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初めてのお使い?2

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 家に戻ると、マールとサラが調理場で昼食を作っているようだった。

 結構いい匂いがする。

 調理場に入るとサラとマールが俺に会釈をした。

「サラ、マール。前にも言ったがドワーフが来たからそいつらの分の昼食も頼む」

「マサヨシ様、心得ています」

 既に準備できているようだ。

 とはいえ、サラとマールに負担が大きくなりそうだな。調理師ぐらいは探さないといけないだろう。

 んー、さてどうしよう。

 奴隷を雇ってしまうと契約で強くなっちゃうしなぁ……。

 ヘルゲ様は忙しそうだし、ランヴァルドのおっさんに頼んでみようか。ついでにイングリッドの様子も見られるしな。まあ、どっちも忙しそうなら、ノーラに頼んでみよう。

「どうかしましたか?」

 マールは俺が無言で考えているのを心配してくれたようだ。

「ああ、ちょっと魔族の国に行ってくるよ。せっかく作ってくれているみたいだけど昼飯は適当に食うから」

 収納カバンから扉を出すと。

「畏まりました、今度食べてくださいね」

「マサヨシ様、いってらっしゃい」

 マールとサラに見送られイングリッドの部屋へ向かった。


 こういう時、定番ではイングリッドが着替え中って事が多いのだが誰も居ない。

 王様(オッサン)の部屋に行ってみても誰も居ない。

 廊下を歩いていると、小綺麗な服を着た初老の魔族が歩いてきたので声をかけてみた。

「すみませんが、国王かイングリッド……殿下? の居る場所を知りませんか?」

「これは婚約者殿、国王とイングリッド殿下は建物の視察に出向いております」

「えっ、俺がイングリッドの婚約者だって知っているのですか?」

「はい、王があなたを婚約者だと認めた時にその場に居ましたので」

 悪い、ぜんっぜん覚えてないや。

「えーっと、どこに行っているかはわかりますか?」

「今朝確かバストトレスクに向かったと聞いていますが、ここから歩いて一日ほど進んだ学園都市です。魔族の学校が集まる場所になります」

 廃校になった校舎でも使うのかね。

 俺のマップにバストトレスクが表示された。

「ありがとうございました。それじゃあ、バストトレスクに行ってみます」

 俺は初老の魔族から離れると王都の外へ出た。


 一人で高速移動。なんか珍しい気がする。

 現在バストトレスクに移動中。一応街道を移動。

 一人で爆走する俺を魔族が驚きながら見ていた。

 警備兵に報告とか行きそうだな。

 今朝出たって言ってたから、馬車で行ったならもう少しで着くぐらい? どっちが早いかってところだろう。

 なんて思ってたら、目の前に馬車と護衛の列が見えてきた。

 おぉ、百人ぐらいの騎士が居るぞ? 

 さすが王と王女の護衛、めっちゃ多い。

 その中に見たことのある豪華な鎧を着た男が居た。

 ウルフ(兄貴)だな。

「おーい」

 俺はウルフ(兄貴)の横につける。

「おっお前は、マサヨシ。何をしに来た」

 連れないウルフ(兄貴)

「ん? イングリッドに会いに来た。いかんか? 俺のこ・ん・や・く・しゃだぞ?」

「ぐぬぅ。イングリッドは小さいころ俺と結婚すると言っていたんだぞ!」

 おっと、こいつシスコンか? 

「いつの話だよそりゃ! 子供同士の話など時効だよ」

 言い争う声が聞こえたのか馬車の窓が開き、

「マサヨシさんの声が聞こえたと思ったら、やっぱり来てたんですね。それが皆さんの話に出ていた高速移動ですか? クリスさんやフィナさん、アイナちゃんやラウラさんまで抱っこしてもらったと聞いています」

お姫様抱っこの高速移動は女子会での話題になっていたようだ。

 そう言えばイングリッドは高速移動は経験していなかったかな? でもアイナは抱っこではなく肩車だった気がするんだが……。


 俺が来たことを、イングリッドが言ったのだろう、馬車が止まる。そして中から国王(オッサン)も出てきた。

「マサヨシ、来たのか」

「ああ、俺も無理難題を吹っ掛けたからね」

「三日で百人が住める建物を探してこいって?」

「んー、イングリッドならできそうかなと……、オッサンも兄貴も居るしね」

「まあ、そのせいでバストトレスクに行く羽目になったんだがね」

 ジト目で見てくる国王(オッサン)

「しかしオッサンが同行する必要はなかったのでは?」

 俺は国王(オッサン)の机の上の書類を思い出す。

「まさか、仕事がしたくなかったとか……」

 おっと、国王(オッサン)の目が泳ぎだしたぞ? 仕事がしたくなくて、現実逃避したな。

「いっいや、どうしてもイングリッドが一緒に行って欲しいと言っ……」

「私そんなこと言ってませんよ?」

 食い気味で否定するイングリッド。

「『儂が居たほうが手続きとかも早いだろうから』ってついてきたのはお父様じゃないですか! そのせいで、護衛もこんなに盛大になったのに……」

 悲しそうな目でイングリッドを見る国王(オッサン)

 可愛そうに娘に裏切られたか……。

 仕方ない、

「まあ、国王もイングリッドの事を考えた結果なんだろう。優しい国王じゃないか。それに、もうバストトレスクに着くんだろ?」

 と、ちょっとフォローをしておく。

「そうですね、滅多に一緒に行く事も無いですから、それを楽しむことにします」

 国王(オッサン)は感謝の目で俺を見ていた。


 バストトレスクに着くと、領主らしき男と取り巻きが馬車を迎えに出てくる。

 俺のことも何者なのか測れないのだろう。じろじろ見てきた。

「王よ、急なお出ましどうかしたのですか?」

 バストトレスクを治める貴族らしい。

「娘がのう、百人ほどが住める建物が欲しいと申してな」

「百人が住める建物ですか?」

「確か老朽化して使ってない校舎と寄宿舎があっただろう? 取り壊すと言うておった」

 予想は当たらずも遠からず。

「ああ、あれですか。もうかなり使っていますから大分くたびれていますが……」

「くたびれていてもいいのだろ?」

 国王(オッサン)は俺の方を向いて聞いてくる。

「手直しはドワーフの大工に依頼してあるから、何とでもなると思いますよ?」

「このマサヨシ……ああ、イングリッドの婚約者なんだが、この男に物件を見せてやってくれないか」

 国王(オッサン)は領主に頼む。

「えっ、ああ、わかりました。こちらへ」

 領主は俺の先を歩く。

「じゃあ、イングリッド、一緒に行こうか」

「はい」

 イングリッドは俺の腕に抱きつき歩き出した。

 国王(オッサン)はニコニコだが……んー、ウルフの目が厳しい。

 まあいっか、とりあえず物件確認だ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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