呼び出しが終わって……。
誤字脱字の指摘、大変助かっております。
呼び出しが終わり家に帰ると、最初に気付いたクリスが近寄ってきた。
「どうだったの?」
「クリスか、怒られたりすることも無く特には問題なかった」
「それは良かったわね」
「前話したことあるだろ? パルティーモで女の子を助けたって」
クリスは腕を組む
「あっああ、魔法書士の試験を受けに行ったときのやつ?」
「そうそう、魔族っぽい女の子を助けたんだ。その子がレーヴェンヒェルム王国王女だったってわけで……お礼を言われた」
「レーヴェンヒェルムってまさかイングリッド?」
「そう、イングリッドっていってたぞ。なんで知ってんの?」
ん?何でだ?
そして何かを思い出した。
「お前そういや王女だったよな……」
「忘れてたでしょ?」
ジト目で見られた。
「ああ、完全に忘れてた。ってことは王族繋がり?」
「そういうことになるわね、もう何年も会ってないけどまだ幼少期なのかしら、成人してたら綺麗になってるんでしょうね」
クリスは魔族の成長パターンを知っているようだ。
「ああ、凄い綺麗だったぞ。あと、クリスとリードラに乗ってフォランカに行った時に盗賊に襲われていた馬車があっただろ? あれが王女様の馬車だったらしい、そのお礼も言われた。そのうち魔族の国? の王都に呼び出しがかかるらしい。『絶対出てこい』的な雰囲気があったな。まあ、嫌な予感もするが魔族の国に行くのも面白そうって思ってる。まあ、そういう話もあるってことで……」
ありゃ? 聞いてない?
「あの子何を……まさか」
クリスが呟いた。
クリスと話していると、転移の扉が閉まる音のあと急いで走る足音が聞こえてくる。
あっカリーネだ。
「あなた、何一人で帰っているの! 帰るなら帰ると言って!」
すごい剣幕だ。
「おう、すまない」
カリーネの勢いに負け謝る。
用事が終わったんだから帰ってもよさそうなものだが……。
「せっかく一緒に何かお昼ご飯食べて帰ろうと思ったのに……残念」
ああ、そういうつもりだったのね?
だったら言っておいてほしかった。でもそれは声に出してはいけない奴。まあ、あとで埋め合わせが必要かな?
「悪かったな。気疲れして家に帰ったんだ」
「まあ、いいわ」
許してくれたようだ。
「クリス、マサヨシからギルドで何があったか聞いた?」
クリスに詰め寄りカリーネが聞いた。
「イングリッド王女に会ったのは聞いたわよ?」
「えっそれだけ?」
「そう、それだけ」
「鋼鉄の処女のことは言わなかったの?」
「鋼鉄の処女?」
「フォランカで会った女騎士のことだ」
俺はクリスに説明する。
「ああ、あの高圧的な女騎士ね。『鋼鉄の処女』なんて呼ばれているんだ。言い得てるわね」」
「クリス、その騎士がマサヨシを見る眼がね……女の子なの」
「えっ、あの女騎士がマサヨシに惚れているってこと?」
カリーネは大きく頷いた。
「あれは間違いないわ。そういえばクリス、マサヨシってフォランカで女騎士の剣を折ったの?」
「ああ、あまりに高圧的だったから、マサヨシが怒ってレイピアを折っちゃったのよね」
「そうなの? だから、あのレイピアを女騎士にあげたんだ。ミスリルレイピアだったっけ? それがダメ押しね」
カリーネがクリスに話しかける。
「ああ、『宝箱から出てきた物だから遠慮するな』って気軽に渡しただけなんだがな……」
と、俺はちょっと言い訳を挟むが、
「ミスリルレイピアを? マサヨシ、ミスリルなんてなかなか手に入らないのよ? 彼女騎士なんだから当然武器を貰ったら喜ぶわよ! それも同じ種類の剣だし『私に気を使ってくれている』って勘違いしても仕方ないわ」
言い訳は跳ねのけられた。残念……。
「クリス、女騎士に関しては俺もやらかしたとは思っているんだ。申し訳ない」
クリスは「ふう」とため息をつく。
「まあ、マサヨシは優しいから仕方ないわね。今更だと思うわ。そう思うわよねカリーネ」
「まあ、確かに仕方ないか……増えたら増えた時ね。新参者の私が言うことでもないだろうし」
許したふうに言っているが許してないんだろうなぁ……。
この日は女性陣からずっとチクチク言われることとなった。
はあ、もっと疲れた……。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




