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「抜け駆け」

 家に帰るなりアイナに言われた。

「フィナが抜け駆け」

ちょっと怒ってるな。

「アイナは、ノーラのところで俺の布団に入って抱きついてなかったか?」

「あれは、イングリッドが居たからいいの」

「でも、三人とも別の部屋で寝ていたはずなのに、なんで抱きついてる?」

「…………」

 アイナが黙り込んだ。

「今回は俺が誘ったんだよ、フィナの元気がなかったからな」

「私の元気が無かったら、誘ってくれる?」

「そう思ったら誘うよ。今は大丈夫だろ?」

「わかった」

 アイナが引いてくれた。

「アイナ、フィナみんなを集めてくれる?」

「はい、ご主人様」

 フィナが二階へ上がる。

「呼び方が変わってる」

 アイナの鋭い指摘。

「まあ、いろいろあってな」

「仕方ない、マサヨシだから……」

 俺だからが理由になるのか……。

 アイナは調理場のほうへ向かった。


 リビングに仕事に行ってるカリーネ以外がそろった。

「えーっと、報告があります。この館の周りを開拓することにしました」

「開拓してどうするの?」

 クリスが聞いてくる。

「えーっと、孤児院を作ります。そして、職業訓練用の施設を作って孤児に仕事を覚えさせます。食べ物を得るためには働かなきゃいけないからな」

「なんで?」

「今日たまたまドロアーテに行ったとき、やっぱり孤児が居るんだよ。だから、助けてやりたくてな」

「意見のある人はいる?」

 俺が見まわすと、

「マサヨシ殿、職業訓練するとして先生はどうするのです?」

 ラウラが聞いてくる。

「ドランさんとメルさんっていう鍛冶職人の夫婦がここに来る予定。ドランさんには鍛冶、メルさんには販売を教えてもらう。あとは追々だな」

 酒好きのベンヤミンというドワーフも酒で釣れば来そうな気がする。

「あとはコカトリスの卵の販売……これは今やってることだ。グランドキャトルの放牧……これは、この牧場がグランドキャトルの放牧を目的にしたものだから可能だろう。欲を言えばマジックワームを探して人工飼育して糸を取りたいな。それを布にできたら……。小麦の生産もしたい」

「マサヨシ様、一度止まってください!」

 マールが俺に声をかける。

「ああ、すまない」

 俺の妄想が暴走していた。


「そういえば家畜の乳って飲まないの?」

「家畜の乳をですか?家畜は食べるものではないのですか?」

 イングリッドが俺に言った。

 ああ、根本から違う。

「どこかの地方では、ランドゴートの乳を飲むと聞いたことがあります。しかし、この辺では聞いたことがないですね」

「そうか、でもその乳を使えば、すっげー美味しいお菓子ができるんだが……」

「えっ、マサヨシさんがおいしいというお菓子……。どの家畜から得た乳がいいんでしょうか?」

 イングリッドが前のめりだ……。

 ん?皆も聞き耳を立てる。

「グランドキャトルでいいんじゃないかな?」

 多分牛だろう。

「マサヨシさん、私が責任をもってグランドキャトルを確保します」

「ああ、強い雄一匹に他はメスで頼むよ」

「これは頑張らないと、お菓子は大切です」

 おいおい、皆頷いてるし。お菓子効果絶大。

「この世界の砂糖ってどうやって作ってるんだ?」

「マサヨシ様、砂糖は南方の植物から作られると聞いています」

 マールが言った。

 南方と言う事はサトウキビだな。この辺の気候からしてサトウキビは育たない。だったらテンサイか……。

「家畜用の大根はない?」

「そのようなものは聞いたことが無いですね」

 テンサイは無いか……

「砂糖が欲しいな。砂糖の成分が多い植物を見つけて栽培、成分を抽出して煮込めば砂糖ができるかもしれない」

「マサヨシさん、何でそんなにいろいろな知識を持っているのですか?」

 再びイングリッドが聞いてきた。

「全員そろったときに言うよ、ノーラの件もある」

 俺がそういった後、空気が変わる。


「ノーラの件?」

 マールが聞いてきた。

 あっ、言ってなかった。

「ああ、妻候補が一人増える。ノーラ・ノルデン侯爵。魔族だ」

「今度は侯爵?」

 クリスが驚いている。

「お前だって王女だろ?」

「えっ」っという顔で、見るメンバーが数名。

 意外と知られていないのな。

「忘れているのか言っていないのかはわからんが、クリスはクリスティーナ・オーベリソン、エルフの国の家出王女様だぞ?」

「『家出』は余計よ!」

「あっ、ちなみに、アイナは人の国の王様の落とし種だからよろしく。他人には言わないように」

「!」イングリッド以外の者がアイナを見る。

 なぜか胸を張るアイナ。

(ぬし)よ凄いな、後はドワーフの国の王女か?」

 リードラが余計なことを言う。

 言っちゃダメだろ! フラグが立つ。

「今のところそのドワーフの王女との接点も予定もない。まあそういうわけで、ノーラ・ノルデン侯爵が仲間に入ります」

「まあ、マサヨシだから」

「マサヨシ様ですからね」

「マサヨシ殿ですから」

 やっぱり俺が理由になるのね……。

 クリスとマール、ラウラが言った後

「ご主人様ですから……」

 フィナが言う。

「?」アイナ以外がフィナを見る。

「私は『ご主人様』と呼ぶようにしたのです」

 程々の胸を張るフィナ。

「羨ましい……」

 マールがぼそりと呟く。

「何があったのよ」

 クリスが聞いてくる。

「いろいろ……だな」

「ふーん、まあいいけど」

 意外とすんなり流された……。


「皆の情報が共有されていない。一回、全員集合で自己紹介する必要があるな」

「そうね。知らない子が知らない間に増えているから」

 おっと、クリスの嫌味。

 周りからのすごい威圧。

「カリーネが帰ってきたら、ノーラを呼んできて一度皆で自己紹介するか?」

 皆が頷く。

「じゃあ、その辺の話をカリーネとしてくるよ」

 俺は扉を出しゼファードの冒険者ギルドへ向かう……要は逃げたのだった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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