡した証拠とヘルゲ様とわかるものがあると嬉しいかな? このままじゃただの不審者なので」

「行くのはいつだ?」

「明日の夜では?」

「わかった、用意しよう」

 そう言うとヘルゲ様(オヤジさん)は館の中に入った。明日の準備を始めるのだろう。


「ラウラもオークレーンの件が終わるまでは騎士団に出ないほうがいいかもしれないな」

「いいえ、出ます」

 胸を張るラウラ。

「えっ、危険だろ? 人質になったし」

「だからこそ、平然と私が騎士団に出てくることで威圧になります。わたしはバストル家の女ですから、引けないのです」

 ニヤッと笑って俺を見るラウラ。

 眼は闘志に満ちている。

「はいはい、気をつけるように」

「はい!」

 ラウラが頷いた。


 俺は小声でフウに

「フウ、ラウラの護衛継続な。今度は、危険だと思ったら攻撃して良し」

 と言っておく。

「わかった」

 とフウは答えた。


「じゃあ、俺帰るな。アイナと話もあるし」

「私も一緒に帰ります」

 再び俺の腕に抱きつくラウラ。

 ちょっと、ボディータッチが増えたね。

 俺は扉を出すと直接俺の部屋に繋ぎ移動する。

 アグラはベッドボードで眠ったままだった。

「まさか、続きを……」

 嬉しそうな声を出しラウラが鎧を外しだすが、

「いやいや、二度寝するよ。ラウラを助けに行く前、ちょっと寝てたんだ」

「では、膝枕をさせてください。先ほどのお返しです。私の太ももでは筋肉質で痛いかもしれませんが……」

 恥ずかしそうに言うラウラだった。

 筋肉質とか言ってるが、そうでもないと思うんだがなぁ。

「じゃあ、鎧を外してくれ、そんで膝枕してくれ」

 ガチャガチャと鎧を外すと俺のベッドの枕の部分に座る。

「じゃあ、使わせてもらうぞ?」

 そう言うと俺はラウラの太ももを枕にして横になる。

 んー枕が固い……。

 ガッとお尻を揉むと、ラウラは

「キャッ」

 と可愛い声をあげた。

「急にどうしたのですか?」

「これで太ももが柔らかくなった。いい寝心地。緊張しすぎだよ」

「わざと?」

「まあ、触ってみたくもあったしね。ああ、俺が寝たら部屋を出ていっていいから。ずっと座ってたらしんどいだろ?」

「寝てからでいいので添い寝しても?」

 モジモジしながら、俺に聞くラウラ。

「勝手にしろ。俺は寝る」

「はい、勝手にします」

 俺は、眠りに誘われる。こりゃそのまま寝てしまうな……。アイナは明日か……。

 そんなことを考えながらラウラの膝枕ですぐに寝てしまった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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