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酔っ払いたち

誤字脱字の指摘、ありがとうございます。

 仕事を終えたカリーネと共に家に帰ると、んー、すでに出来上がっている者が六人……。王女様、女騎士、クリス、リードラ、フィナ、マール。

 女騎士は潰れていた。

「おっかえりなさーい!」

 俺に飛びついてくる王女様。

 外交上あまりよろしくないと思う。

 うわっ、酒臭い。

「誰だ、王女様に酒を飲ませたのは!」

 チラチラと誰かを見る。視線をたどると……クリスが居た。

「ご主人様、クリスさんが火酒を隠し持っていました」

「そうじゃ、クリスが火酒を出してきたのじゃ」

「私は止めたのです、でも、飲んでしまったのです」

 マールとリードラに告げ口されるクリス。

 んー、それはクリスのせいじゃないぞ、フィナ。

「何言ってるのよ! 皆だって、美味しいって飲んでたじゃない。王女様に出したのだって火酒を果実水で割った薄い奴でしょ? 美味しいから飲めって皆言ってたじゃない!」

 クリス反撃。

 そこにアイナ登場。

「要は酒を飲んだ人が皆悪い。誰か一人が悪いんじゃなくて、結局全員が悪い」

 威圧使ってないのに威圧感がある一言。正論だからな。

 全員がしゅんとなった。


「まあまあ、飲みたいなら飲めばいいじゃない。ただし私も入れてよね。子供が居るんだから騒ぐのはダメ……わかった?」

 カリーネの一言に沈んだ雰囲気が盛り上がる。

「アイナもエリスも居るんだ……程々にな」

 皆に注意を促した。

 マールの方へ行き小声で声をかける。

「王女様と女騎士のベッドはどうなっている?」

「ベッドメイクは終わっていますから、いつでも使えます」

「水とかも置いてあるの?」

「大丈夫です、水差しとコップは準備しています」

「ありがとな」

 俺はマールの頭を撫でた。


 潰れてソファーで横になっている女騎士を抱き上げる。

 まだ夕方なんだがなぁ。

 そして、マールが準備してくれた部屋へ連れていった。ドアを開け、魔光燈を灯しベッドに女騎士を寝かす。上から布団をかけた。

 魔光燈を消し部屋から出ていこうとしたとき、

「私には魅力がないんだろうか?」

「バカ、魅力があるからさっさと出ていくんだよ。寝込みを襲うようなことはしたくないしね」

 そう言って扉を閉め、廊下に出た。


 ソファーで、皆わいわいやっている。

 マールに追加の火酒を渡した。

 カリーネに近寄ると

「王女様のことは頼む」

 と、一言言っておく。

「わかったわ」

 カリーネは頷いた。

 次はリードラかな? 

「リードラ、後始末を任すかもしれんが……」

「いつものことじゃ。ただ、今日は甘えてよいのじゃろ? 夜に行くからの、覚悟しておくのじゃ」

 そういやそんなことも言ってたなぁ。つか、覚悟って何? 

 俺は飲み会から離れると、風呂へ向かった。


 んーいいお風呂。

 昨日は風呂入ってなかったよなぁ。

 しみるぅ……。

 何てったって、風呂に誰も居ないってサイコー! 

 って振り返ると、手を腰に当て服を着たアイナさんが居た。

「甘えてない」

 ちょっと怒ってる? 

「甘えてないね。で、どうする?」

「甘えて、物を貰う」

「物?」

「エイジングの薬」

「何で?」

「ボンキュッボンになりたいから」

 身振り手振りで説明するアイナ。

「あれもなかなか難しいぞ? 大人になったからって、体形がアイナの思う通りになるとは限らないからな」

「わたしみたいなちびっ子だと、マサヨシは反応しない」

「アイナのような子供に欲情したら、問題だろ?」

「だから、外見だけでも大きくなりたい」

「外見だけ大人で中身は子供……そんな奴も居るが……。俺はアイナが八歳なのは知ってるから、逆に困るぞ? 悩みつかれそうだ」

「それでも相手にしてほしいの! 悔しい! 私だってマサヨシが好きなのに! フィナは違うけど、他の皆はボンキュッボン。新しく来るかもしれない女騎士だって王女様だってボンキュッボン」

「それはフィナに失礼だぞ……。あいつも今成長期だ。種族的特徴かもしれないし……」

 アイナを見ると……ん? ちょっと赤い。

 俺は風呂から出て、顔をアイナに近づける。

 アイナが勘違いして目を瞑るが、俺は呼気の匂いを嗅いだ。

 アルコール臭がする。

「アイナ、飲んだだろ……」

「だって、皆あんなに美味しそうに飲んでるし。飲むとマサヨシに甘えられそうだし。大人はズルい」

「だから、わざわざズルい大人になるのか?」

「だって、悔しいんだもん! 私も夜中までみんなと一緒に居たいのに、マサヨシと一緒に……いた……」

 あっ、寝た……。


 俺は、服を着ると、アイナを抱き部屋に行く。魔光燈を点け部屋の中には火酒の瓶が一本転がっていた。

 残っていたのをちょろまかしていたのかな? 自分にキュアーをかければ二日酔いなど何ともなくなるのに。忘れるほど飲んだようだ。

 おっと、エリスも居る。こっちは寝ちゃってるな。

 俺は、ベッドにアイナとエリスを寝かせると回復魔法をかける。アイナのキュアーに似せアルコールの分解をイメージしたもの。アイナが居なくても二日酔いから回復できるようにと考えていたものである。

 子供が二日酔いの辛さを知る必要も無いだろうしなあ。ん? 体感させていたほうがいいかな? そこは甘いってことで……。

 魔法をかけ終わると魔光燈を消し部屋の外に出る。

 さあ、もう一度風呂に入って飯にするかな。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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