夕食前
誤字脱字の指摘、ありがとうございます。
家に帰ったのが夕方。サラとマールで夕食を作ってくれるというのでお言葉に甘えることにした。
少し暇だったので、久々に牧場へコカトリスたちを見に行くと。コカトリスが激増していたのだ。
ちょっと疲れ気味? のキングとコカトリスの世話係をしているタロスがやってくる。タロスに至ってはキングの手下っぽいコカトリスリーダーに乗っていた。
あれってチョコ〇っぽいよな。
「タロスよ、ちょっと見ない間にコカトリス増えたなぁ」
「おっさん、キングの群れが強すぎて、この辺の群れをなぎ倒し統一してしまったんだよ。コカトリスだけで言えばキングは名の通り王になってる」
おっと、キングに心なしか威厳が漂う。
「キング、お前天下統一したのか。やるなぁ、でもどうやって?」
「キングが他の群れに勝つと、キングに従属したコカトリスがキングに引っ張られて強くなる。それを繰り返したら最強のコカトリス部隊になったみたい」
タロスが説明してくれた。
ああ、俺と一緒か……。
「クエェーー(結構しんどいねぇ)」
ため息とも呟きとも取れる鳴き声をキングは放った。
「それとおっさん、こいつ面倒見がいいから群れから慕われているみたいだ。メスからのアタックも強くていろいろ大変そうだぞ? 規模は違うがどっかの誰かさんを見ているようだ」
俺をガン見するタロスとキング、キングに至っては口角を上げている。
「どっかの誰かさんって……俺? いやいや、同類じゃないぞ?」
「クワェア(またまたぁ)」
首を振るキングと、
「そうか? おっさんを見ているようだが……、おっさんが違うと言うならそうなのかも」
何となく納得してくれたタロス。
「キングよ俺はこれ以上増やしたくないぞ」
キングは群れを見て、
「クエクウエエ(強い者の群れは大きくなる)。クエエク(あなたのもね)。クエッケックエッケケェ(群れは嫌いじゃないだろ?)」
って言った気がした。
「確かにあいつらが居ないと俺は困るな。寂しいと思う」
「クエクエッ(やっぱり同類)」
キングはそう言うと俺の前から離れ、群れへ向かった。
キングの子たちが「父ちゃん、あれ誰?」って感じでキングに近寄る。更には「何やってたの?」「あれと何話してた?」っていう感じでクイーンたちが集まってくる。そしてキングの部下たちも……。
えっ、知らん間に結構な数になってるんだなぁ。二百弱ぐらいだろうか……牧場の半分がコカトリスで埋まっている。
「おっさん、やっぱりあんたもキングと一緒っぽい。なんだかんだ言ってもフィナさんたちに慕われてるし、俺たちも慕ってる」
「そうか? ちょっと照れるな」
俺は照れ隠しに頭を掻いた。
「でもおっさん尻に敷かれすぎ。もうちょっと威厳があるといいけど」
子供にもバレバレか……。
「痛いところを突くね、タロス。でも、もう何年も尻に敷かれているんだ今更変わらんよ」
本当に今更……。
「マサヨシ様夕食ができました。タロスも手を洗ってきなさい」
マールが俺とタロスを呼びに来たようだ。
「先に行っとくぞ」
「おう、おっさん。手を洗ったら行く」
俺は食事に向かった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




