報告
誤字脱字の指摘、ありがとうございます。
「ただいま」
俺が扉から出た時、カリーネはギルドマスターの机で事務処理をしていた。
突然部屋に現れた俺達にカリーネが驚いたのか席を立つ。
「えっマサヨシたちどうしたの?」
「冒険者ギルドのギルドマスターにダンジョンマスターを倒した報告と、カリーネに妻の体を倒したことの報告だな」
そう言いながら皆に洗浄魔法をかける。
「えっ、本当に?」
「信じられない? まあ確かにダンジョンマスターのリッチは消えてなくなったから証明は難しいな」
「いいえ、そうじゃなくて……」
「ああ、妻のことか?」
カリーネが頷く。
「逝ったよ……嫁曰く『私を忘れて次はお前らの番』だってさ」
「そう……」
カリーネが沈んだ声で答えた。
「カリーネ、まあそういうわけなんで今後ともよろしく!」
そう言うと、
「空元気のくせに」
「心配してくれてありがとな。でも空元気でも元気なほうがいいだろ?」
「まあ、それはそうだけど……痛々しいのよ」
俺はカリーネの言葉を流した。
「で、金箱でダンジョンマスター倒したってことにできるかな?」
カリーネは「フン」とため息一つをつくと、いつもの調子に戻る。
「それは問題ないと思うわよ? 金箱自体がダンジョンマスターから出ると思われているから問題ないわね」
「なら良かったよ。魔物の素材を出せって言われても困るからなぁ。消えちゃってるから」
「あっそうそう。ダンジョンコアはどうなった?」
「あー、ダンジョンコアねぇ……」
「壊したの? ダンジョンなくなる?」
心配だよな。
「カリーネ、ダンジョンコアは隷属させたから」
「へっ?」
俺はカリーネに最後の部屋の顛末を話した。
「そんな次第で俺がダンジョンマスターになったらしい。だからダンジョンは変わらず残ります」
「相変わらず驚くようなことするわね。でもダンジョンは残る……良かった」
ダンジョンの有り無しでこの町は変わるだろうからね。
「マサヨシ、王都にダンジョンの攻略が終わったって連絡するわね。多分王都に呼ばれると思うわ。覚悟しておいて!」
カリーネがニコニコである。箔がつくってかんじかな?
「でも面倒くさいなあ」
「名誉でしょ?」
「そりゃそうだが名誉なんて要らんよ。あっクリスあたりを犠牲にしてしまうって手もあるか。Bランクだし王女様だし」
ちらっとクリスを見ると怒ってる。
「やめてよね、私も面倒事は嫌よ。押し付ける気?」
「ですよね、俺が対応します」
すんません……。
「ランクは上げないの?」
「上げなくていい。ただ代わりに他の上がってない奴を上げてやって。リーダーっぽくクリス辺りをAにでもしてやればいいんじゃない?」
ちらっとクリスを見ると諦め顔だった。
「わかった、手続しておく」
「迷惑かけてすまんね」
「カリーネ、連絡して王都からの返事が来るのはいつぐらい?」
未だ人の手で送り届けている時代だ、伝書鳩もなさそうな世界。どのくらいの時間がかかるのだろう。
「そうね早くて二か月後ぐらいじゃないかしら」
「結構かかるんだな」
「私が書いた手紙が王都まで届いて、届いた手紙が処理されてまた戻って、という感じだから結構時間がかかるのよ。マサヨシならあっという間なんでしょうけどね」
まあ俺は例の扉を持っていますので……
「まあ、何にしろ一度家に帰るよ。カリーネも程々にな。さあみんな帰ろう」
「ええ、早く帰るようにするわ」
俺はギルドマスターの部屋から例の扉で家へと飛んだ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




