とりあえず風呂
誤字脱字の指摘、大変助かります。
「改めて、いらっしゃいませ、わが家へ」
俺は大げさに、王女様と女騎士に対して挨拶をした。
「これが、マサヨシ殿の家」
女騎士が聞いてくる。
「そう、俺んち」
「マサヨシさんお帰り」
エリスが割り込んできた。
「おう、エリス、ただいま」
「マサヨシさん、この子は?」
王女様が唖然として聞いてくる。
「ああ、カリーネの娘だね」
「私のお父さんになるんだよね」
「まあ、追々な」
エリスはにーっと笑うと、二階へ上がっていった。
「まずは、風呂でも入ってゆっくりしてくれ、馬車移動じゃ、風呂なんて入れないだろう? クリスもリードラも一緒に行ってやってくれ」
「主は入らぬのか?」
「お前、俺が魔族から罪人扱いされてもいいのか?」
「別に魔族の兵ぐらい殲滅できるじゃろう?」
「俺に国潰しになれと……。そんな面倒なことをしたいと思うか?」
「マサヨシなら思わないわね」
「クリス、当たりだ。そういうこと」
「わっ私は、一緒でもいいですが……」
「裸見たら、結婚確定とかありそうだから……」
女騎士の手がすッと手が上がる。
モジモジしてる。
「ん? どうした?」
「我が家の家訓なのだが……」
「家訓?」
「バストル家の女子は夫となる者以外の男子に裸を見せてはならんのだ」
「ふむ。それで?」
「ゴブリンから助ける時に見ただろ?」
「んー、見たねぇ」
「だから……な」
「俺が言わなきゃ他の人は知らないし。大丈夫! おっと、王女様が聞いたけど多分言わないだろう」
「はい、言わないほうがいいのなら口外はしません」
「いや、もう一つ。私よりも強い男でなければならん。マサヨシ殿は私より強いだろ?」
「強いなぁ」
「だから……な」
そんな俺を見て、クリスとリードラの二人は、
「マサヨシが意地悪になっているわね」
「意地悪じゃのう」
と、小声で言っているのが聞こえる。
「でも助けるうえで仕方なかっただろ?」
「たまたまでも見た……。全部……」
涙を浮かべながら女騎士が言う。
「あっ、泣かせた」
「泣かせましたね」
「泣かせたのじゃ」
なぜか俺を追い込む中に王女様が入っている。
「俺が悪いみたいじゃないか……」
「とりあえず、候補にしておけば?」
「そうです、候補にしておけば……」
「そうじゃのう、暮らしてみてわかることもある」
だからなぜ王女様が入る。
「暮らすのはいいが、騎士団はどうする?」
「王都騎士団は……辞める……」
「思い入れはないのか?」
「私は父上の居る王都騎士団に入りたくて入った。だが、好きな男のためなら辞められる」
「んー」
俺は頭をボリボリ掻くと
「わかったよ、ここで暮らせばいい。ただな、両親に許可は貰ってくれ。王都騎士団も辞めなくていい。俺が何とかするから」
「いいのか?」
「いいが、両親から許可を貰ってこいよ?」
「わかった」
「もうこの話はここまで、早く風呂に入ってこい」
俺は四人を風呂へと急かした。
「マール、居るか?」
「はい、マサヨシ様」
すっとマールが現れる。
「四人分の食事を頼む。今からできるか?」
「先ほど貰った食材も残っていますから問題ありません。あと卵を頂ければ十分かと」
「それじゃ頼むよ」
俺はコカトリスの卵をマールに渡した。
「じゃあ俺は、途中経過の報告にカリーネのところに行ってくるから。後は任せた。食事と軽く酒でも出してあげて。クリスには飲ませ過ぎないように……」
「畏まりました」
俺は扉を出すとゼファードのカリーネの部屋へ行った。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




