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誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 トットットット、小走りにクリスが近づいてくると、そこからスリーパーホールドをしてくる。

 びっくりしてアグラが飛び立った。

「あなた、なんでちっこい精霊がついているの?」

 とクリスに質問される。

「んー、精霊騎士って奴からもらった。正確には剥ぎ取った」

 俺は答える。

「あなた、エルフの国に行ったの? 精霊騎士なんて王都ぐらいにしかいないと思うけど……」

「ああ、昼間に行ってきた。だからリードラと行動したんだ」

「お父様に会ったの?」

 スリーパーホールドを外すと俺に聞いてくる。

「いいや、王都の中に入っただけだな。そのままさっさと帰る予定だったんだが、変な男に因縁をつけられた。それが精霊騎士だと言っていたわけだ」

「で、精霊騎士の精霊を剥いだと……。あなた、その男騎士の位が剥奪されるわよ?」

「自業自得だろ? 俺の精霊を渡せっていきなり言ってきたんだから……。エレメンタルバインドって魔法を使ってきたぞ? まあ、効きもしなかったが……」

「エレメンタルバインドが効かない精霊なのね……。どんだけ高位なの?」

「それは俺にもわからん。どんだけ高位なんだ?」

 俺は纏わりつく精霊に聞き、

「『僕は炎の精霊、精霊の種族名ではフェニックス』『私は水の精霊、精霊の種族名ではウンディーネなんですぅ』『私は地の精霊、精霊の種族名ではベヒーモス』『フウは風の精霊、精霊の種族名ではジン』って言ってる」

 とクリスに報告する。

 それを聞いてクリスが固まった。

「ほう、聞いたことのある精霊? 精霊はウンディーネとジンぐらいか? フェニックスやベヒーモスは魔物だったと思ったが……」

「人化してるからわからないだろうけど、私もエンも魔獣のようにはなれるのよ」

 クレイが俺に教えてくれた。

「何なのよその精霊たち!」

 クリスが俺に文句を言ってくるが、

「知らんよ! 俺に纏わりついていた精霊がそうだっただけで俺は精霊に詳しくないからな! いつもの『たまたま』だ」

 俺は言い返す。

「あなたの『たまたま』は面倒くさいのよ。言っとくけどあなたの精霊はやっぱり最上位よ!」

 面倒臭いと言われてしまった。

「へいへい」

 と話を流す。

「で、話を戻すけど、あの精霊……エンたちが『精霊騎士に契約書で使役されている精霊が可哀想』と言うから契約を破棄しただけ……。で、俺に結局ついてきちゃったってわけだ」

「マサヨシに遭うなんて運が無かったのね」

「運で片付けられるのも可哀想だが、まああの感じならやっぱり自業自得だろうな」


 そう言えば、

「ところで、クリスは違うって言ってたけど本来精霊って契約しないといけないのか?」

「そうね、契約で縛るというのが正しいわね。私は嫌だけど……」

「契約で縛るとどうなる?」

「あなたが一番知ってるんじゃない? 精霊はINTが高いと言われてるの。契約するということは隷属することに近い。精霊騎士は契約した精霊のINTに近づく、つまり魔法の能力が上がるということ。その精霊の属性魔法も使えるようになるから重宝される」

 本当に嫌なんだろうな……クリスの声が沈んでいる。

「ということは契約で縛る精霊騎士は精霊より弱い?」

 弱い者が強い者に勝つというのも難しそうなんだが……。

「そう、INTだけに言えることだけどね。だから対精霊に特化したエレメンタルバインドを使って捕まえる。この魔法を使えば自分よりINTが高い精霊でも捕まえられる可能性があるの。国家としては強い騎士、つまり兵力が居るほうがいいから容認されている」

「まず精霊ありきの騎士団ねぇ。潰したくなりそうだな……」

「冗談でもやめてよね。精霊と仲がいい精霊騎士も居るんだから」

「はいはい、でも今回みたいに俺に絡んできたら遠慮はしないからな」

「それは、私も諦めます」

「フウ」とクリスがため息をついた。


 俺とクリスが話している所に

「お父さん」

 とエリスが割り込んでくる。

「ん? おう、エリスか……。やっぱりエリスは俺を『お父さん』って呼ぶの?」

「うん」にっこりと笑うエリス。

「お父さん」はなかなか慣れないだろうなぁ。

「お父さん、そこに居るお姉さんたち誰? 私と同じくらいの子もいるけど」

「エリス、見えるの?」

 クリスがエリスに聞く。

 コクリと頷くエリス。

「精霊の近くで暮らしていると見えるようになることがあるらしいけど、本当だったとはね」

 クリスが驚いていた。

「まあ、最上位の精霊が近くに居るんだから可能性は高いわね」

「あれは、俺の精霊たち。あの小っちゃい子はホムラって言うんだ」

「ホムラ?」

 首を傾げるエリス。

「火の精霊だから火って意味」

 俺に近寄るホムラ。

「エリスのところに行きたいのか?」

 コクリと頷いた。

「エリス、お前の所へホムラが行きたいって言ってるけどどうする?」

「いいよ? でもホムラちゃんが私の所へ来たらどうなるの?」

「どうなるんだ?」

 俺とエリスでクリスを見た。

 そこら辺の説明はクリスのほうが詳しいだろう。

「そうねぇ、エリスが火の魔法を使えるようになる」

「私が魔法を使える?」

「そう精霊魔法。でも魔法は練習が必要よ。失敗すると怪我しちゃうからね。私と一緒に練習しましょう」

「うん」

 エリスは大きく頷いた。

「じゃあホムラ、エリスの所へ行け。そんで守ってやってくれ」

 ホムラも大きく頷く。

 エリスとホムラがニコニコしている。

 俺についた精霊のせいで、小さな精霊使いが誕生するのだった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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