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今更自己紹介(俺、クリス、フィナ、アイナ)

誤字脱字の指摘、助かっております。

カリーネも戻ってきたので、全員で食事にする。

マールとサラが準備してくれたものだ。

「えっ、こんな高級なものが」

と驚くノーラの声が響く。

「でしょう? 凄いのよここの食事。滅多に手に入らないものがあったりするの」

それに同意するイングリッド。

更にラウラがウンウンと頷いていた。

他のメンバーは当たり前なのであまり騒がないようだ……。と思ってたけどフィナは頷く。

ノーラは俺の家での初めての食事に満足したようだった。

「これが普通です」

とマールが当たり前のように言う。

「これでは、王城の食事と変わりません。やはりあなたは凄いのですね」

ノーラが言うと、

「!」

イングリッド以外の者がノーラを見た。

「マサヨシさんは魔族の王、ランヴァルド様の前で私の後見人になる事と、後に私の夫になる事を宣言しております。ですから、私がマサヨシさんの事を『あなた』と呼ぶのは問題ないかと」

宣言したんじゃなくて、宣言させられたのが正解だが……。


「まあ、食事も終わったから、当初の目的である自己紹介をしないかい?」

俺が話を変える。

「まず誰からするのよ?」

クリスが言った。

「まず俺から、そんでクリス、フィナ、アイナ、マール、リードラ、カリーネ、イングリッド、ラウラ、ノーラの順で行こう。って事で、俺の自己紹介な……」

俺の事情を知らないイングリッド、ラウラ、ノーラは俺を見る。

「えーっと、今更だけど名前はマサヨシ、俺この世界の人間じゃないんだ。別の世界から来た。あっ、こっち来る前は四十五歳な。えー若返りました。現在二十二歳。冒険者で創魔師……あっ創魔師ってのはイメージした魔法を創れるって事らしい。ステータスは全部EX。まあ、クリス曰く『バケモノ』という事らしい。そんな感じ……。一応魔法書士の資格も持ってる。契約書を作ったところはイングリッドも見たな」

イングリッドが頷く。

「質問は?」

ノーラが手を上げる。

「ノーラ、何?」

「あなたは外の世界から来たと?」

「そういう事になるな。子供を助けて死んだかなと思ったら、この世界に来ていた」

「元の世界でも優しかったのですね」

ノーラは嬉しそうに言った。

「マサヨシさんの知識は、前の世界の知識ということでいいのでしょうか?」

イングリッドが驚く。

「そうだね、俺の居た世界は小さなころから勉強するのが当たり前なんだ。一応大学に行っているしな。少々の知識を持っている」

「大学にですか? この世界ではほんの一部の人間しか行けないようなところです」

「イングリッド、俺が言った大学って言うのはこの世界の大学とは違うと思う。結構な人数がいけるんだ。でも知識は色々仕入れたよ」

ラウラは手を上げると

「マサヨシ殿は本当に四十五歳だったのですか?」

と聞いてきた。

「そこは信用してもらうしかないんだが……」

「四十五歳と言えば、父上より年上だったことになります」

えっ、そうなの? 

「ちなみに、ヘルゲ様の年齢は?」

「四十三歳ですね」

うっ、俺の方が年上だ……。

「あっ、お父様も四十四よ?」

発言するイングリッド。

「うちは四十歳でした。だから、マサヨシさんにはお父様のような雰囲気があるのですね」

ノーラが答えた。

「人の平均的な寿命ってどのくらい?」

俺が聞くと、

「大体六十歳ぐらいじゃないかしら。王侯貴族とかならもう少し長くなる。逆に農村では短くなると思う」

カリーネが答えてくれた。

「みんな、何かある?」

「ステータスが全てEXということですが、想像がつきません」

ラウラが再び聞く。

「ちなみにラウラのAGIってどのくらい?」

「確か、Aだったと思います」

「だったら、消えて見えるんじゃないかな?」

俺はAGIをフル活用してラウラの後ろに立つ。

「ほら、こんな風に」

ラウラ的には一瞬で俺が後ろに立ったように見えたんじゃないだろうか……。

「俺、ダンジョンのラスボスのドラゴンを単独で倒してるから……多分強いんだと思う。自覚は無いんだけどね。まあ『バケモノ』なのは本当らしい。他に何か無い?」

特に無いようだった。


俺がチラリとクリスを見ると。

「次は私ね、私の名前はクリスティーナ・オーベリソン。エルフの国の王女。親に黙って家出したの。でも捕まって奴隷にされてたところをマサヨシに助けてもらった。今はマサヨシの奴隷。一応冒険者。レンジャーやってます。ランクはB。ステータスはへたなS級冒険者よりは高いわね。年齢は四十五歳。こっちに来る前のマサヨシと一緒。他に質問は?」

「クリス、あなた、王女だったのね。そういえば何年か前エルフの国から捜索依頼が出てたと思ったけど。クリスだったの?」

カリーネが言った。

「ああ、置き手紙だけで家出したからそうかもしれない」

まあ、王女が失踪したら普通は探すだろうな。

「クリスさんは、マサヨシさんの奴隷? まさか、あんな事やこんな事を……」

イングリッドが妄想込みで言う。

「あっ、クリスでいいわよ。一応私、性奴隷として売られる予定だったから、色々なテクニックは教わってるわよ? でも結局使ってないわね。マサヨシは私に手を出さないの。元妻の事も終わったのにまだ手を出さない? マサヨシからは『奴隷らしくしなくていい、私らしくしていればいい』って言われる。まあ、縛りなんて特に無いので、自由にやってるんだけどね」

クリスが答えた。

「元妻?」

ラウラが反応する。

「ああ、俺の元妻もこの世界に飛ばされていたんだ。ちなみにリードラの母親。ドラゴンとして転生していた。俺がここに来たのは、そのドラゴンに転生した元妻の呪いだった。寿命で死んでしまったんだけど、ゼファードのダンジョンマスターに亡骸を操られ、ダンジョンのラスボスにされたんだ。」

「そっそうなんですか。でそのダンジョンは?」

「攻略したぞ。その際に元妻のドラゴンの亡骸も消え魂も天に昇った。まあ、だから元妻の縛りは無くなった」

「では、なぜ手を出さないのですか?」

ラウラが前のめりで聞いてくる。皆も興味津々のようだ。

「そうだな、結婚しても余計な心配が無いようにしておきたいからかな? だから、障害になるものをできるだけ除去しておきたい。まあ、お陰でノーラが付いてきたわけだが……」

「お陰と言うのは、良い方ですか悪い方ですか?」

ノーラが気になるようだ。

「そっそれは、当然良い方だよ」

俺は急な突込みに焦って詰まってしまった。

「そこは、サラっと言って欲しいものです」

「ツン」と言う感じで怒るノーラ。

「申し訳ない、そこを言われるとは思ってなかったから焦ったんだ」

「でしたらいいですけど……」

ノーラの追求が厳しいな。

「まあ、あと気になってるのは、クリスの事かなぁ。結局後回しになっている。申し訳ないとは思っているんだ」

「べっ、別にいいわよ。一緒になってくれるのは分かってるんだから」

そうは言ってもちょっと嬉しそうなクリス。

「飲む度に『私はどうなるのよぉ』と言うとったのは誰じゃったかな?」

ニヤニヤしながらリードラは言った。

「ばっバカ。今言わなくてもいいでしょ?」

クリスは顔を赤くする。

何にしろ、クリスのことも考えておかないとな。

「他には?」

クリスが聞いたが特にはないようだ。


「次は私ですね。私はフィナ。獣人の貧しい村の出身で、飢饉の時に村を食べさせるために売られました。その後、主人に恵まれず、獣人の能力を活かして奴隷市で辻試合をしていました。結構強かったんですよ。でもご主人様に負けて、奴隷として所有されることになりました。クリスさんと一緒です。なにも縛りを受けてません。一応冒険者ランクはC。獣剣士やってます。今朝、故郷に行ったとき『一緒にいてくれ』って告白されました。以後は、『ご主人様』で通します。以上!」

『ご主人様』にこだわるフィナ。

「えっ、フィナ、マサヨシに告白してもらったの?」

クリスが聞いてきた。

「はい、『俺の妻になってくれ』って言われました。あの咲き誇る草原で……子供の頃憧れていた通りに……。きゃっ」

恥ずかしそうにするフィナに周りの目が厳しい。

「マサヨシ、私は?」

と聞いてくるアイナに、

「今んところ無いかな」

と、返した。

機嫌が悪くなるアイナ。

「だってそうだろう? 取って付けたように、今、告白して欲しいか? 何かがあって、良い感じの時に言って欲しくないか?」

「うっそれは……」

アイナ何も返せないようだ。

「いい感じかな? って思ったら、ちゃんと言うから……」

「ん、わかった。待ってる」

アイナが納得したようだった。

「ちゃんとするから、みんな待ってるように」

そう言うと、皆頷いた。


「ん、次は私。アイナ。アイナはマサヨシがつけてくれた名前。それ以前は、路上生活していた。名前もなかった。ドランさんの炉の温もりで寝た。食べ物もなかった。マサヨシが串肉をくれた、風呂に入れてくれた。体を洗ってくれた。気持ちよかった。年齢は九歳になった。一応冒険者。Cランク。職業は姫と聖女。神聖魔法に特化。私はマサヨシの奴隷。マサヨシと出会う前から誰かの奴隷だったみたいだけど、マサヨシが上書きした。えっと、私はマティアス・オースプリングの娘らしい……以上。」

「マサヨシさんは幼い子に興味が?」

ラウラが聞いてくる。

驚くところはそこか? 

「いいや無いよ。アイナは俺の娘みたいな感じかな。こう言うと、アイナが怒るが……」

言ったそばから、アイナが口を膨らませて怒っていた。

「だったらいいのです」

ラウラは納得したようだった。

しかしアイナは

「みんなズルい。私はマサヨシが好き。だけど年齢のせいで、私を女と見ない。悔しい」

と言う。

「俺は育っていくアイナが見たい。最近はブレスによる祝福も使えるようになった。『次は何ができるようになるんだろう? 』って、いつも思ってるんだ。急いで大人にならなくてもいいと思うぞ。よく考えろ? 十年後はお前が一番若さがアピールできる。当たり前だが、お前が一番若いんだからな。

「若さが武器……」

「アイナ、そういうことだ」

ボソリと言うアイナに同意する俺。

年齢のことを言うとカリーネの目がギラリと光る。

早く流せ……俺。

「わかった、我慢する」

アイナが納得した。これで、年齢ネタはないだろう。

「マティアス・オースプリングとは、人族の王ですよね。アイナさんは、その王様の第一王女となるのでしょうか?」

ノーラが聞いてきた。

「詳細は知らないんだ。ただ、継承権とか絡んできたら面倒そうだね。欲に駆られた貴族たちがやって来るかもしれない。俺としては、アイナが王女だということを表に出すつもりはないんだ。そこはヘルゲ様次第かな。ところで、アイナは俺と一緒に居るんだろ?」

「うん」と大きく頷くアイナ。

「アイナがそういうんなら、俺は王家から呼ばれても手放さない。何とかするさ。まあ、俺もアイナと一緒に生活する気だから、どっちにしろ俺んちで一緒に暮らし続けることは確定だ」

「わかりました。私はアイナさんを守る方向で動けばいいと考えておけば……」

イングリッドが言う。

「そういうことだ。アイナだけでなく他の誰かを守らなきゃいけなくなったら、皆協力してくれよな」

全員が頷いた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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