表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/328

家の周りを開拓しよう2

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 家に戻りリビングに行くととりあえず全員起きていた。

「二日酔いは大丈夫か?」

 俺が声をかけると、

「もうすっきり」

「ご主人様のお陰ですね」

「マサヨシ様、ご迷惑をおかけしました」

(われ)が潰れるとはの? あのノーラと言う娘ただ者じゃない」

「また潰れちゃいました。すみません……」

 クリス、フィナ、マール、リードラ、イングリッドが口々に言う。

「いや、こうなることはわかってたから気にしなくていいぞ? ところで、皆食事は?」

「皆終わってます」

 マールが教えてくれた。

「ご主人様、その肩に居る鳥は?」

 フィナが聞いてきた。

「こいつはダンジョンコアだ。正確にはダンジョンコアの意識。ダンジョンコアが俺に隷属しただろ? そのせいでしっかりとした意識を持ったようだ。で、動けるようにって考えたらフクロウになったらしい。名はアグラと言う」

「アグラと申します、皆様よろしくお願いします」

 アグラはペコリと頭を下げた。


「えーっと、現状説明ね。木は除去しました。次に何をするかと言うと、土は地の精霊のクレイが柔らかくしてくれているので、石の撤去の手伝いをお願いします。それぞれのSTRにあわせてね。無理に大きいモノを動かさなくてもいいから、大きいのは俺やリードラに任せましょう。あっ、フィナは悪いんだけど孤児たちに食事を渡しにドロアーテに行ってもらえないかな。タロスでもテロフでも暇なやつ引っ張っていっていいから。両方でもいいぞ。俺らが行けないときに代わりに行けるようにしておいてくれ」

「ご主人様、了解です!タロスー、テロフー、どこー」

 と声をあげながらフィナは探しにいく。

「私は……私はこのようなことをやった事はありません」

 イングリッドが言う。

「王女様がやるような仕事ではないね。でも、やってみたら?」

「役に立たないかもしれませんが……」

 イングリッドは土仕事なんてしたことないんだろうなぁ。

「出来ることを手伝ってくれればいいよ」

「わかりました」

「みんな、服装は動きやすい汚れてもいい服で。イングリッドはヒューホルムで渡した服でいいんじゃないかな? じゃあ、皆着替えてきて貰える? その間に昼飯を済ますから」

 俺がそう言うと、ぞろぞろと二階の自分の部屋へ着替えに行った。


 俺の昼飯が終わり皆で外へ出ると、

「あなた、コレ……」

 クリスが指差し驚く。

 まあ、実際の状況を見て驚いたのだろう。

 今まで家の周りは鬱蒼とした森に囲まれていたが、その森が無くなり荒れ地が広がっているのだ。

「ああ、精霊と一緒に木を抜いていったんだ」

(ぬし)よ、また増えたのか?」

「ああ、炎、水、風、地と揃えてしまった」

 精霊の気配に気づいたリードラに聞かれ俺は頭をポリポリと掻く。

「えっ、またって……」

 クリスが目を細めて俺を見る。

「あっ、ホント、四大精霊揃ってるじゃない! それも、高位」

 クリスは気づいてなかったようだ。

「揃ったものは仕方ないだろ? まあお陰で作業が捗ったから良しだな」

「ホント出鱈目なんだから……」


 俺たちは作業を始める。

 俺はとりあえず大きな石からかな。

 皆に石を置く場所を指定して、最終的には石も収納カバンに入れることにした。

 暫く作業を続けているとアイナとエリスがやってくる。

「何やってる?」

「おう、アイナか? 石を取っているんだ。畑作るって言っただろ? 石があったら作業しづらいからな」

「私も手伝う」

「エリスもいい?」

 エリスも参加したいようだ

「いいぞ、汚れてもいい服でな」

「はーい」

「エリスは着替えに行った」

 再び、石拾いを始める。石を集める広場に直接投げ込んでいた。たまに「ドン」とか「ドカン」とか言うのは、リードラが規格外の石を投げ込んだ結果だろう。

 イングリッドには

「あの広場に近寄るなよ、死ぬから……別のところでいいから石を集めておいて」

 そう言っておく。

 イングリッド自身も身の危険を感じているのだろう。

 無言で頷いた。


 力のないメンバーができる仕事を作らないと怪我しそうだな。いくらアイナが居るとはいえ痛いのには変わりないだろうし。

「クレイ、お願いがあるんだが」

 俺の体の擬態に参加していたクレイが出てくる。

「なーに?」

「おう、この辺の地面を固くしてくれないか? 家を置きたいんだ」

「仕方ないわね、いいわよ、簡単」

 俺が指差した周囲が光りそして収まる。

「はい終わり、固くなったわよ?」

 そこに収納カバンからクリスの母ちゃんの家……というか館を出す。

 牧場のほうに玄関が来るようにした。

 やはり長期放置の館、痛んでるところもあるな。

 地下室の分、玄関の階段が浮いていた。これでは入れない。

 俺はとりあえず外側に洗浄魔法を使う。

「ん、見た目は綺麗になった。クレイ、ちょうど玄関の階段が地面に接するぐらいまで埋められる?」

「出来るわよ? やっていい?」

「おう、頼む」、

 館と地面が光りだすと徐々に館が地面に埋まっていく。そして玄関の階段が地面に接するところで止まった。

「クレイ、これ以上沈んだりしないよな?」

「回りは固めてあるから。地震が起こらない限り大丈夫じゃない?」

「おう、ありがとな。戻っていいぞ」

「マサヨシの魔力って美味しいのよねぇ」

 訳の分からないことを言いながらクレイは俺の体に纏わりついた。

 しかし、再び見たら結構デカいなこの館……。俺らが住んでるのより倍ぐらいある。

 扉を開けて中に入ると、クモの巣なんかが張っていて汚かった。


 館の中を眺めていると、リードラから声がかかった。

(ぬし)よ、(われ)でもこの石は出せぬ」

 近くに行くと、回りを掘られた石……じゃない、普通の岩山があった。

「これは石じゃなくて岩山だろ? 動かなくても仕方ないんじゃ……」

 すると

「ここには水脈があるのですぅ。あの岩が栓をしているみたいですぅ」

 スイの声が聞こえる。

「リードラ、動かすにしろこのままの形で引き抜かなくてもいいんだぞ?」

「なんとかできそうでな、意地になってしもうた」

 苦笑いのリードラ。

 俺は拳で岩を砕き、塊を外に出す。徐々に岩が小さくなってきた。リードラもガントレットを着けて手伝う。

「だいぶ小さくなったな」

 そう言って小さくなった岩を砕くと水が噴き出した。

「マスター、冷たい!」

 そう言ってアグラは飛んで逃げる

 俺とリードラも噴き出す水から離れ、遠巻きに見ていた。

 池でも作るか? 水場も必要だろう。

「クレイ、池を作ってくれないか? 少々深くてもいい」

「はいはい、精霊使いが荒いんだから……」

 クレイが魔力を使うと、岩があった周りの地面が大きく凹む。そこに水が溜まりだした。結構な広さだ、水が噴出している場所を中心に直径で五十メートル、深さ五メートルほど?

「スイ、この辺に繋げるような川はある?」

「マサヨシ様はこの池から水が溢れるのが心配なのですか?」

「そういうこと」

「大丈夫、放っておけば水の流れはできるですぅ。わざわざクレイに頼んで道筋を作る必要はないのですぅ。この土地の傾きなら、あの向こうにある川に繋がると思いますぅ。それに見た目よりも吹き出している量は多くはないのですぅ。とりあえず溢れ出すのを待ってみるのですぅ」

「わかった。溢れるのを待とう」

「やっぱり池の周囲を少し盛り上げておくわね。スイどの方向に溢れさせればいい?」

 クレイがスイに聞く。

「この方向ですぅ」

「じゃあその方向以外を盛り上げるわ」

 池の周囲が輝き始め、五十センチほど盛り上がる。スイが指差した部分だけ数メートルに渡って盛り上がっていなかった。

「スイ、池の底は固い方がいい?」

「クレイさん、この池は水脈と繋がりましたから染み出すほうになりますぅ。だから池の底を固くしてしまうと別のところから吹き出しますぅ。とりあえず今のままで置いておいても問題ないと思いますぅ。しっかり水を溢れさせておけば、この辺が湿地帯や沼地になることはないですぅ」

「了解よ、じゃあこのままで」

 勝手に池ができた。精霊の考えた設計だから大丈夫だろう……多分。


 既に取り出された石関係を一度収納カバンに入れる。

 石も石垣を作るときに使えそうだし……最悪、高空からの絨毯爆撃だな。

 ふと周囲を見ると大きな石ころや岩がなくなっていた。

 まだ全部って訳じゃないんだが……だいぶ土だけになってきたな……。

「おーい、マール」

「マサヨシ様何でしょう?」

「マール、クリスとアイナ、イングリッドを連れてクリスの母ちゃんの家の掃除をしてくれるか?」

「はい」

 マールはそう言うとメンバーに声をかけにいく。

 イングリッドは外仕事よりも中の掃除の方がいいだろう。


 ふと思って

「クレイ、残りの石や岩は土にできる?」

 と聞いてみた。

 クレイが出てきて言う。

「土は無理。あれは養分とかも必要になるから私にはできない。固めるのはできるけどね。石や岩を細かく砕いて砂にしてしまうのならできるわね。それでいい?」

「ん? まさか最初の状態でその砂にするのはできた?」

「無理よ、魔力が足りないわ。石や岩が少ない今だからできるの」

 内心ヒヤヒヤである。

「最初からできた」と言われたらどうしようかと思ったが、我々の努力は無駄ではなかったようだ。

「じゃあ、砂にしておいて」

 そういうと、開拓された土地全体が輝きそして元に戻った。

「これで大丈夫、少々掘っても石は出ないわよ」

「ありがとな、存分に魔力を吸ってくれ」

「やっぱり精霊使いが荒いんだから……魔力がギリギリ」

 そうダルそうに言うと俺の体に纏わりついた。

 農地っぽいのができるのに、一日というのは凄いんだろうな。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ