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お久しぶりです

誤字脱字の指摘、助かっております。

 俺は扉を出し、ダンジョンコアの元へ向かった。

「お久しぶり」

 コアしかいない部屋に入るのだが、挨拶をしてしまう俺。

 一人住まいのマンションに帰る感じ? 

「ん?」

 俺の肩に何かが乗った。

「お帰りなさいませ、主人様」

 どこのメイド喫茶だ? 

 横を向くとフクロウ? 

「お前何者?」

「何をおっしゃいます、ダンジョンコアですよ」

「お前石だっただろ? 点滅で意思表示するしかなかったし」

「石はあそこにあります。どっちかと言うと意思ですね」

 上手いことを言ったと思ったのか、フクロウが胸を張る。

 いや、ダジャレだし。

「私はあなたに隷属した後、魔力が増大するのを感じました。その後、動きたいと思ったらコアから分離しこの姿になっていたのです」

「お前カッコいいな」

 俺はフクロウを撫でながら言う。

 気持ちよさそうなフクロウ。

「そっそんなにカッコいいですか?」

 何を興奮している? 

「俺はフクロウが好きだ。『森の賢者』って言われ知的なイメージもあるし、隠密性が高いのも高評価だ」

「でっでしたら、私に名前をいただけませんか?」

 何が「でしたら」なんだろう

「名前?」

「人に隷属したのなら名前が欲しいのです。ダンジョンコアと呼ばれるのも味気ないので……」

 人間味出てるな、そのうち人型になるんじゃないのか? 

 でも妙なフラグは立てる必要はない……。

「名前かぁ」

「はい、名前です」

「うーん、『アグラ』ってのはどうだ? どこかの国でフクロウって意味だったと思う」

 どこかの国って言っても前の世界だがね。

「アグラ、アグラ、アグラ、……」

 何度も自分で名前を言い、確認するフクロウ。

「ん、いいですね。ご主人様が考えた『アグラ』いい名前だと思います」

「じゃあ、お前今日からアグラな」

「はい、ご主人様」

「んー、ご主人様かぁ……」

「『ご主人様』と呼ぶのはダメですか?」

「何かカッコ良さそうだから『マスター』って呼んでくれ」

「マスターですね、わかりました」

 趣味に振ってしまった……。


「ところでアグラ」

「はい、何でしょう」

 アグラは頭をくるりと回す。

「今、ダンジョンの四十一階から下は使ってないだろ?」

「はい、使ってませんね。魔物の発生もさせていません」

「そこにハニーアントって発生させることはできる?」

「出来ますよ? 今の魔力でなくてもあの程度の魔物ならすぐに発生させられます。ちなみに上位のシュガーアントも可能ですね」

「発生させた魔物というのは、お前が操ることはできる?」

「いいえできません」

 アグラは大きく首を左右に振る。

「魔物は勝手に動きます。マスターが倒したドラゴンゾンビは、リッチがドラゴンゾンビを操る術を持っていたから思うように動いていたのです。まあ、実際は操りきれませんでしたけどね」

 ふむ、操る術か……。

 そう言えばマールが言ってたな……。

「俺が発生したハニーアントやシュガーアントの女王を隷属させたらいうことは聞くかね?」

「それは可能だと思われます。ただ餌ですね。ハニーアントもシュガーアントも蜜を得るために動きます。花が必要となります。植物の魔物は作れますが植物そのものは作れません」

「それは俺の牧場で花を育てよう。広い花畑を作らないとな」

 ふむ、コレで砂糖の確保はできそうだ……。

「あとな、階層全部を塩の壁とかにできるかね?」

「岩塩なら可能ですね、ダンジョンの壁はレンガのような人工的な石か土や鉱石、岩などから作られるのでその範疇でないといけません」

「それは削り取ることは可能?」

「はい、削り取っても自動的に魔力で回復しますね」

 おう、無限鉱山

「ちなみに壁をミスリルの原石とかオリハルコンの原石とかヒヒイロカネの原石とかでできる?」

「かなり魔力を使いますが、マスターに引っ張られて魔力が増加していますから余裕でしょう」

「階層を岩塩、ミスリルの原石、オリハルコンの原石、ヒヒイロカネの原石でエリア分けとかは?」

「できると思いますよ。ちなみにマスター、そのエリアには魔物は出さないんですよね?」

「わかってるじゃないか、その通りだ。そこで原石を掘る」

「ダンジョンを生産拠点にすると?」

「そういうことだな。あとはハニーアントやシュガーアントが出てくる出口や鉱山の入口なんだが、俺の家の近くに繋ぐことは可能か?」

「大丈夫です、私もマスターと同じで空間を繋ぐことができます。元々フロアごとの階段も階段にはなっていますがあれも空間を繋ぐトンネルになっているんですよ?」

「意外と身近なんだな転移魔法」

「でも、本当は場所を指定するのが難しいんですよ。まあ私なら余裕ですが……」

 できるアピールをするアグラだった。


「じゃあ、俺一度家に帰るぞ。開拓しなきゃいかん。土地がないと花も植えられないしな」

「マスター、私は?」

 潤んだ目で俺を見るアグラ。

「お前、ダンジョンから出られるの?」

「まだこの部屋から出たことは有りませんが、ダンジョンマスターと一緒なのですから可能でしょう」

 妙な自信だな。

「じゃあ、俺んち行く?」

「マスター行っていいのですか?」

「いいぞ、じゃあさっさと行くか」

 俺は扉を出し家に繋ぐのだった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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