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今更自己紹介(マール、リードラ、カリーネ)

誤字脱字の指摘、助かっております。

「次は私ですね。えーっと私はマール。ダークエルフ。主にこの家のメイドとしてサラと一緒に家事を取り仕切っています。年齢は三十八歳。一応冒険者、職業はメイド。ランクはFです。でも、なぜか『?(はてな)』が付き『メイド?』になっています。私もマサヨシ様の奴隷ですね。私はオークレーン侯爵のメイドとしても働いていましたが、体を求められた際暴れて侯爵の顔に傷をつけてしまいました。そのことに激昂した侯爵に顔や目を傷つけられ指を刎ねられ、最後には奴隷商人に売られました。それから半年、一年でしょうか? 時間が経ったときメイドが必要になったマサヨシ様が売れ残りで死ぬしかなかった私をお買い上げになったのです。そして、アイナ様のフルヒールで体の全てが元に戻りました。真っ暗で何も無かった世界からマサヨシ様は救ってくれたのです。私にはもうこの体しかないのでマサヨシ様に尽くすつもりです。負けません。皆様よろしくお願いします」

 マールは結構壮絶な話を宣戦布告込みで淡々と言った。

「それでは、何か質問があれば」

 マールに視線が集中する。

「マール殿はなぜオークレーン侯爵のメイドに?」

 ラウラがマールに聞く。オークレーン侯爵の悪い噂をラウラは知っているのだろう。

「マールでいいですよ。私はダークエルフですから、あまりメイドとしては好まれません。でも、それでも雇ってくれたのがオークレーン侯爵だったのです。やっと働けると思いましたが、結果あのようなことになりました」

「そう……大変でしたね」

「いいえ、ある意味オークレーン侯爵に感謝しています。お陰でマサヨシ様に会えましたから……。現在ラウラ様のお父上、ヘルゲ様を中心としてオークレーン侯爵を潰す方向に動いていると聞きます。『私のために動いていただきありがとうございます』とお伝えいただけると助かります」

「わかりました、私の方から伝えておきます。でも、父上も喜んでいるのですよ? オークレーン侯爵と言う貴族を潰せるのですから。多分マールの事よりもそのほうが嬉しいんだと思います」

 ラウラはそう言った。

「他には?」

 マールが聞いてきたので、俺が手を上げる。

「マサヨシ様何でしょうか?」

「マールの故郷ってどこ?」

「ああ、ヒヨーナと言う街になります。エルフの国の街ですね。両親と暮らしていました」

「何で、メイドになろうと?」

「物語でメイドと主人が結ばれるというものがありました。その物語を見てあこがれてメイドを目指したのです。元々、人のために働くことは嫌いではありませんでしたから、メイドは自分に合った仕事だと思っていました。この肌の色が壁になるとは思いませんでしたけど……。私も物語が現実になるとは思っていませんでしたが、今は……現実になりそうです」

 黒い肌がちょっと赤くなるのがわかる。

「ほかに何かあれば……」

 他からは質問はなかった。


「特に何も無いようなら次は(われ)じゃな。(われ)の名はリードラ。ホーリードラゴンで、今は人化しておる。ホーリードラゴンの(われ)の姿を見てない者はおらんな?」

 おそるおそる、ラウラが手を上げた。

「ああ、お主は(われ)を見ておらんのか?」

「見てなかったと思います」

「フォランカへ行く際にマサヨシが助けたじゃろ? マサヨシが乗っておったのが(われ)じゃ」

「あっ、あのときの」

 ラウラは思い出したかな? 

「年齢は1074歳じゃ。(われ)はこの世界に転生してきたマサヨシの妻から産まれてきた。『遺伝子』と言うものが一緒らしいがよくわからん。(われ)もマサヨシの奴隷で一応冒険者、ランクはFじゃ。質問はあるかの?」

「マサヨシさんと……その……子供を作ることはできるのですか?」

母様(ははさま)が言うには『人と交わって子を作ることはできる』と言うておった。昔、人族の男に惚れたドラゴンが子を成したのを見たということじゃ。母様(ははさま)が言うには『人化したとき入れる穴もあるのだから、出てくるのも道理』らしいぞ。ちなみに(われ)は卵から生まれたようじゃな」

 その話からすると、リードラが産む俺の子供は胎生? 

「他は?」

「で、お前なんで奴隷商人の所に居たんだ? 俺を探している時に捕まったって聞いたけど」

(われ)母様(ははさま)の遺志でマサヨシを探していたのは言うたな」

「ああ、聞いた」

「探している時になんの加減か(われ)がドラゴンだということがバレてしまったようじゃ。捕まえようと考えた者がおったようで我に拘束の腕輪をつけた。拘束の腕輪というのは拘束の腕輪を着けた者の意にそぐわない事をするとステータスの低下を招く。ドラゴンに戻り何度も逆らったのじゃがな。結局捕まってしもうた。拘束の腕輪は外れたのじゃが結界に入れられてしまい、王都で(ぬし)に出会うというわけじゃ」

「そういうことだったんだな」

「まあ、マールじゃないが、(われ)もお陰で(ぬし)に会えた。運命とは面白いのう」


「じゃあ、私、カリーネ。ここに居るエリスの母親。二十五歳。ゼファードの冒険者ギルドでギルドマスターをしています。マサヨシに会ったきっかけはエリスがトラブルに遭っていたところをマサヨシに助けてもらったところから……そのままエリスが懐いちゃってね。この子が懐く男の人ならって一緒になっちゃった。まあ、マサヨシも一緒に居ていいって言うしいいかなって思って現在に至ります。一緒になってくれるとは言ってるけど、まだ告白はされていません。ちょっとフィナちゃんが羨ましいです」

 カリーネがチラリと俺を見る。

「マサヨシさんはエリスのお父さんになってくれます!」

 エリスが乱入。

「能力的にはわかりませんが、皆のお姉さん的立場になれればと思います」

「姐さんだろ」

 ボソリと俺が言う。

「お・ね・え・さんでしょ?」

「はいはい、お姉さん、お姉さん」

「唯一の出産経験者ですから、私こそそうなりたいけど、できちゃったら相談してくださいね。それじゃ何か質問ある?」

「聞いていいのかはわからないんだけど、エリスちゃんの父親って誰?」

 クリスが聞いた。

「わからない、『多分あの人だ』とは思う人はいるけど死んじゃったから。本当は『責任取ってよ!』って言いたかったけどね。私も冒険者だった……一応ランクはAだったのよ? それをやめて事務方に降りて頑張ってたら、知らない間にギルドマスターになっちゃってた。まあお陰でマサヨシのフォローができるからいい感じかな」

 カリーネがニコリと笑って言った。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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