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途中経過

誤字脱字の指摘、ありがとうございます。

 ゼファード冒険者ギルド、カリーネの部屋に直接行く。

 相変わらず書類に埋もれているな。

 仕事をしているカリーネ、絵になるねぇ。

「コンコン」扉のドアを叩くと、

「はっ」と俺のほうを見るカリーネ。

「お邪魔するよ」

「あーびっくりした、事前の連絡が欲しいけど、あなたの場合はそうはいかないのよね」

「申し訳ない」

 俺は頭を下げる。


 カリーネは立ち上がると、俺の方へ近づいてきた。

「立ち話も何だから、ソファーにでも座って」

 導かれるまま俺は二人掛けソファーに座る。

 そしてカリーネはその横に座った。

「で、どうしたの?」

「カリーネの依頼の経過報告……。とりあえずゴブリンは討伐完了」

「さすがね、早い」

「あとは王女様を魔族側の王都へ連れていくだけになったけど……ゴブリンたちに人側の護衛も魔族側の護衛も殺されちゃってね、鋼鉄の処女しか残ってない。あと、王女様は命を狙われているみたいだ。それで、魔族側の王都への護衛だけじゃなく、王に会うまでの護衛も頼まれた」

「そうなの? 凄いじゃない」

「本音は面倒だからやりたくないんだけど……」

「でも、やるんでしょ?」

「クリスにもリードラにも言われたからねぇ。『たまたまでしょ? 』って」

「まあ、『たまたま』娘を助けてもらった私も二人に同意するかな?」

「だろうね。そういうわけで、王女様の護衛をします」

「ギルドマスターとして了解しました。パートナーとしては、気を付けてね」

「わかったよ」


 ふわりと俺の頭に手が回り倒されてしまった。丁度カリーネの太ももの上、枕代わりに丁度いい。

「疲れてない?」

「大丈夫だとは思う」

「だったら、耳掃除しようか?」

「どんな繋がりが?」

「私がしたいんだからいいじゃない」

 カリーネはそう言うと耳掃除の道具を出す。見た感じ綿帽子が付いていない耳かき。前の世界のとあまり変わりがない。

 道具が耳に入ると、チョコチョコと耳の中を漁る。それが心地よく眠りに誘われ、知らない間に寝てしまっていた。


 ふと目が覚める。周りが暗くなっていた。

「お目覚め?」

 カリーネの耳がピクリと動く。柔らかな尻尾が俺の上に乗っていた。

 毛布代わりかな? 

「目が覚めた」

 カリーネも胸がデカいんだよな、顔が見えない。

「あなたが気付かない間に疲れが溜まっていたのね。よく寝てたわよ?」

 俺の顔を覗き込むと、ニコリと笑って話しかけてきた。

「悪い、足痛くないか?」

「大丈夫よ、エリスで慣れてるから」

「それでも結構長い間寝てただろ?」

「いいのよ、好きな人が安心して寝てくれる。それだけで嬉しいの」

「ありがとな」

「だから……ね」

「ね?」

 カリーネが俺にのしかかってきた。

 おっと胸が俺に当たる。

「もう、鍵は閉めてある。二人っきりになるなんて珍しいでしょ?」

「『今しないとどうするの』ってこと?」

「そう、家に帰ってもなかなか二人っきりなんてないじゃない」

「そりゃそうだが、ダメだよ。抜け駆けって言われるぞ?」

「私の特権、私だけの部屋が二つある。家にも仕事場にも……」

「それでもダメかな? 抱きしめるだけじゃだめか?」

「まあ、今日はそれで我慢しておくわ」

 俺はカリーネを抱きしめると軽くキスをした。

「もっとしてもいいのに、しないのよね」

「したら最後までしそうだからしない」

「堅いわね」

「美人に慣れてないだけだよ」


「強い者が美女を侍らす。基本でしょ?」

「その感覚が無い。元々強かったわけじゃないからね」

「でも、今は強いでしょ?恩とかそういうのじゃなく好きだから。知ってるでしょ? 一夫多妻なんて当たり前。あなたが私たちを大切にしてくれているのを知ってるからクリスに手を出そうがリードラに手を出そうが何も言わない。だから遠慮しなくてもいいの」

「んー、俺は前の世界で一夫一妻だったからその感覚にまだ慣れていないんだ。クリスのことも、フィナのことも、マールのことも、問題を潰していって一夫多妻に納得したいんだ。だから、時間をもう少し欲しい」

「仕方ないわね。問題の中に出てこなかった私には納得できてるの?」

「カリーネを妻にするのは俺の中で確定、というか奴隷たちも確定だね。ただ、踏ん切りだけ」

「あまり長い間待たせたら私襲うわよ? 一応獣人ですからね」

「期待して待ってるよ」

 カリーネが少し力を入れて抱きつく。

 俺はカリーネの髪を撫でていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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